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あるじとかな  作者: 夜霧
第一章

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12/17

収穫祭

 収穫祭当日は朝から村中が賑やかだった

 各家庭で担当料理を作り持ち寄ることになっているため、様々な料理の匂いで溢れていた

 みのりも昨日から準備した料理をテーブルへと並べていく

 かなが好きな焼き菓子やサンドイッチも準備した

「お母さん、なにかお手伝いある?」

 くるみも収穫祭の空気で落ち着かなかったのか、今朝はいつもよりも早く起きてきた

「大丈夫よ、何か食べる?」

「お祭りのご馳走いっぱい食べたいから今はいらない」

 なんとも子供らしい発想にみのりがくすりと笑った

「そうね、楽しみよね」

「うん!かなちゃんとあおちゃんも来るから嬉しいの」

 くるみは窓辺へ行くと収穫祭の準備で賑わう村の様子を見ていた

 祭壇は収穫物に溢れ、子供たちの作った木の実の動物たちもいつもよりも数が多い

 かなやあおに似たシルエットが大半を占めていた

「かなちゃん、早く来ないかなー」

 くるみはにこにこと村の入口を眺めた


 魔術師たちが村へ到着すると収穫祭が始まった

 広場には祭壇を中心として色とりどりの敷物が広げられていた

 テーブルで食事をできないかなへの配慮として、全員が同じ高さで食事ができるよう、敷物を持ち寄り広げられたのだ

 食事が振る舞われ、笑いが溢れていた

 かなはたくさんの食べ物に囲まれ嬉しそうだ

 次々に「美味しい!」と言いながら食べていった


「かなー。遊ぼうぜー」

 男の子たちが集まりかなを呼んだ

「いーよー。あるじ、行ってくるね」

 かなは駆け寄ると男の子たちと追いかけっこを始めた

 次々と子供たちが参加し、遠巻きに見ていた子供たちも次第に一緒に遊び始めた


 いつの間にか、かなを中心に村の子供たち全員が遊びに参加していた

 その姿を大人たちは微笑ましく眺めていた


 しばらくすると子供たちも疲れて親の元へと散っていった

 かなも魔術師の元へと帰ってきた

「あるじ」

 魔術師に寄りかかるようにゴロンと横になるとかなのしっぽにあおがしがみついた

 魔術師はかなの頭を優しく撫でた


「かなちゃん、これお母さんと作ったの」

 くるみが焼き菓子を持ってやって来た

「くるみ、ここ」

 かなが隣へくるみを呼んだ

 くるみがかなの隣に座り焼き菓子を差し出した

「うん。美味しいよ」

「良かった、嬉しい。かなちゃん大好き」

 くるみはかなにぎゅっと抱きついた

「ぼくもくるみが大好きだよ」

 かなは自分の頬をくるみの頬へすりすりとした

「いいな、僕も!」

「え?俺も!」

 かなの周りに再び子供たちが集まり笑い声が弾けた


 村は魔術師の知恵を借りる事で飢えることはなかったが、今年は今までで見たことの無いほどの豊作だった

 村長は豊穣の神と魔術師とあお、そして、かなにそっと感謝と祈りを捧げるのであった


「あらあら、魔術師様すみません。子供たちに埋もれてしまいましたね」

 様子を見に来たみのりが子供たちの有り様に笑いながら言った

「大丈夫ですよ、慣れてきました」

 魔術師の膝で眠るかなとあおを中心に、子供たちは遊び疲れて眠り込んでいた

「来年もきっと豊作で、賑やかな収穫祭が出来そうですね」

 魔術師はかなの頭を優しく撫でた

「私も楽しみになりそうです」

 魔術師はみのりへと微笑んだ


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