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女帝に転生しまして  作者: マキシム
女帝に転生しまして(番外編)
21/42

元王太子に会った

「王太子が見た同盟国の婚約破棄」に登場する人物が現れます

ごきげんよう、オリビア・アスファードです。私は現在、公爵家のシマの視察に行っております

夫が宰相として、国政を担っている以上、妻の私が領主代行としてシマの様子をこの目でみる責務があります


【オリビア・アスファード】

「公爵家のシマを見て回ったけど、特に問題なくやれているわね」


【部下】

「これもオリビア様の御威光の賜物にございます。治安と領民の暮らし向きも良くなりましたのもオリビア様の英知と英断によってなったもの、全ての領民はオリビア様に心服しております」


【オリビア・アスファード】

「お世辞でもうれしいわ」


私たちはシマを散策していると・・・・


【領民】

「おーい、そいつを捕まえてくれ!食い逃げだ!】


私は声をしている方を向くと、領民に追われている薄汚いなりのした男がよろよろながらも逃げているところを見た


【部下】

「食い逃げとは、オリビア様がおられるときに、何たる失態、私が捕らえてまいります」


部下は急いでその食い逃げ犯を速攻かつ力づくで取り押さえた


【部下】

「貴様、ここがアスファード公爵家の領地と知っての狼藉、許すわけにはいかん」


【???】

「ゆ、許してください、一週間もまともに食べていないのです」


【部下】

「何も食べていないだと、我が領地で飢えている者は一人もおらん!さては、よそから来たな!よそ者が食い逃げとはいい度胸だ!」


【オリビア・アスファード】

「およしなさい、話も聞かずに頭ごなしにいうものじゃないわ」


私はすぐに部下の方へ行き、取り押さえている男を見た


【オリビア・アスファード】

「ん?」


【???】

「あっ」


私は部下に取り押さえられる男に目が合った瞬間、男の顔に見覚えがあった。薄汚れているが間違いなく知り合いだった

そこへ警備隊が現れ、男は連れていかれた


【部下】

「オリビア様、見苦しき者を見せてしまい、申し訳ありません・・・あのオリビア様」


【オリビア・アスファード】

「あの男には見覚えがある」


【部下】

「はい?」


【オリビア・アスファード】

「あの男に会いにいくわよ」


【部下】

「えっ!あのような者に会う必要なございません」


【オリビア・アスファード】

「私が決めたんだ!良いから行くわよ」


【部下】

「仰せのままに」


私たちは警備隊の詰め所に行き、さっきの男に会いにいった


【警備隊員】

「どうぞ、こちらへ」


警備隊員の案内の下、牢屋に入っている男に対面した


【???】

「ひいっ」


男は私を見るなり怯え始めた


【オリビア・アスファード】

「すまないけど、席を外してもらえるかしら、何かあれば呼ぶわ」


【警備隊員】

「了解しました」


警備隊員を席から外し、男に話をした


【オリビア・アスファード】

「やはり、貴方なのね、レイズ・シュヴァリエ」


【部下】

「えっ!」


【レイズ・シュヴァリエ】

「うう」


【部下】

「レイズ・シュヴァリエって、確かシュヴァリエ王国の元王太子で、今はハート男爵家に婿入りしたはず!」


【オリビア・アスファード】

「薄汚れているが、間違いないわ。レイズ殿、なぜ貴方がここにいるの?」


【レイズ・シュヴァリエ】

「・・・・」


私は牢屋の鉄柵を思いっきり蹴った


【レイズ・シュヴァリエ】

「ひいっ」


【オリビア・アスファード】

「私はあまり気の長い方じゃないんだ。早く話せ。私を怒らせない方が、てめえの身のためだぞ、なあ、なあ!」


するとレイズは観念して喋りだした


【レイズ・シュヴァリエ】

「おっお久しぶりでございます。オリビア様」


【オリビア・アスファード】

「なぜハート男爵家に婿入りした貴方がアスファード公爵家の領地、しかも他国にいる?」


【レイズ・シュヴァリエ】

「はい、私は確かに男爵家に婿入りしましたが、常に肩身が狭く、しかも辺境の領地は何もなく、義理の父母から冷たく扱われ、私は我慢できずに男爵家の金庫から金を盗んで逃亡いたしました」


【オリビア・アスファード】

「ほお」


【レイズ・シュヴァリエ】

「しかしその金も尽きて、一週間は水と草だけで空腹を凌いできました。やっと町につき久しぶりに食事にありつけたのですが、金がないために食い逃げをいたしました」


【オリビア・アスファード】

「それがさっきの食い逃げか?」


【レイズ・シュヴァリエ】

「はい、その通りです」


一通り話し終えるとレイズはふと愚痴をこぼした


【レイズ・シュヴァリエ】

「私の人生は一体何だったのでしょうか?私は生まれながらにして王太子の責務を背負い、周囲からの期待に応え、父から決められた婚約者とも上手くやれていました。でもやはり自分の意志というものが持てませんでした。自分の気持ちに正直になりたかっただけなのに」


【オリビア・アスファード】

「それが今の結果につながったといいたいのか?誰だって自分の処遇に不満に思う奴だっている。私も皇帝の第一皇女として身につけなければいけないことがいっぱいあって私自身も不満に思ったことはあった」


【レイズ・シュヴァリエ」

「それなら・・・・」


【オリビア・アスファード】

「でもな、それがこの世界に生まれた者の責務でありケジメでもある。誰だっててめえの思い通りにやりたいと思うことがある。だがてめえの思い描いた理想と受け入れられない現実の間で苦しむことがある。世の中の矛盾に苦しむこともある。だからこそ明日が来てほしいと思うことがある。たとえその結果が悪い方向に進んでも歯を食いしばって頑張るしかねえんだよ」


【レイズ・シュヴァリエ】

「・・・・」


【オリビア・アスファード】

「別にてめえの意志に行きたいと思うのは悪いことじゃない。でも道を誤りさえしなければの話だがな。だがお前と私の甥のマルス・インジェントは完全に道を踏み外してしまった」


【レイズ・シュヴァリエ】

「・・・・」


私は一息つけ、マリアの事を話した


【オリビア・アスファード】

「お前の元婚約者のマリア嬢に会ったわ、あの娘は幸せに暮らしているわ、私の甥のカイル・セルベックスとも上手くやっているわ」


【レイズ・シュヴァリエ】

「そうですか」


【オリビア・アスファード】

「お前は強制送還で済ませるよう、陛下に頼んでみるわ、貴方もこれまでの自分と決別して生きることね」


私はそう言い残し、警備隊の詰め所から出た


その後、レイズ・シュヴァリエはシュヴァリエ王国へ強制送還され、現在はとある修道院で見習い修道士として人々のために汗水流して頑張っているとの報告があり、私はほっと胸を撫で下ろした




オリビア自身も前世の自分の生まれに不満を抱いており、結果的にそれが糧になったおかげで人生の苦楽と人情の機微を学んだんでしょうね

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