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第3話【マナストーンってどんな味?】

【魔力結晶(マナストーン)】

 空気中の魔素が結晶化した、白く縦長の魔石だ。

 魔法の触媒として威力を増幅できるほか、粉末にすれば魔力回復剤にもなる。


 コメットはそれを風魔法で塩のように削り、タンスイの手の上に粒の山を築く。

 舌に乗せてみよう。


 これは――!!


***


「うま味調味料じゃねえかッ――ぎゃああっ!?」


 夕方の自由屋台にて。

 正体を見破った直後、コメットがタンスイの腕を背に回して捻り上げる!


「うま味調味料ってなに?」

「いでででで! 話すから離してくれ!」

「うま味調味料ってなに?」

「話すから! 聞いてる!?」

「うま味調味料ってなに?」


 助けてくれ――ッ!

 というのを尻目に、妖精も食べながら頷く。


「なるほどグルタミン酸ナトリウム。要するに、味を引き立てる調味料ですね」


 妖精が答えるとコメットの力は抜け、タンスイは解放された。


『こわすぎて草』『喋ろうとしてるのに喋らせないのやばいってww』



「そんなことより、コロッケ食べてもいいか?」

「……ん」



 腕があらぬ方向に曲がっているが、気にせず少(・)女(・)のコロッケを食べる。


「うんうん醤油の下味をつけた小麦粉が衣のコロッケか素朴だからこそ素材の味が生きる品質の高い生産ダンジョン食材と良く合うとても美味しい!」

「……フッ」


『発作もしてるし腕も折れてるし』『おい誰か止めろww』『妖精!』



「はい皆さん落ち着いてください。えーと、君がメンヌちゃんだよね?」

「……ん」



【メンヌ】――種族:ドワーフ 

 黄緑色の癖毛に宍色の肌を持つドワーフ。

 黄色い外套とフードをまとい、レインポンチョ姿の小学生を思わせる。

 身長はタンスイの腰ほどで、半月のような目は感情をほとんど読ませない。



『かわいい』『かわいい』『タンスイそこどいて』



「驚かせてごめんね。飯に目が無い人だけど、根は良い人だから」

「……慣れてる」


『誰で?』『コメットでしょ』『発作が似てるからな』『草』



「俺はタンスイ、よろしく。料理をする人が珍しくて勝手に盛り上がって悪かった。――お詫びに俺も料理を作らせてもらおう!」

「……ん」


 メンヌは頷き、積んだ段ボールから下りて調理場から退く。

 気づくと背後にコメットが立っており、彼女は何気なく質問をした。

 何を作るのかと。


「芋料理を思い出したんだ。コロッケより簡単なハッシュドポテえええええッ!?」


 視聴者は気づいていた。どうせまた腕を捻り上げてくるのだろうなと。


『タンスイ……危機感を持とう』



***



「まず芋から片栗粉を作るうううううッ!?」


 またコメットに腕を捻り上げられている。


「生産ダンジョンに小麦粉はありますが、片栗粉は見つかってないですからね」

「……カタクリコ?」


 メンヌが妖精に問いかけるので、コメットにも伝わるように答える。

 小麦粉とは別の粉で、芋から作ることができると。



【片栗粉の作り方】


「といっても【キュア済みの芋】をすりおろして水にさらして、沈殿した澱粉を乾かすだけなんだけど」

「なるほどね……こうかしら」


 コメットは魔法で澱粉を一瞬で分離・乾燥させ、粉にしてしまった。


『全然見えねえ』『魔法すげえ』『風と炎と、なんだ?』『分からん』


 魔法調理に視聴者が圧倒されていると、突如コメットはその粉を口に放った。


「ペッペッ!」

「え、やば……」

「問題ないか確かめただけよ。ほら早く作って」

「はいはい」


「……手伝う」


 健気なメンヌに癒されながら【ハッシュドポテト】の調理を始める。



【ハッシュドポテトの作り方】


「千切りじゃがいもに片栗粉、塩、醤油、魔力結晶を混ぜる」

「……ん」


「フライパンで油を熱して、タネを平たく敷いて両面をこんがり焼く。終わり!」

「……はや」


「あーなるほど、成形しないぶんスコップコロッ――ブビュッ!?」



 無惨にもコメットの人差し指が、妖精を容赦なく貫いた。



「しまった! 私ったらまたなんてことを……!」


『別人格でてるって』『殺人衝動草』『こわいこわい』


「……コメットは、質問しようとしてるだけ」

「それで殺そうとしてくるんだから世話ないよな」

「……まぁね」


 そんな会話をしつつ、メンヌはハッシュドポテトを持つ。

 成形不要で、片栗粉のおかげでサクサクとした食感になる。

 黒胡椒やコンソメが無いが、生産ダンジョン産の芋は十分に美味しい。

 

「……カリカリ」


 適量を割って食べるメンヌの姿は小動物のようで可愛い。

 タンスイも自分の分を食べようとしたのだが、いつの間にか消えていた。


 どこだ――?


 コメットの口の中だった。



【魔力結晶はうま味調味料】



***



 ダンジョンイモモ五層 / ボーナスエリア /攻略済


 街の中心、地上にある階段を下りると広々とした地下空間に繋がっており、中心には環状の魔法陣が敷かれていた。この陣から"地下"のダンジョンへ転移できる。


 五層、外と見紛う程の平原にてコメットは口を開いた。



「第一回チキチキ! ドラゴンダンジョン・レース争奪戦の大樹コロスケパーティに加入してほしい!」



 吹いた――

 といった感じでファンタジー食材を地球の味に例えながら視聴者達と共有するっていう話になります。そこから魔族達の出会い、成長、関係構築、ダンジョン攻略も兼ねて進んでいきます。


 よろしくお願いします。

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