収穫の日
森の木々が色づき、大地は秋の実りで満たされていた
普段なら村での行事も断り、研究に没頭している魔術師だが、今年はかなの希望で収穫祭への参加を決めたため、収穫もどうかと、みのりに誘われた
かなとあおまで、期待に満ちた顔で見上げてきたため、断ることが出来ず魔術師も参加することになった
森の収穫日にみのりとくるみが迎えに来ると、かなは嬉しそうに森へと入っていった
かなはゆったりとしっぽを揺らしながら、収穫物を運ぶのを手伝った
かごを咥えてみのりとくるみの後ろをついてまわっていた
かごがいっぱいになると、収穫物置き場へそれを置き、空のかごを咥えまたついてまわる
かなはとても楽しそうだった
あおは村人に果物を剥いてもらい、ご機嫌になっていた
今はポシェットの中で殻付きのくるみを抱え、大人しくみんなの働く姿を見ていた
森の恵みは、人が手を伸ばしても届かない高さのものは動物たちのために残す。それが昔から村での決まりだった
そのため、それほどの時間もかからずに終わった
この後は、村の共同畑の収穫を手伝いに行くもの、収穫したものを運ぶものと別れて作業をする
かなは張り切って運ぶ手伝いをしていたが、小さな体では限界があった
「かなちゃん、これ以上は持ちきれないわよ」
みのりに言われても張り切るかなには聞こえない様子で収穫物と格闘していた
「聖獣様は楽しそうだ」
村人たちはかなの姿を微笑ましそうに見守っていた
「かな、皆さんを困らせてはダメだよ。かなは早く運べるから持てる分で何度も往復したらすぐに終わるよ」
魔術師が声をかけると、しぶしぶ持てる分だけを持ち、倉庫へと駆けて行った
「かなが、すみません」
魔術師は村人たちに頭を下げた
「そんな、良いんですよ。今年は本当に豊作になりました。きっと聖獣様のおかげでしょう。魔術師様ありがとうございます」
村人たちは一斉に頭を下げた
「かなもあおもとても楽しそうでした。秋というのは、みんなで実りを楽しむものなんですね」
魔術師は手を伸ばし、色づいた葉に優しく触れた
「あるじ。一緒に運ぼう!」
魔術師はかなの呼びかけに振り向いた
「かな。今行くよ」
村人たちは、かなと並んで収穫物を運ぶ魔術師を見て、穏やかに微笑んだ




