表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄対策室 〜王太子に婚約破棄されましたが、あざと可愛い弟王子に懐かれています!?〜  作者: 空丘ジル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/53

なんですって……! おーっほっほっほ!

「アテナ・ルーミス、校長職に復帰」


 その衝撃的なニュースが学園中を駆け巡ったのは、それから間もなくのことだった。


 学園公式から復帰式典の開催が発表されると、生徒たちは「校長復帰に式典を?」と一瞬の困惑を見せたが、それもすぐに、敬愛する師の帰還を祝う歓喜と期待にかき消されていった。


 その報は、腹心の子飼いを学園に潜り込ませ、執拗に動向を探らせていたゲルダ妃のもとへも、最速で届けられた。


「なんですって……! おーっほっほっほ! ちょうどいいわ。式典の真っ只中、あの女が最も輝く晴れ舞台を、そのままあいつの棺桶にしてやるわ!」


 ゲルダは狂気を含んだ笑い声を上げ、おもむろにペンを走らせ始めた。


 *


 時は少し遡り、式典発表の少し前。


 イングリッド、アテナ、ソフィアの三人は、ノエル王子の手引きにより商人の姿に身をやつし、王宮の奥深くへと足を踏み入れていた。


 幾重にも張り巡らされた隠し通路を抜け、ついに国王エドワードとの謁見を果たす。


「アテナ……今回のことと言い、モルティマーの件と言い、何と詫びればよいか」

 エドワードが沈痛な面持ちで頭を下げると、アテナは毅然として首を振った。


「いいえ、陛下。どうかお顔をお上げください。モルティマー様の件は、教育者である私がもう少し早く手を打てていればと、今でも……」


「ストーーーーップ!」

 ノエルが二人の間に割って入った。


「父上、アテナ先生! 謝罪大会は後だよ。今は一刻を争うんだから!」


 エドワードは苦笑し、「お前の言う通りだな」と表情を引き締めて一同を見回した。


「では、計画を立てよう。……ゲルダという女は、常に自分が世界の中心でなければ気が済まない性質だ。逆に言えば、他人が喝采を浴び、栄誉を授かる光景には、耐え難いほどの憎悪を燃やす。この性質を利用するんだ」


 イングリッドが静かに口を開いた。

「陛下、それならば……このような案はいかがでしょうか」


 彼女が提示したのは、前代未聞の「校長復帰式典」の開催だった。

 不当な圧力を跳ね除け、身を挺して一人の女子生徒を守り抜いた「真の教育者」アテナ・ルーミスの帰還。その物語を煽り、人々の耳目を集める。


「ふむ、面白い。民衆の期待を高めれば高めるほど、彼女への栄誉は重くなるというわけか」

「左様でございます」

「ならば、式典はあえて『野外』で行うのはどうだろうか」

「野外……ですか?」


 アテナの問いに、エドワードは鋭い眼光で頷いた。

「当然、警備上の危険は増す。だが、野外であれば『部外者』が遠目から眺めることも容易だ。ゲルダなら、この絶好の機会を逃すはずがない。暗殺を命じるだけでは飽き足らず、宿敵が絶望に沈む瞬間を、己の目で直接見届けようと、必ずどこかに現れるはずだ」


 エドワードの言葉に、四人は深く頷き、網を仕掛ける決意を固めた。

 栄光の光に影を潜ませ、狂える王妃を誘い出す。命懸けの舞台装置が、静かに動き始めた。

お読みいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