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バーロック・ワームズの供述書  作者: ダム底タヌキ
プライベート編
19/23

おまえのせいだよ

世間では“鳥目”という言葉があり、鳥類は夜になると目が見えなくなると誤解されがちです。


しかして、それはニワトリなど一部の種に限った話。

多くの鳥は夜間でも人並みに景色が見えているケースが多く、私の優秀な助手たるハトソンも、佐藤殿の野生の目ほどではないにせよ、上空からの地形を十分に把握できる性能を有しています。


私は懐から暗視ゴーグルを取り出して装着し、右目をそっと閉じました。

緑色に染まった地上の視界と、右目の裏側に直接リンクされるハトソンの俯瞰視点。

二つの情報を同時に処理する、索敵態勢の完了です。


しかし、探れども探れども、見つかるのは深い静寂ばかり。


「頼む…鳴いてくれよ…」


前を歩く佐藤殿が、祈るように、そして焦りを押し殺すように呟きました。

五月蠅いほどキャンキャンと吠え立てていたあの小柴の声が聞こえないことが、逆に最悪の想像を掻き立てるのでしょう。


その時のこと。

むせ返るような森の青臭さの中に、ふと、生臭い異臭が混ざった。


「血の匂いですね」


私が低く告げると、佐藤殿は鼻をピクつかせ、すぐさま太い木の根元へと歩み寄りました。


暗視ゴーグルの視界越しでもはっきりとわかる、べっとりと黒くこびりついた液体の痕。


「…犬の血だ。量が多い」


佐藤殿が、その痕跡の近くの土を指で確認し、ギリッと奥歯を噛み締めました。


「どっかもがれたな。これだけ出てるなら…最悪、腹か首だ」


致命傷。

その事実を前に、彼は「クソッ、鎌の一本でも持ってくればよかった…!」と悔しげに呻く。


それでも体は周囲を見渡し、手早く応戦用に使えそうな大きめの石をいくつも拾い集め始めている。

農具がなくてもその辺の石ころで戦おうとするあたり、帝国の尖兵として、戦場をくぐり抜けてきた感覚は抜けていないらしい。


私は血痕の周囲に目を凝らした。

折れたシダの葉、不自然に乱れた土、そして一定の間隔で続く血の点々。


「向こうですね。どうやら、飼い主も一緒のようだ」


血痕の横には、小型犬の足跡だけでなく、人間の子供のスニーカーの靴底の跡が、乱れ、引きずるように残されていました。


犬だけが襲われたのではない。あのクソガキ…りくと君も、負傷した犬を抱えるか引きずるかして、必死に逃げ惑っている。


私は上空で旋回する相棒に、手鏡で指示を飛ばしました。


『ハトソン。姿を確認できないか、西方向を先行して探りなさい。見つけ次第、合図を』


上空の影が、微かな羽ばたきと共に木々の奥へと飛び去っていくのを確認します。


私はステッキ代わりの長傘を強く握り直し、石を両手に抱えて殺気立つ佐藤殿の前にスッと出ました。


「ここからは、私が先導しましょう」


獣の嗅覚も立派ですが、痕跡を辿り、最短ルートで標的に追いつくトラッキング技術においては、我々ワームズの右に出るものはありません。


私は佐藤殿の空いている手を引き、これまでの慎重な足運びから一転、音を殺したまま速度を上げて、真っ暗な山林の奥深くへと飛び込みました。


泥濘む獣道を駆け抜けながら、不意に佐藤殿の足取りが乱れる。

タヌキの獣人特有の丸い耳がピクッと動き、後方の暗闇へ向けられています。


「嘘だろ…」


彼が信じられないといった様子で、息を呑みました。


「母親の方が、山に入ってきてます…声がする、一人だ!

