↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
令嬢の復讐代行者  作者: 渡里あずま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
44/45

証左

 持ち帰り調べたところ、やはり蝋燭にも辰砂が入っていた。

 辰砂は石の状態であれば、普通に触っても体に害はない。しかし砕いたりして、鼻や口から体内に入ると、その毒が蓄積されて死に至るのだ。


「そう考えると、蝋燭に混ぜるのは効果的だな。こうして事前に調べない限り、使い切ってしまえば証拠も残らない」

「感心してる場合かよ」


 カルバの言葉に、オーベルが苛立ったように眉を顰めて言う。叔父と甥のくせに、こういうやり取りしか出来ない二人に内心、やれやれと思いながらイリヤは口を開いた。


「知らずに、この蝋燭を使い続けたとしたら……死ぬのは、いつくらいだ?」

「トオルさん!」

「そうだな……これくらいの量なら継続して、数か月から一年くらいかな」

「症状は、頭痛や吐き気……あと重症だと、歩けなくなったり昏睡状態になるんだったか」

「……そうです」


 イリヤの問いにカルバが答え、母親のことを思い出したのか動揺しつつも、しばしの間の後にオーベルも答えた。それに頷き、イリヤは二人に言葉を続けた。


「逆に死ぬのが決まっていれば、これ以上の手出しはされないってことだな。証拠集めにもなるし……よし、気に入ったって言ってオーベル経由で定期的に蝋燭を貰おう」

「そう言うと思ってましたが……死亡時期の目安を聞くなんて、まさか、本当に使ったりしませんよね?」

「誰が使うか。もっとも、いつまでも健康体なら疑われるから……そこは、化粧と減量で補うことにしよう。あ、卒業式の前の三学期に休みがちになれば、ユージンも揺さぶれるな」

「イリヤの演技に期待するよ」

「まあ、あの坊ちゃんだと死にそうになったら母親が怖くて、さっさと手を引く可能性もあるが……そこは、リブレ国で治療法が見つかったことにしよう。さて、ライバルを毒殺までするラウラを、どう思うかだな」


 心配そうなオーベルと楽しそうに笑うカルバに、イリヤはそう言って肩を竦めた。


※


 最近のユージンは、ラウラと少し距離を置いている。登下校は一緒にしているが、馬車を降りて教室に行けば、彼はすぐ自分の席に着いていた。

 そんなユージンと入れ違いに、イリヤがラウラに近づいていく。


「あら、ローランさん」

「ファーレンハイト様、昨日はありがとうございました」

「いいえ。いつも、あなたの傍仕えの方に助けて貰っているから……ほんの、ささやかな気持ちよ」

「ありがとうございます。昨夜、早速使いましたが、とても素敵な香りでした」

「良かったわ……気に入ったのなら、また届けさせますね」

「ありがとうございます」


 イリヤはともかく、ラウラが機嫌良く対応していることにユージンは違和感を抱いた。

 そしてその後、少しずつだがイリヤの顔色が悪くなり、痩せていくのを見てユージンはゾッとすることになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。