第一章 9『部屋、悪戯、そして神様』
「いつも変なことばかり考えてるからだ。それに、間抜けだしな。」
「誰が間抜けだって――!?」
レアの容赦ない指摘に、私は大声で叫び返した。
認めたくはないが、確かに彼は私の急所を正確に突いていた。この二回のクエストで、私はほとんど何も役に立っていない。時間の大半は逃げ回って過ごしていた。何せ魔力ゼロで職業もないゴミにとって、逃げることは唯一の生存手段なのだ。
言ってしまえば、もしレアがいなければ、この三日間がこの世界での私の人生のすべてになっていたかもしれない。
「正直に言うと、一瞬だけお前を置いていこうかと思ったこともあった。」
「今さらそんなこと言うの――!」
「でもまあ……今は、お前を連れて行くのも悪くないな。」
レアが突然そんな感慨を漏らし、珍しく口元をわずかに上げた。
ベッドに座っていた私は、その言葉を聞いて一気に顔が火照った。この言葉は私にとって衝撃的すぎた。心臓が一拍飛び、無意識にシーツをぎゅっと握りしめた。
「うん……まあ、こうなった以上、文句を言っても仕方ない。今はとにかく、なるようになるしかないだろう。」
レアは私の心臓をドキドキさせる言葉を続けた。
「だが、この世界に来た以上、全力で生き抜く準備をしなければならない。」
何だこれ、回りくどい告白? それとも急に一緒にいることを決意したのか? 私たちが知り合ってまだ三日しか経ってないんだぞ! 早すぎる!
私は毛布を頭からかぶり、目だけを外に出して、少しでも落ち着いているように見せようとした。
明らかに、レアの言葉が私をさらに妄想に駆り立てていた。しかし、レア本人は私の異変に気づいておらず、ただ感慨に浸っているだけのように見えた。
「よし、決めた――」
彼が続けようとしたその時、私はついに毛布から顔を出し、勢いよく遮った。
「だからって、私が簡単に従うと思わないでよ! 私たちが知り合ってまだ三日くらいしか経ってないんだから……早すぎるでしょ! あんたは私の意見すら聞こうとしないし……でも、あんたが何を言おうと私……私だって簡単に承諾するわけには――!」
私が言い終えると、数秒間の沈黙が流れた。
レアの目は虚ろになり、まるで木から落ちて頭を打った馬鹿を見るような目で私を見つめていた。
「……」
「……」
私たちは見つめ合った。ロウソクの炎が揺れ、まるで私を嘲笑っているかのようだった。
明らかに、私とレアはまったく別の話をしていた。というより、私が一方的に彼の言葉を勘違いしていたのだ。もちろん、彼の言い方にも問題があった。
「……何の話をしてるんだ?」
レアが半信半疑に口を開き、困惑した口調で言った。まるで自分が聞き間違えたのではないかと疑っているかのようだった。
「え? あんた『一緒にいる』って言ったじゃん!」
私は自分の理解した意味を堂々と繰り返した。
レアは約二秒間沈黙し、こめかみを揉みながら、諦めたような表情を浮かべた。
「俺が言った『一緒にいる』ってのは、この世界で共に生きていくっていう意味だ。お前はどこに想像を飛ばしてるんだ?」
彼の顔には困惑が浮かんでいた。
私たちは互いを見つめ合った。ただ、その目にはそれぞれ違った感情が宿っていた。強いて言えば、彼は困惑、私は羞恥だった。
さっき自分が何を言ったのかを理解した瞬間、私は顔を真っ赤に染め、毛布を頭からかぶり、小さな隙間だけを開けてレアの反応を伺った。
「何でもない――! あ、あんたは……出て行って――!」
レアはまだ困惑したままで、なぜ私がこんな反応をするのか理解できていないようだった。
彼は何か言おうと口を開きかけたが、結局やめた。
「……よし、早く寝ろ。明日はクエストを受けるぞ。」
そう言って、彼は部屋を出て行こうとした。
「ちょっと待って! じゃああんたはどこで寝るの?」
「俺? もちろんホールのソファだ。他にどうしろってんだ。」
私に呼び止められたレアが振り返り、「当たり前だろ」と言わんばかりの口調で答えた。
私は毛布から半分顔を出し、迷いながら彼を見上げた。何度か彼をチラリと見てはすぐにうつむき、毛布の端を指で弄りながら、何か言いたげにしていた。
「実は……一緒に……」
「却下だ。お前が夜中に何をするか分かったもんじゃない。安全のためにも、距離を取った方がいい。」
レアは早口でそう言い放つと、振り返ってドアを開け、出て行った。そしてドアを閉める際も、まるで私が追いかけてくるのを恐れるかのように素早く閉めた。