あの人、僕らが山に向かっていったのに気付いたんだ!」


どうやら、彼の優れた聴覚が、遠くから響く叫び声を捉えたようです。

私も言われて気が付きましたよ、息子と愛犬の名前を呼ぶ、あの甲高い声に。


「面倒くさいですね。我々の忠告を聞かなかった、あの時の理解力の低さは何処に行ったんですか」


子供を探しに親が丸腰で危険地帯に飛び込むとは最悪だ、絵に描いたような二重遭難の典型パターンです。


一瞬、ワームホールを展開して音の発信源に飛び、首根っこを掴んで回収しようかと考えました。

ですが…私は横を走る佐藤殿を一瞥し、即座にその考えを棄却します。


相手は走る重装甲ミサイル。

いくら元工作員とはいえ、石ころしか持っていない彼を、この暗闇の中で単独待機させるのは論外です。


加えて、上空を飛ぶハトソンも、鬱蒼と生い茂る木々の枝葉に視界を遮られ、索敵に難儀している様子が右目のリンク越しに伝わってきていました。


今、私がこの地上の痕跡から視線を外せば、りくと君たちの足取りを見失ってしまう。

一刻を争う状況下で、捜索を中断するわけにはいきません。


「母親は後回しです。まずは子供の痕跡の追跡を続けますよ」


「ですね…了解です」


私の判断意図を正確に読み取り、佐藤殿は大人しく従いました。

個人の感情よりも任務の最適解を優先する。やはり彼は腐っても帝国の工作員です。


背後から迫る愚かな母親の声を無視し、さらに速度を上げて夜の山林を進んでいくと、緑色の視界に、再びどす黒い飛沫の跡が浮かび上がります。


「また血…犬の血だ…血が止まってないのか」


地面の染みを確認し、佐藤殿が苦痛に満ちた声で呻きます。

しかし、彼はその場に漂う匂いをさらに鋭く嗅ぎ分け、ハッと息を吸い込みました。


「…いや。今のは、人間のが混じってる。擦りむいた…?」


「暗闇の中でパニックになり、斜面を転げ落ちたか、木の根に引っかかったのでしょう。私の獲物もよくやりますよ、体力が限界に近づいている証拠です」


血を流す犬を抱え、自身の負傷にも構わず逃げ惑う子供。その後ろから迫る、暴食の権化。


最悪の結末が秒読み段階に入っていることを察しながらも、私たちは一切の無駄口を叩かず走り続けました。


血痕が途切れた先は、山林の斜面が唐突に切れ落ちる断崖絶壁。


その縁で、あの巨大な雄イノシシが猛烈に鼻息を荒らげ、興奮状態のまま足元の土を蹴り上げている。


「落ちたか…?」


私は最悪の事態を想定し、右目にリンクしたハトソンの俯瞰視界へ意識を集中させました。しかし、月明かりに照らされた崖の底には、人間や犬の姿はおろか、落下した痕跡すら見当たりません。


「鈴木さん、上です!木の上だ!」


夜目の利く佐藤が、弾かれたように上を指差しました。


視線を向けると、崖の縁からせり出すように生えた太い木の枝に、小さな影がしがみついているのが見える。


りくと君です。あんな小さな体で、どうやってあそこまで登ったのか。火事場の馬鹿力というやつでしょうか。

そして、彼の震える腕の中に抱えられていたのは――下半身が血に染まり、後ろ足をクリスマスツリーのオーナメントのようにぷらぷらと揺らすコタローの姿でした。


「想像してたよりはマシですね」


状況を確認した瞬間、イノシシが太い幹に向かって突進をぶちかましました。


ドゴォォォンッ!!


根元から木が激しく揺れ、枝にしがみついていたりくと君から「やぁぁぁぁっ!!」と悲痛な叫び声が上がります。


「やめろォォォッ!!」


佐藤が拾い集めていた石を、全力でイノシシに向かって投擲しました。


ガンッ!ゴツッ!

獣人の筋力から放たれる投石は、正確にイノシシの胴体や頭部を捉えます。しかし――。


「フゴォォォッ!!」


分厚い毛皮と脂肪の鎧、何より極限まで高まった興奮状態の前では、石ころの打撃など小石が当たった程度の効果しかありません。

奴は全く意に介すことなく、再び幹へと容赦ない突進を繰り出しました。


メキッ、という不吉な音が響いたのと同時。ついに腕の限界を迎えたりくと君が、コタローを抱えたまま、崖下に向かって真っ逆さまに落ちてった。


「落ちたッ!」


「佐藤殿、舌を噛まないように!」


私は佐藤の襟首を掴むと、瞬時にワームホールを展開し、崖の下の落下予想地点へと二人ごと空間を跳びました。


空間のシワを抜け、崖下の地面に着地したのと同時に、上空を見上げます。

数十メートルの高さを、泣き叫ぶ子供と犬が猛スピードで落ちてくる。このまま下で受け止めようものなら、私の腕ごと粉砕されてスプラッター。多少のズルがいりますね。


「少し細工しますよ」


私は虚空に指を走らせ、落下してくる彼らの軌道上に、ワームホールの“入口と出口”を展開しました。


ズッ!ポンッ!


