表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/23

第23話 『最初のミッション』

午前六時。


【本戦開始】


巨大モニターが空を覆う。


二十四人。


八チーム。


七日間。


本戦が始まった。



チームA-17。


灯真。


九条。


白石。


澪。


四人は中央区画東部を進んでいた。


最初の目標。


特別ミッション。


【失われた記録】


【研究棟関連資料回収】


灯真は無意識に拳を握る。


研究棟。


またそこへ繋がる。


白石が地図を確認する。


「目的地は第一資料保管庫」


「問題は全チームに公開されてること」


九条が顔をしかめる。


「つまり?」


「激戦区」


即答だった。


その時。


空中モニターが更新される。


【速報】


【チームΩ】


【第一拠点制圧】


静寂。


開始十分。


もう一つ落とした。


九条が絶句する。


「早すぎるだろ……」


白石の顔も険しい。


「怪物しかいないんだから当然ね」


灯真はモニターを見る。


皇牙。


鷹城。


白瀬。


そして謎の四人目。


本戦が始まったばかりなのに。


もう差がつき始めている。



その時だった。


観測者が反応する。


【特別ミッション更新】


【第一資料保管庫へ到達せよ】


【制限時間:三時間】


地図が表示される。


目的地は中央区画地下。


白石が眉をひそめた。


「正面ルートは無理ね」


予測進路。


複数チーム。


全てが中央へ向かっている。


完全な激戦区。


その時。


澪が口を開いた。


「地下通路を使います」


静寂。


全員が見る。


地図の隅。


封鎖区域。


地下通路。


白石が即座に反論した。


「危険すぎる」


「情報がない」


「敵がいたら終わり」


珍しく強い口調。


澪も引かない。


「正面はもっと危険です」


空気が張り詰める。


九条が腕を組んだ。


「俺はどっちでもいい」


「戦うならな」


灯真は黙っていた。


二人の意見。


どちらも正しい。


その時。


観測者が反応する。


【地下通路成功率】


【67%】


【正面ルート成功率】


【29%】


数字は明確だった。


だが。


灯真はすぐに答えなかった。


観測者に従うだけではない。


自分で決める。


兄ならどうした。


考える。


そして。


顔を上げた。


「地下通路で行く」


白石が見る。


灯真は続けた。


「危険なのは分かってる」


「でも研究棟資料を取るなら最短を選ぶ」


静寂。


数秒後。


白石はため息を吐いた。


「責任取ってよ」


了承だった。



地下通路入口。


冷たい空気。


薄暗い通路。


人の気配はない。


だが。


不気味だった。


その時。


観測者が反応する。


【生体反応】


【前方】


全員が止まる。


白石が身構える。


九条も拳を握る。


その直後。


通路の向こうから三人組が現れた。


別チーム。


制服の色が違う。


本戦参加者。


互いに止まる。


緊張。


戦うか。


逃げるか。


数秒。


誰も動かない。


その時。


相手側のリーダー格が舌打ちした。


「目的地は同じか」


白石の目が細くなる。


向こうも資料保管庫狙い。


つまり競合。


だが。


戦闘になれば消耗する。


双方理解していた。


やがて。


相手は別ルートへ消える。


静寂。


九条が息を吐いた。


「助かったな」


白石も頷く。


「まだ皆探り合い」


「本格的な戦闘はこれから」


本戦らしくなってきた。



さらに奥へ進む。


その時だった。


観測者が激しく警告を鳴らした。


【異常反応】


灯真の足が止まる。


まただ。


異常粒子事件。


あの時と同じ。


警告。


通路の奥。


誰かが立っていた。


静かに。


こちらを見ている。


長い黒髪。


白い制服。


少女。


灯真の呼吸が止まる。


いた。


本当に。


今度は幻じゃない。


その瞬間。


九条が固まる。


「誰だ……」


白石も言葉を失う。


だが。


灯真が見たのは別だった。


澪。


澪の表情。


初めてだった。


顔色が変わる。


明確な動揺。


瞳が揺れる。


まるで。


あり得ないものを見たように。


白石が気付く。


「澪?」


返事はない。


少女を見つめている。


その姿を。


灯真は見逃さなかった。


知っている。


澪は。


この少女を。


その時。


少女が微笑んだ。


そして。


初めて口を開く。


「遅かったね」


静寂。


誰に向けた言葉か。


分からない。


だが。


少女の視線は。


灯真だけを見ていた。


その瞬間。


観測者が暴走するように反応した。


【警告】


【識別不能対象】


【優先度:最高】


視界がノイズで埋まる。


そして。


一つだけ表示された。


【関連情報照合中】


まだ。


答えは出ない。


だが。


確実に何かが近づいている。


少女は静かに振り返る。


その背後。


重厚な金属扉。


ゆっくり開いていく。


奥に見える文字。


【第一資料保管庫】


ミッション目的地。


そして。


少女は最後にもう一度笑った。


「今度は間に合った」


意味不明な言葉。


だが。


澪の顔色がさらに変わる。


灯真は確信した。


この少女こそ。


A-17の謎へ繋がる鍵だ。

読んでいただきありがとうございます。

感想・評価励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