↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

第十話

 早朝のクラブハウス。まだ朝の5時だ。

 毎日、誰よりも早く来ているというミッチーくんと待ち合わせて、トレーニングルームを開けてもらっていた。

 ミッチーくんは不思議そうな表情ながらも付き合ってくれていた。


「ありがとうミッチーくん」

「問題ないけど、なにすっの?」


 さっきミッチーくんにも伝えた、陽仁くんとの待ち合わせは朝の6時半。まだ一時間半もの猶予がある。

 私は手書きのノートを開き、ミッチーくんに見せる。

 彼はしばらくみてから「ああ」と気づいた。


「これは……陽仁のトレーニングメニューか」

「一応、私もできるようになっておきたいんだよね」

「いいけども、そりゃまた何で」

「自分が実践できないメニューをやれって言っても、説得力に欠けるっしょ」

「なるほどね~」


 納得いったのか、彼はカラッと笑う。


「俺が見るから、どんどんやってみ。上手く体使えてなかったら修正してこう」

「お、ありがとう!ほんとうに助かる」

「さて、それじゃメニューを……」


 ミッチーくんは私のノートを再度見て……ふと言葉を止めた。

 その表情は怪訝そうで。いったいどうしたというのか。


「どしたの」

「おかしいな。俺は陽仁にはグルートハムベンチはあくまで補助程度に……と伝えてたんだが。よく見たらメインのトレーニングになってんのよ、これ」

「え……渡した時は違ったの?」

「そりゃ当然。昼時の自主練にこんな、負荷のかかるトレーニングは勧めない」


 黙って練習メニューを変える……?陽仁くんは今のところ、そんなことをしてしまう人には見えなかったから、内心ちょっと動揺している。

 なにか理由あってのことだろうか。


「……後で陽仁くんに意図を聞いてみるよ」

「頼むわ。昔からあいつ、責任ため込んで無理しがちなやつだからな。お灸据えてやってくれよ」

「ええ、私がぁ……?」

「まあまあ、プライベートトレーナーとして存在意義をアピールして、存在を受け入れてもらっていくのもさ、大事じゃない?」

「正論過ぎる」

「ほなよろしく、じゃ、トレーニングメニューやってこか」

「許せねえよ……なんか……」


 何も言い返せず、私はミッチーくんが直接手直ししたトレーニングメニューを、彼の補助のもとこなしていった。


 ***


 午前6時前。トレーニングルームを後に、私は指定の会議室に入り、陽仁くんを待っていた。

 流石に少し眠たい。

 集合時間の6時半まで、ちょっと、寝るか……


 ***

 ***

 ***

 ***

 ***

 ***

 ***

 ***

 ***


 あの日。


 プリンスリーグEAST第8節。

 セイラーズユースとサルヴィーズユースの一戦。


 高校生の私もまた、才能ある1人の選手として、勉強のつもりで観戦していた。

 そしてフィールドに立つ、陽仁くんと兄さんを見て、この二人の輝かしい活躍を期待せずにはいられなかった。


 彼らは、セイラーズユースの至宝と呼ばれていたのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。