閑話:泥棒猫の親の憂鬱
私はアリッサ・クローリーの父でクローリー男爵家当主です。元はインジェント帝国の大商人として活動してきましたが、私は貴族への憧れを抱き、インジェント帝国への献金を欠かさず行い、男爵位を買い取ることができました
家柄は男爵ですが、商人時代からの資産もあるので他の男爵家よりも大変裕福な暮らしをしております
順風満帆の私にはある悩みがある。それは娘のアリッサ・クローリー、娘は奔放な性格で色々な殿方と交際し、中には婚約者のいる殿方も含まれており、私は婚約者のいる家々に賄賂を渡し、水に流してきました
私と妻は何度も娘を諌めましたが、一向に聞かずにいました
そして私たちが一番懸念しているのはオリビア・アスファード様、あの御方はゴーン・インジェント皇帝陛下でさえ頭が上がらないほどの権力を持っており私たちは常に神経をすり減らしながら気を配っていました
現在、我が屋敷の前に城から派遣された兵士たちが整列しておりました
【泥棒猫の父】
「これは一体何事だ!」
【兵士長】
「オリビア様の命である、クローリー男爵家の身分剥奪の上、国外追放、屋敷を取り壊すとのことだ、もちろん皇帝陛下もご了承の上だ」
オリビア様の命だと、私たちは神経をすり減らしてまで気を付けていたのになぜ?
【泥棒猫の父】
「オリビア様の命、一体なぜ!」
【兵士長】
「オリビア様いわく、"クローリー家の令嬢は私の娘だけではなく他家の令嬢の面子を潰した"とのことである」
アリッサの奴、何てことしてくれたんだ!
【泥棒猫の父】
「身分を剥奪され国外追放されたら我々は生きていけません!」
【兵士長】
「心配無用だ!オリビア様が新しい住居を提供するとのことだ!よし、かかれ!」
兵士長の号令で屋敷は取り壊され、私たちはオリビア様が用意した新しい住居へ強制的に引っ越すことになった。私はどこで間違ってしまったのか