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【第一期完結/第二期開始!】『龍霊雨器 ― 脅迫から始まる両片想いの後宮事件録 ―』 〜女装して後宮に潜入したら、正体を見抜いた俺様文官(次期皇帝候補)に囲われました〜  作者: 麻倉ロゼ
第二期【恋人編】第一章 「恋人になった!」

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第四話 「恋人同士の決まり事」

ご覧いただきありがとうございます。


本作は

「中華風後宮ファンタジー」

「年上攻め×主人公受け」

を詰め込んだBL作品です。


シリアスになりすぎず、基本はコメディ寄りで進みます。

どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。

 玄曜はさらに、さらさらと書き加えていく。


――オレ以外の男と会わない。

――オレ以外の男に菓子を作らない。


「玄曜! 無茶言うなって!」


「なぜだ?」

本気で納得していない顔だ。


「仕事してたら普通に話すし!」


「お前は“話すだけ”じゃない」

玄曜は鋭い視線を流星へ向けた。


「誰にでも愛想を振り撒く。簡単に触るし、触らせる」


「そんなことないって!」


「ある。無自覚なのが一番タチが悪い」


「ない!!」


「お前は誰のものなんだ?」


「もー!! 一旦終了! ご飯にしよう!!」


「……わかった。腹減った」

玄曜は力を抜くように椅子へ座り込んだ。


今日はずっと女性達に囲まれていた。

外面用の“文官モード”ばかりで疲れたのだろう。


「せっかくのお茶会だったのに、何も食べなかったの?」


「茶は飲んだ。流星の飯以外は食べない」

玄曜は平然と言った。


「……っ」

しれっと言われて、思わず頬が緩む。


……仕方ない。

今日は海老炒飯にしてやろう。

流星は厨房へ立ち、夕飯の準備を始めた。


その背中を、玄曜は静かに見つめている。

流星には気づかれないように。

どこか穏やかな顔で。



食卓いっぱいに、香ばしい香りが広がる。


大ぶりの海老がたっぷり入った海老炒飯。

卵と野菜のスープ

搾菜ザーサイ


玄曜は早速、海老から黙々と食べ始めていた。


……本当に海老が好きだな。


「やっぱり、オレ達が付き合ってるのって内緒に

した方がいいよな」


搾菜ザーサイを頬張りながら、流星がぽつりと呟く。


「オレは公言しても構わない」


玄曜は平然と答えながら、早くも炒飯のおかわりをしていた。


「いや、玄曜はいいかもしれないけど」


今日の女性達の反応を思い出す。


……怖かったなぁ〜。


「オレの身のためにも、黙ってた方がいい気がする」


玄曜と付き合っていると知られたら……

きっと後宮中の女性達を敵に回す。

想像しただけで背筋が寒くなった。


「だから、例えば……」


流星は指を折りながら言う。


「外では不自然に近寄らない、とか」


ぴくり。


玄曜の眉がわずかに動く。


「必要以上に話しかけない、とか」


「お前にできればいいけどな」

玄曜は淡々と言った。


「ん? なんで?」


「お前は無自覚だからな」


「?? そんなことないだろ」


流星は首をこてんと傾ける。

ぱちぱちと大きな目を瞬かせながら、上目遣いで玄曜を見た。


なんともあざとい角度である。


「……そういうところだぞ」


「?」


流星は本気で分かっていないらしい。


やれやれ。

まあ、揉め事は少ないに越したことはない。

何かあればこちらで対処すればいい。


何かあったら――


誰のものなのか、分からせればいいだけだ。

玄曜は不敵に微笑むと、三杯目の炒飯へ手を伸ばした。



「恋人同士の決まり事とやらは、以上か?」


食後の茶を飲みながら、玄曜が言った。


「うーん……そうだなぁ」


流星は紙を広げ、玄曜が書いた決まり事の下へ新しく書き足していく。


――忙しくても二人で過ごす時間を作る

――喧嘩しても同じ部屋で寝る

――食事はできるだけ一緒にする


玄曜は静かに茶を飲みながら、その様子を眺めていた。


「こんなのでいいのか?」


「こういうのがいいの!」


流星は楽しそうに、さらに筆を走らせる。


――「おかえり」と「ただいま」は必ず言う


「オレ、まだ玄曜の全部を知ってるわけじゃないけど」


流星は筆を止めずに言った。


「玄曜が忙しくて、危険な立場なのは分かる」


「……」


「だから、どれだけ遅くなっても、離れに

帰ってきたら絶対『おかえり』って言う」


流星は顔を上げる。


「だから玄曜は、『ただいま』って言ってほしい」


玄曜は少しだけ目を細めた。

その言葉を、こんなにも当たり前に向けられたことが、

今までなかったみたいに。


「……わかった」


流星は満足そうに頷くと、また書き足していく。


――危険なことをする時は必ず言う

――勝手に一人で抱え込まない


「危ないことする時は、ちゃんとオレに言って」


「頼りないかもしれないけど、相談してほしい」


「わかった」


玄曜はあっさり頷いた。


「そうしないと、流星の方が追いかけてきて無茶をするからな」


「うう……」


流星は肩を縮める。


「それは……オレも分かってる」


少し悩むように唸ってから、再び筆を走らせた。


――月に一回は二人で出かける


「ふふ。恋人っぽい!」


流星は嬉しそうに笑う。


「玄曜、忙しいけど沢山出かけような!」


「わかった」


「あとはー……」


流星は思いついたように書き足した。


――恋人優先の日を作る


「これも恋人っぽい!」


「優先の日は何をするんだ?」


「仕事も龍霊雨器トラブルも禁止!」


流星は勢いよく言った。


「二人だけの日を過ごす!」


「具体的には?」


「考え中!」


ふわり、と流星が笑う。


星が煌めくみたいな、無邪気な笑顔だった。


「玄曜は? 他に何かある?」


玄曜は躊躇なく流星の手から筆を取る。


そして、さらさらと書き足した。


――オレ以外の男に微笑まない


「無理だろ」

流星は即答した。


「なんでだよ」

玄曜も即答した。


「これくらいかな〜。あとはまた増やしていこうな」


「わかった」


流星は満足そうに茶を飲み、ほっと息をつく。


恋人同士でやりたい事。

恋人同士の決まり事。


二人で書いた紙を見つめていると、胸の奥がくすぐったくなった。


(玄曜と付き合うの……楽しいこと、沢山あるだろうな)


何からしよう。


まずは後宮内デートかな。


そんなことを考えていると――


「流星」


玄曜が静かに口を開いた。


「何?」


「明日は、お前の実家へ行く」


「ぶふっ!?」


流星は盛大にお茶を吹き出した。


「実家!!? あ、明日!?」


「前にも言っただろ。一覧にも書いてある」


「そうだけど! 急すぎない!? まだ連絡とか――」


「白家にはすでに文を送ってある。問題ない」


文って……。

一体、何を書いたんだ。


玄曜はそれだけ言うと、さっさと二階へ上がっていってしまった。


流星はその後ろ姿をぽかんと見送る。


そして、小さく呟いた。


「玄曜と付き合うの……やっぱり大変だ……」

※作者より


お読みいただき、ありがとうございました。

龍霊雨器と流星、そして玄曜の物語は、まだ続きます。


龍霊雨器は【火・木・土 20時半頃】更新です。

続きを読みたいと思っていただけましたら、ブックマークで追っていただけると嬉しいです。


もし物語を楽しんでいただけましたら、評価で応援いただけると励みになります。

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