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異界の旅~無職の私と降臨した神様の異世界冒険—この世界の神々に虔なる祈りを!  作者: V-CO
第一章 名実ともに異世界の旅

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第一章 13『中二病、登場!』

「はあ……お前って本当に加減ってものを知らないな。」


 通りを歩きながら、レアは自分の首を揉みながら私に言った。


 歩きながら彼はその赤い跡を揉んでいた。まるで何か奇妙な海の生き物に絡みつかれたかのようで、白い首にはっきりと浮かび上がっていた。


 数分前、私のチョークホールドがこの跡を残したのだ。今の私はまるで拗ねているかのように、腕を組み、首を横に向け、口をへの字に曲げていた。


「ふん、あんたがいつも私をからかうからでしょ。次にまた変なことをしたら、許さないからね。」

「それはお前が理由もなく駄々をこねるからだろ?」

「誰が駄々をこねてるって――!?」


 実際のところ、確かに私は少し駄々をこねていた。


 でも、それを面と向かって指摘されるのは、何と言うか……とても腹が立つ。


 とはいえ、レアのあのやり方は、思春期真っ只中の私には確かに抗いがたいものがあった。あの心臓がドキドキして、頭が真っ白になって、身体中がふわふわする感覚は、まるでコーヒーにスプーン三杯分の砂糖を入れられたかのようだった。


 ただ、レア本人はそんなこと全く考えていなかったようで、終始「これは任務だ」という顔をしていた。


「わかったわかった。次からはしない。でもお前も素直になれよ。俺に逆らうな。」


 レアは年長者のような口調で諭した。その口調には何とも言えない包容力が感じられた。


「な、なにその言い方? なんで私が年長者に説教されてるみたいな気分になるのよ。」

「当然だろ、俺は『老人』だからな。」


 レアがそう言うと、私は納得いかずに頬を膨らませた。


 しかし実際、レアの年齢は確かにかなり上なので、理屈の上では彼がこういう口調で私を諭す資格がある。ただ、レアのあの氷山のように彫琢された美しい顔立ちは、「年上」という言葉とはどうしても結びつかない。知らない人が見れば、二十歳そこそこだと思うだろう。


「でも、それは――」


 そう言いかけた時、前方の道に突然二人の人影が立ちはだかった。


 誰かが近づいてきたことに気づいたレアは即座に身体を緊張させ、足を止め、鋭い目つきでその正体不明の二人を睨みつけた。


「――!」


 私はというと、全く状況が飲み込めていなかった。


「え? 何々?」


 何が起きているのかさっぱり分からず、ただレアが急に止まったので、私もつられて足を止めた。


 目の前の二人は、どちらもフード付きのマントを羽織っていた。一人は背が高く、体格からして男性だろう。レアと同じくらいの体躯で、肩幅は広く、背中には異様に大きな大剣を背負っている。剣の柄だけで私の腕よりも長い。もう一人は背が低く、女の子のように見える。武器は持っていないようで、フードの端からかすかに金髪がのぞいていた。


「何者だ?」


 レアは半歩前に出て、私を背後に隠すようにして、警戒した口調で尋ねた。


 二人のうち背の高い方が一歩前に出ると、背中の大剣を抜いた。その大剣は日差しを受けて冷ややかな輝きを放っていた。彼は両手で剣を構え、剣先を空に向け、抑揚をつけた、まるで詩を朗読するかのような口調で言った。


「我が名は天界剣士。この世界最強の剣士なり。我が手にする剣の名は『ラグレイル』。この世に我が斬れぬものはなし。」


 何故か、彼が話すと同時に周囲にかすかな光が浮かび上がった。剣に何らかの付与魔法がかけられているのかもしれない。


 言い終えると、隣の小柄な方も一歩前に出て、咳払いを一つした。


「我が名は聖星使者。この世界最強の魔法使いにして、この世界で――えっと……ちょっと待って、台詞は何だったっけ?」


 言葉が突然途切れた。小柄な方は明らかに固まってしまい、慌てて隣の「天界剣士」のマントの裾を引っ張った。


 あまりに予想外の展開に、その場の空気が一気に気まずくなった。


「おいおい、俺たちの計画と違うぞ! お前が出れば奴らを威圧できるって言ったんじゃないか? まさか見破られたのか?」

「そんなはずないだろ。俺たちの計画は完璧だ。向こうが聞き取れなかっただけかもしれない。お前は――(こそこそ)」


 二人はその場でしゃがみ込み、小声で作戦会議を始めてしまった。小柄な方は何か身振り手振りを交えながら話し、背の高い方は眉をひそめて何度も首を振っていた。


 しかし、この奇妙な中二病な名乗りは一体何なんだ――


 天界剣士? 聖星使者? これは一体どの漫画か三流小説から飛び出してきたキャラクターなんだ?


