第7話 武器屋で食材が売られている件
ダンジョン都市大樹コロスケ/市場近くの武器屋。
攻略には当然、武器は欠かせない。
だがタンスイは、魔力に任せたぶん殴りが攻撃手段なので武器は必要ない。
目的にしているのは――
「白い剣、金色の剣……これも食材なのか!?」
「……うぃ」
店内に置かれた両手半剣、バスターソードが食材だとメンヌは頷く。
確かによく見てみると金属製ではないし、柄も硬い葉で形成されていた。
「あ、もしかして野菜……根菜ですかね?」
「……地面に刺さってる」
「伝説の剣みたいにってか。白はアレだとして、金はなんだ?」
『人参っしょ』『人参!』『金の人参!』
金色の人参といえば、たまにゲームで出てくる異色の人参だ。
店主に許可を取って葉のグリップを握り持ってみると、そこそこ重い。
が、金属製ほど重くない。刃部分は鋭利でスライム程度なら斬れるという。
「おーいコメット、この剣は泥ポーションの素材にな――うおっ!」
魅了ブッパ編成が封印され万策尽きたコメットは、心ここにあらずのままタンスイについてきていた。
武器屋の外でしゃがんで呆けていたところにタンスイの発言が投下されると、コメットは扉を吹き飛ばして侵入する!
「そのホワイトソードとゴールドソード、買わせてもらうわよ」
「うおいこらコメット! てめまた扉壊しやがったな弁償し――」
「パーン」
「またか……はぁ――【魅了】」
同時に入って来たパーンが中年男獣人の目を見ると、獣人は目がハートになり舌を出し始めた。
やる気が無いながらも、胸や腰、尻を強調したポーズで店主に声をかける。
「店主、今回もツケにしておいてくれ」
「あっ♡ いえツケだなんてとんでもない、いくらでも壊してくれてオッケーですアオーン♡」
『なんだよこれww』『えっぐ』『また?』『これだから男は……』
『タンスイあぶなかったな』
宿屋でこうなるとこだったのか俺!?
「それで? このホワソとゴルソがポーションのなにに該当するのかしら?」
「あとで料理しながら教えるから待っててくれ」
「それで? このホワソとゴルソがポーションのなにに該当するのかしら?」
「えーっとほかに気になる武器はーっと」
「それで? このホワソと――」
「おっなんかブーメランみたいのあるな。妖精さんこれ【鑑定】できる?」
「それで? このホワソと」
「ウッドブーメランって書いてありますね。水分が抜けてとても硬いと」
「それで? このホワソ」
『おいうるせえよwwww』『wwww』『フルシカトしてるww』
村人化して強制的に応対させようとするコメットに対しては無視が一番良い。
「チッ」
コメットが根負けして外へ出ていく。
タンスイは勝利した――と同時に、メンヌが武器を見ながら声をかける。
「……それ茹でても食べられない」
ウッドブーメラン。水分が抜け硬いという説明文が鑑定で表示されたらしいが。
違和感を覚え匂いを嗅いでみると気づく。
「なるほどね」
「何か分かったんですか?」
「耳貸して。ゴニョゴニョ……」
「――えっ! これ鰹節――グワアアアアアッ!!」
やはりと言うべきか。外からバスターソードが一直線に妖精に飛び、貫く。
妖精は真っ二つになり消失するが、味覚以外は実体に影響が無いので再顕現して慌てて扉の方へと顔を向けた。
「うおいコメットさん! その殺人衝動やめてくださいよ!」
「無駄だ妖精さん、本人に殺人の意思は無い。ただ質問しようとしてるだけだから」
風魔法を操るコメットは物体の操作にも長けている。
おそろしいことに、彼女は殺す気など微塵も無い。
「地球の食材名と詳細が知りたい好奇心による質問」をしようとして、その過程で殺してしまうのだ。
どういうことだよ。
「あと気になる武器といえば……お、これは」
どうみてもまっすぐな樹の根を持つ。
タンスイも妖精も視聴者も、見た事がある馴染のある根菜。
ゴボウだ。
「鑑定は待って。当てるから」
だが武器屋にある。武器名はなんだろうと思案しつつタンスイは口を開いた。
「――ひのきの棒」
「ゴボウっすね」
「そのままかよっ!!」
そこはゴボウなんかい。
そんなやりとりをしつつ、コメットに武器食材を買ってもらい武器屋を後にした。
が、一つ。懸念すべきことがあった。
「パーン、あの魅了って解けるのか?」
「あぁ。キスしてないならそのうち解ける。弁償も後でコメットがちゃんと払うよ」
「そうか。……ん、キスしてないなら?」
「キスしてたら、オレがいいと言うまで解けなくなる」
こわっ! こいつ宿屋でキスしてきたよな!? まじでやばかったのかよ!
「……だからなんで通用しなかったんだよ、オレの魅了が」
そうパーンは静かに呟くが、タンスイには届かなかった。
一行は自由屋台エリアへ向かう。
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