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【第一期完結/第二期開始!】『龍霊雨器 ― 脅迫から始まる両片想いの後宮事件録 ―』 〜女装して後宮に潜入したら、正体を見抜いた俺様文官(次期皇帝候補)に囲われました〜  作者: 麻倉ロゼ
最終章 「天命とか聞いてないんだが 」

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最終話 「物語は、まだ続く」

ご覧いただきありがとうございます。


本作は

「中華風後宮ファンタジー」

「年上攻め×主人公受け」

を詰め込んだBL作品です。


シリアスになりすぎず、基本はコメディ寄りで進みます。

どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。

「んんー! 疲れた〜!」


夕食後の洗い物を終え、オレは大きく背伸びをした。


「今日も一日、忙しかったなぁ」


ふわ、と小さな欠伸がこぼれる。

外はすっかり夜も更け、月灯りだけが

庭を優しく照らしていた。


あの承天殿での出来事から、半月が経った。


玄曜げんようは文官として。

オレは下女として。

今まで通り、後宮で働いている。


離れでの同居……いや、今はもう同棲だけど。

玄曜との暮らしも、そのまま続き、オレたちは

相変わらずな毎日を送っている。


「さて……」


寝る支度を整え、オレは玄曜の部屋へ向かう。


寝台の上には、書物や竹巻が山のように広がっていた。

玄曜はそれらを前に、黙々と読み耽っている。


真面目な顔。文官モードだ。


初めて出会った頃の玄曜を思い出し、

オレは思わず、くすりと笑ってしまった。


「何読んでるの?」


「ああ……」


ようやくこちらに気づいたらしい。

玄曜の表情がふっと緩み、胸がきゅっと鳴る。


「お祖父様からの報告書だ」


「おじいちゃんから?」


「宝物庫を整理したら、目録にない

龍霊雨器が見つかってな。揉めてるらしい」


「ええー!」


「お前を連れて来てくれ、だとさ」


そう言って、玄曜は露骨に嫌そうな顔をした。


「おじいちゃんに会うの、嫌なの?」


「どうせ天印と執命の差し金だろ。

あいつら……何かと流星を呼び出しやがって」


ぶっきらぼうな口調だ。


あれから天印と執命の“天命コンビ”は、

すっかりオレを気に入ってしまった。


事あるごとに呼び出しては、

“膝に乗せてほしい”

“頭を撫でてほしい”

と、うるさい。


龍の神様の器代わり、という理由もあるけれど……。

なんだかんだ言って、龍の神様……お父さんのこと

大好きなんだろうなぁ。甘えたい年頃(?)なのかも。


「いいじゃん。オレ、天命コンビ結構好きだよ?」


「……ふん」


玄曜は、あからさまに機嫌を悪くした。


龍霊雨器りゅうれいうき相手に、やきもちを焼かなくても……。

オレは小さくため息をつく。


「……ねえ。結局、玄曜は皇帝になるの?」


寝台に転がりながら、何気なく聞いてみた。


「いずれはな。今回の天命がなくなったから、他の候補者の奴らも騒ぎ出すだろうがな」


「お祖父様もまだ元気だ。

 あと数年は、今の統治が続くだろう」


「玄曜は、それでいいの?」


「いい」


即答だった。


「流星が、ついてくるから」


「……そっか」


「まぁ、しばらくは今のままだろうがな」


「じゃあ、龍霊雨器のトラブル対応も、まだ続くのか〜」


「当然だ。後宮には、まだ沢山、龍霊雨器がいるからな」


「そうなんだ!」

まだ見ぬ龍霊雨器。知らない工芸品。

これからも出会えると思うと、自然と胸が躍った。


「まだまだ、続くだろ」


「何が?」


「オレたちのことだ」


「……?」


よくわからないけど、まあいいか。


玄曜は書物を片付け始めた。

どうやら、寝る時間らしい。


「流星」


「ん?」


「近いうちに、街に行くぞ」


「え? なんで?」


「お前の実家に行く」


「ふわっ!? なんで!?」


「挨拶に行く。婚姻するだろ」


「誰が!?」


「お前が」


「誰と!?」


問い返した瞬間、玄曜の機嫌が一気に曇る。


「……オレ以外に、誰がいる」


「玄曜……」


玄曜は、じっとオレを見つめた。

天青色てんせいしょくの瞳には、オレしか映っていない。


「流星」


ゆっくりと、顔が近づいてくる。


怒ってる……。

しまった。


これは……今夜は長くなりそうだ。


覚悟を決めて、オレは目を閉じる。


重なった呼吸が、静かな夜に溶けていく。

胸の奥が、じんわりと満たされていった。


玄曜の体温が、すぐそこにある。

触れ合う距離には、まだ全然慣れない。


「玄曜……」


そっと名前を呼ぶと、目が合った。

お互いの瞳が、愛おしさで揺れる。


来たばかりの頃は、こんな事になるなんて

想像もできなかった。


けれど今は――

自分が、ここにいたい理由を

迷いなく、選べる。


今日も、明日も、これからも。


——玄曜が、隣にいる。

第一期本編、これにて完結となります。


ここまで読んでくださった皆様、

本当にありがとうございました!


明日はエピローグ、

そして「流星の玄曜観察日記」最終話を更新予定です。


5/25からは、

『龍霊雨器 創作裏話+SS』が始まります。


キャラクター設定や世界観、

制作裏話、ここでしか読めない

書き下ろしSSなどを更新予定です!


そして――

第二期は、6/2(火)より開始予定です!


流星と玄曜の物語は、まだまだ続きます。

引き続き、楽しんでいただけたら嬉しいです。


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