私はベッドに座ったまま、閉まったドアを茫然と見つめていた。
……こんな風に言われるのは分かってたけど。
「何だよこれ……」
私は小さくつぶやきながらベッドに横になり、天井を見つめてぼんやりした。
たった三日しか知り合っていないのに、なぜかもう彼にすべてを見透かされているような気がする。この感覚はとても心地悪くて、しかしどこか安心もさせてくれた。
寝返りを打ってもなかなか眠れずにいると、ドアの外から何か声が聞こえてきた。
最初は気のせいだと思ったが、声は途切れ途切れで、どうやら「彼女」という言葉が聞こえてきた。
私は迷った末、好奇心に負けてこっそりと起き上がった。忍び足でドアに近づき、ドアをそっと少しだけ開けて、耳を近づけた。
「もう終わったの?」
カウンターの後ろで、女性が椅子に座っているレアを見ながら、からかうような口調で言った。
レアは背もたれに寄りかかり、目を閉じていた。まるで休んでいるかのようだった。
「変に考えるなよ。」
「あらあら、それじゃあ信じられないわね。だって深夜に女の子を一人部屋に残して、自分はホールで寝るなんて、ギルドの連中はどう思うかしら?」
女性の声には笑みが混じり、何か面白いことを見つけたかのようだった。
レアはすぐには答えなかった。しばらく沈黙した後、ゆっくりと口を開き、その声はさっきより少し低くなっていた。
「……彼女は休む必要がある。それに、俺と彼女の関係は、お前が思っているようなものじゃない。」
「ふーん、そうなの?」
女性はわざとらしく間延びした口調で言い、その声には明らかな疑いが込められていた。
「ところで、会ってまだ一週間も経ってない女の子のために、あんな貴重なものを売ってしまうなんて、本当に割に合うと思ってるの?」
私は目を見開いた。
彼女の手の動きを追うと、女性はあの結晶体を手に取り、ロウソクの灯りにかざしていた。灯りが結晶を通して柔らかな光を放ち、彼女の瞳に映り、どこか計り知れない色を帯びていた。
それは私たちが初めてクエストに出た時、レアが足虫の脳から取り出したものだ。彼はこれが足虫全体の素材よりも価値があると言い、数十匹に一匹しか出ないと言っていた。
それがまさか……彼は売ってしまったのか?
「大したことじゃない。昔の俺なら、こんなことはしなかっただろう……でも、今は状況が違う。」
レアはどうでもよさそうに手を振り、まるで今日の天気の話でもするかのように淡々と言った。しかし、そのあまりにも淡々とした口調が、逆に彼が何かを隠しているように感じさせた。
「ふふ、どうやらあなたは本当に神性を持っているようね。」
女性は軽く笑い、その結晶体を引き出しにしまった。
「……好きに言え。」
レアは背もたれに寄りかかり、天井を見上げながら、何かを考えているかのようにぼんやりとしていた。
「でも……彼女の評判はあまり良くないわよ。」
「私の……評判?」
私は無意識に息を止め、さらに耳を近づけた。
「彼女はただあなたに寄生しているだけだって言う人もいるわ。あなたがいるから彼女が生きていられるってね。それに、彼女の特殊な体質は、もしかしたら悪意のある者たちの目に留まるかもしれない。何せこの世界で、魔力が完全にゼロなんてことは、かなり珍しいことだからね。」
「……」
レアはすぐには答えなかった。
私はドアの陰で、胸が何かに詰まったように苦しくなった。
その言葉は針のように私の耳に刺さった。よく考えてみれば、確かに私はレアにかなり迷惑をかけている。少なくともクエストの時は、何の役にも立たず、むしろ邪魔ばかりしていた。足虫に追いかけられて森の中を走り回ったのも私だし、足を捻挫して背負われて帰ったのも私だ。仲間募集のチラシもゴミとして捨てられた。私は文句を言って逃げる以外、何もできなかった。
「寄生」という言葉は確かに耳障りだが、よく考えると、間違っていないかもしれない。
「でも、彼女のギルドでの評判を良くする方法が一つだけあるわよ。」
女性が突然再び口を開き、その口調には何か確信めいたものが含まれていた。
「どんな方法だ?」
「それは――」
私は耳を澄ませて重要な部分を聞こうとしたその時、レアが突然手を挙げて女性に黙るよう促した。そして彼は何かに気づいたように、急に振り返って私の方を見た。
その方向は――
「――!」
私は慌てて後ろに下がり、背中を壁にぴったりとくっつけ、心臓がドキドキと激しく打ち鳴っていた。
そして、ドアの外から足音が聞こえてきた。
(やばいやばいやばい――!)