上空の穴に吸い込まれたりくと君たちが、私のすぐ目の前の低い空中に開いた穴から吐き出される。


空間を繋ぎ直すことで、致死的な落下の運動エネルギーを多少なりとも減衰させたのです。


「よっと…ッ!」


空中にふわりと現れた子供と犬の質量を、私は両腕でしっかりと受け止めました。

しかし、それまでの落下エネルギーが消えたわけではなく、ズシッとくる重みに体勢が後ろへ大きく傾きます。


「鈴木さん!」


背後から、佐藤が私の背中をガッチリと支え、なんとか転倒を免れました。


「ありがとうございます…間一髪、というやつですね」


私は息を吐き出し、腕の中の惨状を確認しました。

りくと君は恐怖とショックで過呼吸気味に震えていますが、目立った外傷はありません。しかし、彼が胸に抱きしめているコタローは――。


「…酷い出血だ。佐藤殿、これ、持ちますか?」


「ダメです…!息はありますけど、このままじゃ死にます!」


佐藤の言う通りでした。

島には、こんな重傷の動物を深夜に手術できる設備などありません。


「仕方ありませんね。本島の、夜間救急に対応している設備の整った病院へ直接放り込むとしましょう

…おい、ジャリガキ。犬をこちらへ渡しなさい」


私が手を伸ばすと、りくと君は血まみれのコタローをさらに強く抱きしめ、首を激しく横に振りました。


「やだッ!やだぁ!コタローを連れてかないで!!」


パニック状態の子供の力は、意外なほど強い。

無理に引き剥がせば、コタローの傷をさらに悪化させかねません。


かといって、このまま彼ごとワームホールを通し、本島の市街地に瞬間移動する光景を明確に認識させるのは、今後の活動において非常に厄介な火種となる。


そこまで考えたところで、なんかもう色々面倒くさくなりました。


「本当に、手のかかるお子様ですね」


私は小さく舌打ちをすると、インバネスコートの袖を伸ばし、りくと君の視界を上からスッと覆い隠しました。


「な、なに…っ!」


「大人しくしていなさい。これからお見せするのは、お子様の情操教育には刺激が強すぎる魔法(マジック)ですからね」


視界を完全に遮断し、彼が暴れるのを防いだ状態で、スマホを取り出して適した病院を検索する。


「私はこのまま本島へ飛びます

貴方は、どうしますか?」


私の問いに、佐藤は崖の上を見上げました。木々のざわめきに混じって、まだ微かに、息子と犬を探す母親のヒステリーが響いています。


「お母さんの方も探します、山から降ろさないと

放置したらイノシシの餌食になるか、遭難して死にますからね」


「正気ですか?我々の忠告を無視した愚かな一般市民ですよ。ミイラ取りがミイラになる可能性が高い」


「わかってます…でも、子供だけ助かって親が死んだら、後味が悪すぎるんで

僕も一応、この島で畑やってるご近所さんの端くれですから」


佐藤は泥だらけの服のまま、少しだけ自嘲気味に笑いました。


「お人好しも大概にしないと、寿命が縮みますよ」


「鈴木さんには言われたくないですね」


私は小さく鼻を鳴らし、再び青白い空間の穴をこじ開けました。


「無理はしないように

野生の獣相手に、貴方の命をチップにする義理はありませんからね」


そう言い残し、私は視界を奪われて震える子供と、瀕死の小柴を抱えたまま詠唱を適当に紡ぎ出す。


「【仕分けの手間すら惜(アジャスト)しい。(・)この厄介なオマケ(ウォンテッド)ごと、(・)一括納品させてもらいま(ファトエバ)すよ】

感謝なさいな、クソったれ」


潮風の吹く愛媛の山林から、本島のネオンが光る市街地へと飛び込みました。


青白いワームホールを抜け、私が足を踏み出したのは、潮風と土の匂いとは無縁の、排気ガスとアスファルトが匂う都会の路地裏です。


「よし、到着」


私はインバネスコートの袖をずらし、りくと君の視界を解放しました。


「ここどこ?」


りくと君は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を上げ、周囲を見渡して呆然としました。

つい数秒前まで真っ暗な山林の中にいたはずが、今は街灯と車のヘッドライトが眩しい、見知らぬ大通りの近くに立っているのですから。無理もありません。


ここは島から海を隔てた本州、広島の市街地。事前に私のスマホ弾帯が叩き出した最短かつ最適な救急指定座標です。


「ここは…どこ?さっきまで山に…」


「パニックを起こした子供の脳は、ストレスで記憶の連続性を失うことがあります

貴方は山で転び、親切な私が偶然通りかかって、船で病院まで運んできたのですよ…さあ、急ぎなさい。あそこの光る看板が見えますか」


私が指差した先。深夜の暗闇の中で、そこだけが煌々と白い光を放っているガラス張りの建物がありました。

その名も、広島夜間救急動物病院。


「病院…!」


「走れますね?コタロー君の命は、貴方の足にかかっていますよ」


りくと君はハッとして、血まみれのコタローを胸に抱えたまま、重い足を引きずって自動ドアへと駆け出しました。

私も長傘を突きながら、その後を追います。


ウィーン、と自動ドアが開いた瞬間、清潔なアルコールの匂いと、明るい照明が私たちを包み込む。


「すみません!!助けて!コタローが、コタローが!!」


りくと君が待合室に響き渡る声で叫ぶと、深夜にも関わらず、奥のカウンターからスクラブ姿の獣看護師が弾かれたように飛び出してきました。


「どうしました!?

