街の危険と雪豹のかな
魔術師たちは、旅に慣れていないあおのために、あおが起きている間はゆっくりと進んでいった
皆で周りの景色を楽しみ、時にはあおがかなの背中に乗る
自分で歩いては木の実を見つけて頬張り、疲れると魔術師の服の中へ潜り込む
あおも旅を楽しんでいるようだった
あおが眠くなると、魔術師の腰に付けたあお用のポシェットにそっと寝かせ、かなに乗って進んだ
かなの足なら人が歩く何倍も先へ進めるため、あおがのんびりしていても困ることはなかった
村を出て数日が過ぎた
旅は順調で、街にまもなく着く。その前に、かなに話しておかねばならないことがあった
魔術師はかなに話しかけた
「かなに街のことを話しておかないとね」
「そうだね。どんな所?」
「村よりずっと広いよ」
「広い?」
「たくさんの人が暮らしていて、村にはなかったけれど、物を買うことができるお店があるんだ。かなが見たことがない物がたくさんあるよ」
「美味しいものも買える?」
「もちろん」
魔術師の言葉に、かなはゆらゆらとしっぽを振り、目を輝かせた
「でもね、かな」
「どうしたの?あるじ」
「人が多いということは、それだけ色々な考えを持つ人がいる、ということなんだ」
かなは首を傾げた
「村の人たちは、かなのことを知っていたね。聖獣様だからと、大切にもしてくれていた。でも街の人は、かなのことを知らない。かなを見て優しくしてくれる人もいるかもしれない。でも、珍しいから、可愛らしいからと、自分のものにしたいと考える人もいるかもしれないんだ」
かなは少し考え込んだ
「だからかなに、街にいる間は、雪豹の姿でいてもらいたいんだ」
「どうして?」
「かなが聖獣だと、みんなに一目でわかるからだよ」
「……小さいと、ダメ?」
「かなを知らない人は、小さなかなを見て『小さいから連れて行ける』と思うかもしれない。でも身体の大きな雪豹なら、簡単にはそんなことは考えないんだ」
「そっか、あるじがそういうなら、我慢する」
「かな。ありがとう」
魔術師はかなを抱き上げると、優しく頭を撫でた