私の頭の中では、その言葉が繰り返し響いていた。
「盗み聞きは心臓に悪い」とはまさにこのことだ。こっそり聞いているところを現行犯で捕まるなんて、元の世界で言えば、先生にドアの陰から引きずり出されるようなものだ。
最初はベッドに飛び戻って寝たふりをしようと思ったが、足音はもうドアのすぐそこまで来ていた。私は慌てて後ずさりし、ベッドの端にまで下がったその時――
カチッ。
ドアが外側から閉められた。
ドアの隙間から差し込む光が床に細長い影を落とし、ちょうど私の足元にまで伸びていた。しかし、予想に反してレアはドアを押し開けて入ってくることはなく、ただドアを閉めただけだった。
「はあ……危なかった……」
私はベッドの端に座り込み、大きく息を吐き出した。心臓はまだバクバクと鳴り続けていた。
数秒待って、足音が確かに遠ざかったことを確認してから、私は再び立ち上がり、耳をドアに押し当てた。
外の様子は見えないが、かすかに会話の断片が聞こえてきた。どうやら私のことが話題になっているようだ。この情報を逃すわけにはいかない。何とかして聞き取らなければ。
私は息を殺して、耳をドアにぴったりと押し付けたその時――
カチッ。
ドアが突然、何の前触れもなく開いた。
今度は虚偽のものではなく、本当に外側から押し開けられたのだ。
ドアが外側に開き、私はそのドアに体重を預けていたため、そのままドアごと外に倒れ込み、誰かの胸にぶつかった。
顔を上げると、見下ろすような視線と目が合った。
「……」
「……」
レアがそこに立っていた。すべてを見透かしたような目で私を見下ろしていた。
彼の表情は怒っているというわけではなかったが、決して機嫌がいいわけでもなかった。薄暗い廊下の灯りの中で、その青い瞳は異様に鋭く輝き、私の下手な言い訳をすべて見抜いているかのようだった。私は両手をドアに押し付けたままの姿勢で、ドアに半ばぶら下がるようにして、情けない姿を晒していた。
空気がまるで固まったかのように静まり返った。
「ああ……こんばんは?」
三秒ほどの沈黙の後、私自身でも馬鹿げていると分かる挨拶を口にした。
レアは答えなかった。ただため息をつき、私の後ろを指さした。
「うん、何――」
私は言われるままに後ろを振り返った。
その瞬間――
首の後ろに、それほど強くない鈍い衝撃が走った。
手刀で叩かれたような感覚だった。強くはなかったが、視界がぼやけ始めるには十分だった。
「……え?」
意識が急速に遠のいていく。完全に意識を失う直前、私は誰かにしっかりと抱き上げられたような気がした。
その匂いはとても懐かしいものだった。草と土の匂い。彼の古いマントと同じように素朴な匂いだった。
……ああ、レアか。
それが私の頭に浮かんだ最後の思考だった。
そして、意識は静かな闇の中へと沈んでいった。