うあ、ひどい出血…こちらへ!早く処置室へ!!」


血まみれの犬と子供、そして背後に立つ異様な風体の私。

普通なら警察を呼ばれてもおかしくない状況ですが、スタッフの女性は私の胡散臭い外見に一切の疑問を挟むことなく、ただ失われかけている命のみにフォーカスして動きました。


「先生!救急です!

外傷、出血性ショックの疑い!!」


奥の扉が開き、白衣を着た獣医師が飛び出してきます。


「ストレッチャー出して!咬傷か!?事故か!?」


「イノシシだよ!山でイノシシにやられました!!」


「野生鳥獣の牙による裂傷!感染症の疑いあり!

バイタル確認、ライン取って!輸血の準備急げ!!」


怒号に近い指示が飛び交い、複数のスタッフがコタローをりくと君の腕から素早く、しかし慎重に引き剥がし、銀色のストレッチャーに乗せました。


「やだ、コタロー…コタロー!!」


「坊や、大丈夫だからね!先生たちが全力で助けるから、君はここで待っていて!」


看護師がりくと君を優しく、だが力強く引き留め、コタローを乗せたストレッチャーは処置室の奥へと消えていきました。

バタン、と重い扉が閉まり、手術中の赤いランプが点灯します。


私は、その流れるような一連の連携を、感嘆の息を漏らしながら眺めていました。


「素晴らしい」


深夜のこんな時間帯に、高度な医療知識を持った専門家たちが常駐し、人間ですらない“動物”の命を救うために、一切の出し惜しみなく技術とリソースをつぎ込んでいる。


帝国の野戦病院ですら、これほど迅速なトリアージと初期対応は望めませんよ。


「この国は、本当に狂っていますね

人間への医療ならまだしも、愛玩動物の延命にまでこれほどのインフラを整備し、24時間体制で稼働させているとは…命の価値のインフレが限界を突破していますよ」


私は感心しながら、待合室の隅にあるソファに腰を下ろしました。

ふと視線を落とすと、りくと君が処置室の扉の前にへたり込み、両手で顔を覆ってガタガタと震えていました。


彼の服は、コタローの血で赤黒く染まっています。

昼間、あんなに憎たらしく木の棒を振り回し、『僕のコタローは最強なんだ!』とイキり散らしていたクソガキの面影は、そこには微塵もありません。


そこにいるのは自分の無力さと、取り返しのつかない過ちを突きつけられ、恐怖に押し潰されているだけの子供でした。


「お、おじさん…」


りくと君が、しゃくり上げながら私の方を振り向きました。


「コタロー…死なない、よね…?助かるよね…?」


すがるような目。

誰かに『大丈夫だ』と嘘でもいいから言ってほしい、都合の良い夢を求める猿の顔です。


ここで『助かるさ』と優しく頭を撫でてやるのが、大人の模範的な対応なのでしょう。

しかし、私は大人げない。


「それは、扉の向こうの獣医師たちと、コタロー君自身の生命力次第ですね


そうそう、コタローが死んでも、イノシシを恨んではいけませんよ

もし彼が助からなかったとしても、それは彼らが悪いのではありません。あの獣は、自らのテリトリーと本能に従って行動しただけですからね」


「う…なんでそんなこと言うの」


「諸悪の根源が貴方だからです」


「え」


「彼をあの危険な山へ連れ出し、リードもつけず、圧倒的な強者に対して無謀な特攻を仕掛けさせたのは、他でもない貴方


コタロー君をあの死地に追い込んだ最大の原因は、貴方のその“思慮の浅さ”ですよ。可哀想にね、コタロー君…飼い主がこんな残念な子で」


私の容赦のない言葉に、りくと君はビクッと体を震わせ、そして、ワァァァァッ!と顔を覆って泣き崩れました。


「ごめんなさい…っ!ごめんなさい…っ!!コタロー…ごめんね…っ!!僕が、僕が馬鹿だったから…っ!!」


待合室に、後悔と懺悔の混じった子供の泣き声が響き渡ります。


「…やれやれ。少し言い過ぎましたかね

まあ、情操教育の一環としては、少々ショック療法が過ぎたかもしれませんが」


私は肩をすくめ、自販機で買った温かい缶ココアを、泣きじゃくる彼の傍にそっと置きました。


「泣いても過去は巻き戻りませんし、傷が治ることもありません


今はただ、あの扉の向こうで戦っているお医者様の技術を信じて、待つことですね…貴方のその涙が、少しでも彼らの成功率を上げる祈りになれば良いのですが


その泣き声は集中力を削ぐだけです、少し音量を抑えなさい」


叫びは途端に、しゃっくりあげへと変わっていった。


「いい子です」


私は静かに目を閉じ、処置室から漏れ聞こえる電子音と、医師たちの切迫した声に耳を傾けました。

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