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あるじとかな  作者: 夜霧
第一章

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お礼

 出窓で微睡んでいたかな

 ラタンチェアに座り魔導書を読んでいた魔術師

 いつもの穏やかな午後の時間が流れていた


 魔術師の魔法で快適な気温に保たれている室内

 長い階段を登りきった先の二階は、森を見渡せる程の高さにあった

 かながひなたで寝ころべるよう広く造られた出窓には、陽だまりができていた


 不意にかなが顔を上げた

「あるじ、子供の声が聞こえるよ」

 かなが欠伸をひとつして伸びた

「珍しいね、この森にはあまり人が来ないのに」

 コンコンコン

 扉をノックする音が聞こえた

 魔術師はかなと顔を見合わせると玄関へと降りていった

 扉を開けると先日の女の子とソワソワした子供たちが居た

「お母さんに言われて届け物に来ました。魔術師様と聖獣様のおかげで元気になりました。ありがとうございます。これお礼だそうです」

 女の子は沢山の包みの入ったかごを持ち上げた

「元気になって良かった。ありがとう。お母さんにお礼を伝えておいてね」

 魔術師はかごを受け取ると女の子へ微笑んだ

「美味しそうなにおい!あるじ!それなに?」

 かなが後ろでぴょんぴょんしながら覗いてきた

「聖獣様こんにちは」

 女の子がかなへ挨拶をした

 女の子の後ろからかなの姿を見た子供たちがすごい、ほんとだ、猫ちゃんみたいなどと口々に言った

「干し肉とチーズを挟んだパンとドライフルーツの焼き菓子です」

 女の子がかなの質問に答えた

「ドライフルーツの焼き菓子はこの甘い匂いのやつ?あるじ、ちょうだい!」

 魔術師は包みを開け、かながひとくちで食べられるサイズにして差し出した

「んー!」

 かなが目を輝かせた

「これすごく美味しい!ありがとう!」

 かなは女の子へ擦りよった

 女の子はかなの様子に嬉しそうに笑った

「聖獣様撫でても良い?」

 女の子がかなへ聞いた

「良いよ」

 かなが得意げに座った

 女の子はかなの頭を撫でた

「聖獣様はふかふかだね」

 かなは得意顔だった

「お母さんに聖獣様が喜んでたって言っとくね」

「うん、またちょうだいって言っといて」

「かな、それはダメだよ」

 女の子とかなの会話に魔術師が慌てて止めに入った

「大丈夫です。お母さんも嬉しいと思います」

「でも、貰い過ぎは良くないからね。これでお礼は十分だよ。届けてくれてありがとう。気を付けて帰ってね」

 魔術師は女の子に微笑みながら、空になったかごを返した

「はい、帰ります。聖獣様バイバイ」

 後ろにいた子供たちも、かなにバイバイと手を振り帰っていった

「あるじ!早く食べよ」

 かなは嬉しそうに奥へと走っていった


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