表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/25

第21話 『チームA-17』

【チームA-17】


【久瀬灯真】


【九条蓮】


【白石結衣】


【天道澪】


静寂。


モニターを見上げる灯真の鼓動が大きく鳴った。


A-17。


まただ。


兄の封印記録。


研究棟。


観測者。


全ての中心にある数字。


なぜ。


チーム名に使われている。


観測者が反応する。


【関連情報検出】


【A-17】


【閲覧権限不足】


【検索継続】


また核心だけが隠される。


灯真は奥歯を噛んだ。



本戦参加者専用待機棟。


A-17専用ルーム。


灯真。


九条。


白石。


三人が先に集まっていた。


九条はソファに倒れ込む。


「なんか嫌な予感しかしねぇ」


白石も即答する。


「奇遇ね」


「私も」


意見が一致した。


その時。


扉が開く。


静寂。


天道澪が入ってくる。


相変わらず無表情。


だが。


部屋の空気が少し張り詰めた。


澪は全員を見渡す。


そして。


静かに頭を下げた。


「よろしくお願いします」


九条が慌てて立ち上がる。


「お、おう」


白石は腕を組む。


「聞きたいことが百個くらいあるんだけど」


澪は答える。


「答えられるものは答えます」


前より柔らかい。


灯真は気付いた。


少しだけ。


本当に少しだけ。


澪が変わっている。


その時。


灯真は聞いた。


「A-17って何だ」


静寂。


澪の瞳が揺れる。


初めて見せる動揺。


数秒。


沈黙。


そして。


「私も全ては知りません」


灯真は眉をひそめる。


白瀬と同じ答え。


だが。


続く言葉は違った。


「ですが」


澪はモニターを見る。


そして。


「A-17はチーム番号ではありません」


九条が首を傾げる。


「じゃあ何なんだよ」


再び沈黙。


澪は小さく息を吐く。


そして。


「実験番号です」


静寂。


誰も言葉を発せなかった。


灯真の鼓動が止まりそうになる。


実験番号。


兄の記録。


研究棟。


全部が繋がる。


白石の表情も消えた。


「待って」


「それってつまり」


澪は首を横に振る。


「ここから先は話せません」


だが。


今ので十分だった。


A-17。


それはただの番号じゃない。


研究棟で行われた何か。


その痕跡だ。



その時。


部屋の大型モニターが起動する。


【本戦説明会を開始します】


全員が顔を上げる。


学園中央区画の立体マップ。


巨大なフィールド。


複数の拠点。


地下通路。


封鎖区域。


戦場だった。


教師の声が響く。


「本戦は七日間のポイント制チーム戦です」


ざわめき。


教師は続ける。


「得点方法は三つ」


【拠点制圧】


【ミッション達成】


【他チーム撃破】


白石の目が変わる。


完全に戦術家の顔。


その場で考え始めていた。


「拠点制圧が基本」


誰に言うでもなく呟く。


「撃破狙いは非効率」


九条が笑う。


「もう始まってるな」


白石は無視した。


教師は続ける。


「なお」


空気が変わる。


【上位三チーム】


【特別閲覧権限付与】


灯真の鼓動が速くなる。


研究棟。


兄の記録。


A-17。


全部そこにある。


そして。


最後の一文が表示される。


【最優秀チームのみ特別区域への立ち入りを許可】


静寂。


灯真は目を見開く。


特別区域。


研究棟のさらに奥。


まだ隠された場所がある。


観測者が反応する。


【目標更新】


【特別区域到達】


【優先度:最高】



説明会終了後。


参加者たちがざわめく。


その時だった。


モニターが再び起動する。


【本戦チーム一覧】


各チーム名が表示されていく。


チームB。


チームC。


チームD。


そして。


最後。


会場全体が静まり返った。


表示された名前。


【チームΩ】


灯真も顔を上げる。


次の瞬間。


全員が息を呑んだ。


【御門皇牙】


【鷹城迅】


【白瀬蒼司】


静寂。


あり得ない。


怪物が三人。


同じチーム。


会場が騒然となる。


九条が絶句した。


「嘘だろ……」


白石の顔から血の気が引く。


「運営正気?」


誰もが同じことを思った。


そして。


最後の一人が表示される。


【???】


ざわめき。


名前が表示されない。


参加者なのに。


匿名。


その瞬間。


澪の表情が変わった。


初めて。


明確な動揺。


灯真は見逃さなかった。


澪はその名前を知っている。


その時。


モニターに一瞬だけノイズが走る。


誰も気付かない。


だが。


灯真だけは見た。


黒髪の少女。


モニターの向こう側。


微笑んでいる。


そして。


口だけが動く。


『もうすぐ』


次の瞬間。


映像は消えた。


幻のように。


しかし。


観測者は反応していた。


【識別不能対象】


【接近中】


灯真の背筋が凍る。


接近中。


つまり。


向こうもこちらへ来ている。


A-17。


チームΩ。


黒髪の少女。


全てが動き始めていた。

読んでいただきありがとうございます。

感想・評価励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