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ExtraMaxWay-NaturaProdesse-  作者: 凩夏明野
第八章-愛の国-
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大地賛歌

召喚した“影の王冠”を机に叩き付ける。

当然の様に机は割れ、上に乗っていたティーカップは地面に落ちて割れた。


「いきなり机を叩き割るなんて物騒ね。」


「机の下で刀を構えている奴よりは安心安全じゃないかな。」


“影の王冠”は“多角鋭式六頭霊影刃”に止められてセナリアには届かなかった。

痩身の女の子は大概大剣を振り回すのがお約束だが、何でびくともしないんだ。

俺は上から切り掛かった。

セナリアはそれを受け止めている。

分が悪いのは圧倒的にセナリアなのに……!


「毬、涼治の相手は私がするから“盗みし九十九代の録音”は使わなくていいわ。」


「そーなのー?詰まんないなあ。私は涼治君を攻めて責めてせめて苦しませながら殺してあげようと思ったのに。じゃあ私はこっちの女の子の相手をすれば良いのかな~?」


「馬鹿ね。攻撃用の術式兵装を持たない貴女が原点使いちゃんに勝てる訳ないでしょ。取りあえず閉じ込めておいて。」


「……!気を付けろ頼子ちゃん!」


「分かってるよ。『大地は人を支えるために生まれたのではなく虐げられるために生まれた』。地震雷火事津波“E.T.F.W”。ちょっと行ってくるね。『大地“天地創造”』。」


「うにゃ~!?」


「うわっと!」


俺の右に壁が出現した。

いや、壁と言うより天に向かって聳える“大地”と言った所だろう。

新たに違う大地が“創造”されたのだ。

頼子ちゃんと毬はあっという間に天に昇っていった。

……いや死んだ訳じゃないぜ?


「……これが原点使いの力か。流石に驚いたわ。」


「ああ俺もだ。まさか此処までの力なんてな。」


「そうね。それで何時まで私と鍔ぜり合いをしているつもりかしら。」


「ごもっともな質問で。」


刃を離し、ついでにセナリアから距離を取る。


「……。」


「セナリア……?」


いまだに椅子に座ったままのセナリアが項垂れている。

俺が“影の王冠”を構えて対峙しているのにだ。

いくら“多角鋭式六頭霊影刃”を持っているとは言え気を抜きすぎではないだろうか。

[気を抜いている訳ではなさそうだ。何やら小刻みに震えているぞ。]

本当だ。


「あのー、セナリアさん?」


「あ……ああ、ごめんなさい涼治。ちょっと、興奮しちゃって。」


「興奮?この状況で一体何に興奮するって言うんだ。」


「中代頼子、大地の原点使い。素晴らしいとは思っていたけど、こんな力を見せられたらその思いが爆発しちゃったわ。本当に素晴らしい。危うく昇天しちゃう所だったわ危ない危ない。」


そう言うとふらふらと椅子から立ち上がる。

立ち上がりきった頃には震えも無くなりしゃんとした何時もの、何時も見ていたセナリアの姿に戻った。


「さて、じゃあ戦いましょうか。ああ違った戦争をするんだったわね。」


「どっちでもいいさ。意味合いは同じだ。」


「そうね。着ようか、全てを阻む腐食の鎧。“千からなる(レックス)死因の共鳴(コロージオ)”。」


セナリアの体を毒々しい深紅の鎧が包む。

触れた物全てを腐らせる腐食の鎧。

嫌な物の全てを拒絶する絶対の鎧。

“千からなる死因の共鳴”。


「死因は一つ、体が腐る事によるショック死だけなのに千からなるってのはおかしくないか?」


「そんな事を言われても困るとサブナクは言ってるわよ。こういう物は意味よりも語感が大切なのよね。ベレトの“影の王冠”は、“真の影”を使っているっていう事と、ベレトが王様だって事に掛かっているけどね。」


「語感か。確かにそれは重要だな。」


“睥睨する七万の瞳”、“多角鋭式六頭霊影刃”、“落日に燦然たる福音”、“慄然する十二の咆哮”。

確かに語感は良い。

……何故かは知らないが、何となく自画自賛っぽいのが嫌だが。


「貴方は悪魔の鎧を着ないのかしら?私相手には使うのが勿体ない?」


「まさか。お前の刀も鎧も物凄く怖い。出来れば使いたい所だ。」


[この先待ち構えているであろう面倒を考えれば温存するべきではある。だが此処であのお嬢さんに負けては話にならない。難しい所ではあるな。]

そうなんだよ。

セナリアを嘗めている訳ではない。

彼女は強い。

それは糸井との戦いを見て分かっている。

“多角鋭式六頭霊影刃”の上位互換である“腐食の王(サブナク)”。

あれの斬撃を正面から受けるのは、あまりにも危険に思える。


「まあいいわ。貴方が使わないというならそれでね。でもあれね、いい加減―――」


「っ!?」


次のセナリアの台詞は、やけに耳元近くで聞こえた。


「始めないとぐだぐだになるわ。」


それもその筈、セナリアは再び俺と刃を交えるために接近してきたのだから。

正面から迫る“多角鋭式六頭霊影刃”を何とか“影の王冠”で受ける。

一瞬火花が散った後、金属がぶつかり合う音が連続して鳴る。


「嘗めている訳ではない様だけれど、油断はしていた様ね。」


「まあ、な……!」


両腕に“攻撃”……星三十ずつって所か。

[ハズレだ。両腕に四十ずつ。全く、相手の星すら見抜けない中途半端な状態で此処まで来るとは、情けない限りね。]

ごもっともだな。

両腕に、“攻撃”星五十。


「はあ!」


「わっと。」


両腕に力を込めて“影の王冠”を振り抜く。

そうする事でセナリアを弾き飛ばす。

改めて、戦争開始。

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