 私はレアの隣に立ち、地面にしゃがみ込んでひそひそ話し合っている二人を見下ろしながら、心の中で密かにツッコミを入れていた。


 日差しで少しぼんやりしてきた私は、首をかしげて隣の真剣な表情の相棒を見た。


 一方レアは顎に手を当て、何か考え込むように眉をひそめ、遠い記憶を辿っているようだった。


「レアさん、何考えてるの?」

「……うん、さっきの二人の言葉について考えてたんだ。」


 レアはしゃがみ込んだ二人を見ながら、声を潜めて私に言った。その目は終始彼らから離れなかった。


「あの二人はただ者じゃない気がする……それに、最強の剣士と言えば、俺が人間だった頃の仲間の一人だったはずだ。最強の魔法使いなら俺だ。」

「へえ、そうなんだ。すごいね。」


 私は適当な相槌を打ちながら、明らかに呆れた口調で答えた。


「おい、そこの天界剣士と聖星使者とか名乗ってる二人。ここに何の用だ?」


 まさかこんなあっさりとこの中二病な名乗りを受け入れるなんて。


 私は信じられないといった表情でレアを見つめ、口を開けて何かツッコミを入れようとしたが、言葉が見つからなかった。


「ちょっと待ってくれ。今俺たちは話し合い中だ。そこを動くな。」

「……」


 大剣を持った男がレアに向かって片手を上げ、部下に指示するような真剣な口調でそう言った。


 その時、私とレアは顔を見合わせ、互いにうなずき合い、これから何をすべきか暗黙の了解を得た。


 そして、二人は一言も発さず、黙って数歩横に移動し、しゃがみ込んで熱心に話し合っている二人の横をすり抜け、音もなくその場を離れた。


 ……


 ……


「ところで、さっきの二人は一体何だったんだろうね……」


 私はレアの隣を歩きながら、さっきの奇妙な遭遇のことを思い出して愚痴った。


「分からん。でも、どこかで見たような気がするんだ。あのノリに覚えがある。」

「ああ、何せ向こうも『最強』を名乗ってたもんね。最強の魔法使いであるあんたがピンと来るのも当然だよ。」


 私はレアの自信満々な宣言をからかったが、彼は気にした様子もなく、ただ軽く首を振った。


 そう言いながら、私たちは町の魔法材料専門店に到着した。店の看板は金属で作られており、精巧な魔法模様が刻まれている。店構えは大きくないが、長い歴史を感じさせる落ち着いた雰囲気が漂っていた。


 中に入ると、店内には多くの魔法道具や材料が並べられていた。魔法の木材、白紙の巻物、様々な色の薬水、そして名前も分からないような小型の魔法道具が所狭しと並んでいる。壁一面の棚や戸棚はぎっしりと詰まっていて、空気中にはかすかに薬草とインクの香りが漂っていた。


「本当に種類が豊富だね……」


 私は整然と並べられた商品に感嘆の声を上げた。


 これらのものは自分の世界では見たことがなかった。普通の魔法の木でさえ、表面にかすかな光を放ち、普通の木とは全く違う。まるで内部に何かがゆっくりと流れているかのようだった。


「お客様、何かお探しですか?」


 片眼鏡をかけた男性がカウンターの奥から姿を現した。体格は普通で、顔は若々しく、立ち居振る舞いは優雅で落ち着いており、相当な読書家であるように見えた。


「魔法を書き込むための専用の白紙巻物はありますか?」

「はい、そちらの棚にございます。お好みのものをお選びください。」


 店主は棚の一角を指さした。そこには様々なサイズの白紙巻物が整然と積み重ねられており、紙の色はアイボリーから薄い黄色まで様々だった。


 レアは必要な巻物を選びに前に進み、私は興味津々で店内の他の魔法道具を眺めていた。


「ねえ、おじさん。これは何に使うの?」


 私はかすかに青く光る薬水を手に取り、目の前に掲げて振ってみた。液体はガラス瓶の中で青く輝き、まるで星が泳いでいるかのようだった。


「ああ、それは魔力回復薬ですよ。」

「魔力回復か……」


 店主の説明に、私は何か考え込むようにうなずき、青い瓶を置いて、隣の小さな瓶を手に取った。


「おじさん、じゃあこれは? これは何に使うの?」

「それは筋力強化薬です。短時間で身体能力を高めます。近接戦闘職には重宝しますよ。」


 店主は丁寧に説明を続けた。


「おじさん、じゃあこれは?」

「それは体力回復薬です。」


「おじさん、じゃあこの長いやつは?」

「それは薬を作るための薬草です。」


「おじさん、これは?」

「……それは材料を置く棚です。」


 私は店の端から端まで歩き回り、次々と様々な珍しい品々を手に取っては質問し、店主は終始笑顔で一つ一つ答えてくれた。


 その間にレアも必要なものを選び終え、質の良い白紙巻物を四巻、カウンターに置いた。紙面は均一で、端はきちんと裁断されていた。


「よし、もう店の物をあれこれ触るな……すみません、これらをお願いします。おいくらですか?」

「はい、こちら……合計二十金貨です。お包みしましょうか?」


 二十金貨――!?


