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クラブ・ジェムノット~エピソード2-少女の歌は花開く~  作者: (さ)くま
第2章 浸透

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2-2-4 考え事

今日もジェムノットへ向かう。

駅からの道にも慣れてきた。


「レーヴちゃん!」


後ろから呼び止められる―――

シズクさんだ。


「改札で見かけたんだよね~。

 一緒に行こ!」


「はい!

 ありがとうございます。」


お店までは、約5分。


最近は日が落ちても、肌寒さを感じない。

ずいぶんあたたかくなってきた。


「ずいぶんあったかくなってきたね~。

 すぐ暑くなっちゃうんだろうなあ」


シズクさん、今日もかわいらしいな。


「ウチ、3日くらい

 有給使おうと思って、

 シフトとか予約とか調整してるんだけど」


うん?旅行にでも行くのかな。


「レーヴちゃん最近めっちゃ忙しそうだよね。

 休めてる?」


「あ~…。」


あ~……。


「すみません。

 ちょっとよくわからなくって」


シズクさんが“やっぱり”という顔をした。


「やっぱりね。

 ウチから伏見さんに声かけとこうか?」


シズクさん、優しい。


「ご迷惑でなければ、

 その時ご一緒してもいいですか?」


「もちろん!

 じゃ、着いたらさっそく

 伏見さんに突っちゃお」


「はい。よろしくお願いします」


ぺこり。45度お辞儀。


話していたら、お店に着いた。

ピピピ。ピ。

従業員出入口から中に入る。


「おつかれおつかれ~」


「お疲れさまです」


シズクさんと事務所へ。

遼叔父さんがいた。


「おつかれさん。今日もよろしく」


早速シズクさんが話しかけてくれる。


「伏見さん!レーヴちゃんの

 休みってどうなってるんです?」


遼叔父さんが何度か瞬きする。


「……シズク。さては有給申請だな。」


「えーっ、なんでわかるの?

 伏見さんエスパーすぎ」


「レーヴと重ならないように、だろ?」


パソコンのモニタを1台、

私たちのほうに向けてくれた。


「シフト表な。

 どのあたりを休もうとしてるんだ?」


「次の店の休みのあとの二日を

 いただけないでしょうか~?」


次の店の休みは…

四日後だ。


「予約、大丈夫か?」


「うん!それはばっちり」


「じゃあいいぞ。

 レーヴの公休はそのあとに入ってる」


私は、大学の単位の都合で、

週に2日、いつもお休みをいただいてる。

遼叔父さんが言ってくれてる“公休”は、

曜日的にそれのことのようだった。


…実は、ここ2週間ほど、

その“いつものお休み”を、返上していた。


ブースで歌うのが楽しいから、っていう、

とってもとっても自分都合な理由で…。


「やったー!

 じゃあ有給申請しときます~」


遼叔父さんからはすごく心配されていたけど、

お店にとっても売り上げになるから、

まずは2週間様子を見よう、というところで

一旦決着がついていた。


その結果、15日くらい

連続で勤務することになっていた。

今日はその11日目。


シズクさんに“休めてる?”って

心配されたのは当然だと思った。


でも…

忙しいけど、とても充実してる。


今日も予約いっぱいだと聞いてる。

そろそろ洗濯物もいっぱいなので、

明日は午前の講義がないし、

帰ったらお洗濯祭りかな。


…今日も、あの人は来てくれるのかな。


「あの、遼叔父さん…」


「どうした、レーヴ」


…どう聞けばいいだろう。

“因縁って、どうやって見ればいいですか”

“私が私じゃない時に、

会ったことがある気がするお客さんがいるんです”


うーーーーーーん。


「言いにくいなら、

 前みたいにLINEで送っていいぞ。

 なんでも、いつでも」


遼叔父さんは、いつもやさしい。


「そうします。

 聞きたいことがうまくまとまったら、

 必ず送ります。」


“あの人”のことを考えると、

同じくらい、考えてしまうことがある。


――あの人に、

私が私じゃない時に、

会ったことがある気がするのが、

もしも本当にありうる感覚なら。


家族や遼叔父さんにも、

私が私じゃない時に、

会っていたのかなって。


だって、あの人に感じる雰囲気は…


まるで、お父さんみたいだから。


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