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第22話 『最初の作戦会議』

【チームΩ】


【御門皇牙】


【鷹城迅】


【白瀬蒼司】


【???】


その表示が消えても。


誰も言葉を発せなかった。


怪物三人。


同じチーム。


あり得ない。


九条が頭を抱える。


「運営頭おかしいだろ」


白石も珍しく同意した。


「それは否定できない」


だが。


灯真は別のことを考えていた。


A-17。


研究棟。


兄。


そして。


澪。



本戦参加者専用待機棟。


A-17専用ルーム。


四人だけの空間。


静寂。


最初に口を開いたのは灯真だった。


「確認したいことがある」


白石が見る。


九条も顔を上げる。


澪は黙って待っている。


灯真は言った。


「俺は研究棟関連の情報を最優先にしたい」


静寂。


最初の主張。


主人公としての意思。


白石は眉をひそめる。


「勝つことより?」


「違う」


灯真は首を横に振る。


「勝たないと辿り着けない」


「だから勝つ」


「でも目的は研究棟だ」


兄の記録。


A-17。


黒髪の少女。


全てそこに繋がる。


白石は数秒考えた。


そして頷く。


「了解」


「なら戦術も変わる」


戦術家の顔になった。



白石が立ち上がる。


モニターへ本戦マップを映す。


巨大な中央区画。


十二拠点。


複数のミッション。


複雑な戦場。


「まず戦わない」


九条が即座に反応する。


「は?」


予想通りだった。


白石はため息を吐く。


「皇牙と鷹城がいるのよ?」


「初日から正面衝突したいの?」


九条は腕を組む。


「だから逃げるのか?」


空気が少し張る。


初めての対立。


白石も引かない。


「勝てない戦いは避ける」


「それが普通」


九条は不満そうだった。


「でも戦わなきゃ強くなれねぇだろ」


白石は呆れた。


「だから前衛脳なのよ」


「なっ!?」


九条が立ち上がる。


灯真は思わず苦笑した。


少しだけ。


チームらしい。


その時だった。


「二人とも」


静かな声。


澪だった。


全員が見る。


澪はモニターを見つめながら言う。


「どちらも正しいです」


白石が眉を上げる。


九条も黙る。


澪は続けた。


「戦わなければ情報は得られません」


「ですが無意味な戦闘は損失になります」


正論だった。


白石も反論できない。


九条も同じ。


その瞬間。


灯真は気付く。


澪は監視役じゃない。


チームを見ている。


本当に。



会議は続く。


その時。


モニターの北端。


黒く塗り潰された区域。


灯真の視線が止まる。


まただ。


説明がない。


名称もない。


観測者が反応する。


【警告】


【情報遮断区域】


【解析失敗】


その瞬間。


澪が言った。


「そこには近づかない方がいいです」


全員が見る。


白石が目を細める。


「理由は?」


沈黙。


やがて。


澪は答えた。


「研究棟管理区域だからです」


静寂。


灯真の鼓動が跳ねる。


研究棟。


また出た。


白石が問いかける。


「本戦エリアにあるの?」


澪は頷く。


そして。


小さく言った。


「研究棟の入口です」


空気が変わる。


入口。


その先に。


兄の記録。


A-17。


黒髪の少女。


全てがある。


その時だった。


灯真は聞く。


「A-17は何なんだ」


沈黙。


澪の瞳が揺れる。


数秒。


そして。


「実験番号です」


静寂。


前回聞いた答え。


だが。


今回は続きがあった。


「少なくとも」


澪は静かに言う。


「人の名前ではありません」


灯真の鼓動が速くなる。


また一つ。


情報が増えた。


だが。


核心には届かない。



会議終盤。


白石が作戦をまとめる。


「初日は拠点二つ」


「戦力分析」


「敵チーム観察」


完璧だった。


その時。


澪が初めて自分から言った。


「特別ミッションを狙いましょう」


全員が見る。


澪はモニターを指差した。


【特別ミッション】


【報酬】


【研究棟関連資料】


静寂。


灯真の鼓動が鳴る。


研究棟。


ここでも。


澪は続ける。


「優勝より先に情報が手に入る可能性があります」


白石が考え込む。


数秒。


そして頷く。


「悪くない」


「むしろ最優先候補ね」


灯真は澪を見る。


彼女もまた。


研究棟へ向かっている。


理由は分からない。


だが。


確実に。



会議終了。


それぞれ立ち上がる。


その時だった。


白石が澪を見る。


数秒。


沈黙。


そして。


「一つ言っておく」


静かな声。


「私はまだあなたを信用してない」


部屋が静まる。


九条も驚く。


灯真も。


だが。


白石の言葉は当然だった。


澪は秘密が多すぎる。


何かを知っている。


何かを隠している。


澪は怒らない。


表情も変わらない。


ただ。


静かに頷いた。


「構いません」


短い返答。


白石は少しだけ目を細める。


そして背を向けた。


その時。


灯真が言う。


「でも今は同じチームだ」


静寂。


九条が笑う。


「そういうこと」


澪は灯真を見る。


ほんの一瞬。


本当に一瞬だけ。


その瞳が柔らかくなった気がした。



その夜。


学園中央管理棟。


誰もいない廊下。


長い黒髪の少女が歩いていた。


静かに。


誰にも気付かれず。


目の前のモニターには。


【チームA-17】


少女は見つめる。


そして。


小さく呟いた。


「始まる」


感情のない声。


だが。


どこか嬉しそうだった。


モニターへ手を伸ばす。


しかし。


次の瞬間。


警告表示。


【権限不足】


少女の動きが止まる。


完全ではない。


何でもできるわけではない。


少女は小さく笑った。


「まだか」


そして。


画面に映る灯真の名前を見つめる。


【優先観測対象】


【久瀬灯真】


少女は静かに呟く。


「今度こそ」


「辿り着いて」


その意味を。


まだ誰も知らない。

読んでいただきありがとうございます。

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