第21話 『チームA-17』
【チームA-17】
【久瀬灯真】
【九条蓮】
【白石結衣】
【天道澪】
静寂。
モニターを見上げる灯真の鼓動が大きく鳴った。
A-17。
まただ。
兄の封印記録。
研究棟。
観測者。
全ての中心にある数字。
なぜ。
チーム名に使われている。
観測者が反応する。
【関連情報検出】
【A-17】
【閲覧権限不足】
【検索継続】
また核心だけが隠される。
灯真は奥歯を噛んだ。
◇
本戦参加者専用待機棟。
A-17専用ルーム。
灯真。
九条。
白石。
三人が先に集まっていた。
九条はソファに倒れ込む。
「なんか嫌な予感しかしねぇ」
白石も即答する。
「奇遇ね」
「私も」
意見が一致した。
その時。
扉が開く。
静寂。
天道澪が入ってくる。
相変わらず無表情。
だが。
部屋の空気が少し張り詰めた。
澪は全員を見渡す。
そして。
静かに頭を下げた。
「よろしくお願いします」
九条が慌てて立ち上がる。
「お、おう」
白石は腕を組む。
「聞きたいことが百個くらいあるんだけど」
澪は答える。
「答えられるものは答えます」
前より柔らかい。
灯真は気付いた。
少しだけ。
本当に少しだけ。
澪が変わっている。
その時。
灯真は聞いた。
「A-17って何だ」
静寂。
澪の瞳が揺れる。
初めて見せる動揺。
数秒。
沈黙。
そして。
「私も全ては知りません」
灯真は眉をひそめる。
白瀬と同じ答え。
だが。
続く言葉は違った。
「ですが」
澪はモニターを見る。
そして。
「A-17はチーム番号ではありません」
九条が首を傾げる。
「じゃあ何なんだよ」
再び沈黙。
澪は小さく息を吐く。
そして。
「実験番号です」
静寂。
誰も言葉を発せなかった。
灯真の鼓動が止まりそうになる。
実験番号。
兄の記録。
研究棟。
全部が繋がる。
白石の表情も消えた。
「待って」
「それってつまり」
澪は首を横に振る。
「ここから先は話せません」
だが。
今ので十分だった。
A-17。
それはただの番号じゃない。
研究棟で行われた何か。
その痕跡だ。
◇
その時。
部屋の大型モニターが起動する。
【本戦説明会を開始します】
全員が顔を上げる。
学園中央区画の立体マップ。
巨大なフィールド。
複数の拠点。
地下通路。
封鎖区域。
戦場だった。
教師の声が響く。
「本戦は七日間のポイント制チーム戦です」
ざわめき。
教師は続ける。
「得点方法は三つ」
【拠点制圧】
【ミッション達成】
【他チーム撃破】
白石の目が変わる。
完全に戦術家の顔。
その場で考え始めていた。
「拠点制圧が基本」
誰に言うでもなく呟く。
「撃破狙いは非効率」
九条が笑う。
「もう始まってるな」
白石は無視した。
教師は続ける。
「なお」
空気が変わる。
【上位三チーム】
【特別閲覧権限付与】
灯真の鼓動が速くなる。
研究棟。
兄の記録。
A-17。
全部そこにある。
そして。
最後の一文が表示される。
【最優秀チームのみ特別区域への立ち入りを許可】
静寂。
灯真は目を見開く。
特別区域。
研究棟のさらに奥。
まだ隠された場所がある。
観測者が反応する。
【目標更新】
【特別区域到達】
【優先度:最高】
◇
説明会終了後。
参加者たちがざわめく。
その時だった。
モニターが再び起動する。
【本戦チーム一覧】
各チーム名が表示されていく。
チームB。
チームC。
チームD。
そして。
最後。
会場全体が静まり返った。
表示された名前。
【チームΩ】
灯真も顔を上げる。
次の瞬間。
全員が息を呑んだ。
【御門皇牙】
【鷹城迅】
【白瀬蒼司】
静寂。
あり得ない。
怪物が三人。
同じチーム。
会場が騒然となる。
九条が絶句した。
「嘘だろ……」
白石の顔から血の気が引く。
「運営正気?」
誰もが同じことを思った。
そして。
最後の一人が表示される。
【???】
ざわめき。
名前が表示されない。
参加者なのに。
匿名。
その瞬間。
澪の表情が変わった。
初めて。
明確な動揺。
灯真は見逃さなかった。
澪はその名前を知っている。
その時。
モニターに一瞬だけノイズが走る。
誰も気付かない。
だが。
灯真だけは見た。
黒髪の少女。
モニターの向こう側。
微笑んでいる。
そして。
口だけが動く。
『もうすぐ』
次の瞬間。
映像は消えた。
幻のように。
しかし。
観測者は反応していた。
【識別不能対象】
【接近中】
灯真の背筋が凍る。
接近中。
つまり。
向こうもこちらへ来ている。
A-17。
チームΩ。
黒髪の少女。
全てが動き始めていた。
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