 以前借金を抱えていた私たちには、これはかなりの出費だった。この世界に来たばかりの時は、銅貨一枚も持っていなかったのだから。


 ただ、私が達成したゴブリン討伐クエストは長期間未達成の懸賞金がかかっており、通常より報酬が高かった。それに、前にレアが足虫の素材を売って得た金も合わせて、今の二人の所持金は合計で約六十金貨だった。


 だが、二十金貨はやはり痛い出費だった。レアが財布を取り出すのを見て、私は心の中で少しだけ痛みを感じた。


「お願いします。」

「かしこまりました。ただ……お客様、失礼ながら一言よろしいでしょうか。」


 店主は手際よく巻物を包みながら、少し言いづらそうな表情を浮かべた。


「え? 何ですか?」

「あの……このお嬢さんに『おじさん』と呼ばれるのをやめていただけませんか? 私、まだ二十四歳なんですよ……」


 さっきからずっと私が店主を「おじさん」と呼び続けていたせいで、若い店主は気まずそうにしていた。片眼鏡をかけているせいで実際の年齢より老けて見えるが、よく見れば確かに若者の顔立ちだった。


 それを聞いて、レアは「分かる」と言わんばかりの複雑な表情を浮かべた。


「はあ……『おじさん』ならまだマシだ。こいつは俺のことを『老人』って呼ぶんだ。俺はそこまで年寄りじゃないんだけどな……」

「あはは……そうでしたか。それはお気の毒に。」


 レアの話を聞いて、店主も気まずそうにしながらも、同時にレアに同情しているようだった。


 私は二人の会話を聞いていて、ちょっと気まずくなってしまった。


「しかし、こんな若くして店を構えて、しかもこんなに綺麗に整理されているなんて、驚きですよ。」

「いえいえ、ただの家業の継承ですよ。父が引退した後に店を任せられまして、もう何年も経ちます。」


 店主は商品を包みながらレアと雑談していた。二人は日常会話を楽しんでいるようで、さっきよりもずっと和やかな雰囲気だった。


「はい、お包みしました。また何かあれば、いつでもお越しください。」

「ああ、ご苦労様。行くぞ、夏奈。」


 レアはカウンターに金貨を置き、私を連れて店を出た。


 外に出ると、私たちはまっすぐギルドへ向かった。午後の日差しが石畳の上に暖かく降り注ぎ、通りでは露店の呼び声が絶え間なく響いていた。


「なかなか高いな……出来上がりの威力がどうなるか。」


 レアは手にした包みを見ながら、少し意外そうに言った。四巻の白紙巻物に二十金貨も払ったのだから、もし効果が期待通りでなければ、かなりの損だ。


 私は隣を歩きながら、何かを考え込むように足取りが少し遅くなっていた。


「どうした? お前にも迷う時があるんだな。」

「そうじゃなくて……さっきの二人のうち、一人の声がすごく聞き覚えがある気がするんだよね……」


 私は下を向いて考え込みながら、数分前に出会ったあの二人の中二病キャラクターの声を頭の中で何度も再生していた。


 そして、案の定というべきか、案の定の展開になった。


「おい、ギルドはどこに行けばいいんだ?」


 見覚えのある声がすぐ近くから聞こえてきた。道を尋ねる時の特有の気軽さと当然さを帯びた声だった。


 私たちは声のする方を見ると、見覚えのある姿を見つけた。さっきのあの二人組だ。彼らはいつの間にか私たちの前に回り込んで、通りかかった冒険者に道を尋ねていた。


「ギルド? この道をまっすぐ行けば見えるよ。しかし、お前たち、その格好は何だ?」


 道を尋ねられた冒険者がギルドへの道を指さしながら、二人の場違いな格好を好奇の目で眺めた。


「ああ、これ? コスプレだよ。」

「……そうか。まあいいや。」


 どうやら二人の様子が普通だったので、その冒険者は特に気にすることもなく、肩をすくめて立ち去った。


「レアさん……」

「分かってる……」


 ついさっき会ったばかりのあの二人を見て、私はレアと共に無意識に警戒心を強めた。二人の身体は同時にわずかに硬直し、まるで耳を立てた猫のようだった。


「よし、これで俺たちは続けられる――」

「……」


 当然ながら、あの二人もすぐに私たちを見つけ、話の途中で言葉が止まった。


 四人の視線が交錯し、空気が一瞬で凍りついた。通りを歩く人々は私たちの横を通り過ぎるが、ここで何が起きているのか全く知らない。


 二組の人間はそのまま向かい合って立ち、誰も先に口を開かなかった。


 沈黙。沈黙。そしてまた沈黙。

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