第一話 「自覚しちゃったら大変だ!」
ご覧いただきありがとうございます。
本作は
「中華風後宮ファンタジー」
「年上攻め×主人公受け」
を詰め込んだBL作品です。
シリアスになりすぎず、基本はコメディ寄りで進みます。
どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。
恋を、してしまった。
玄曜に。
「はあ〜……」
はっきりと、自覚してしまった。
今まで、街中の女の子を見て
可愛いな、とか、綺麗だなって思うことはあった。
でも――
好きだな、って。
こんなふうに思ったのは、初めてだ。
「うーん……どうしようかな」
何たって相手は、傍若無人の俺様文官。
しかも、どう考えても色々と訳がありそうな奴なのだから。
……考えたって、答えが出る気もしない。
「とりあえず、ご飯作ろ」
一度、考えるのはやめよう。
とりあえず、普段通りに過ごそう。
もしかしたら、ただの思い違いかもしれないし。
オレはそう自分に言い聞かせて、厨房へ向かい、
朝ご飯の支度に取り掛かった。
「朝メシなんだ?」
「ぎょえっ!!」
背後から突然声をかけられ、オレは全身で飛び跳ねた。
玄曜〜!!!
びっくりした!!
「あ?」
振り向くと、急に叫んだオレを、玄曜が不機嫌そうに
見下ろしている。
……いや、待って。
寝起きで、まだ完全に覚醒していない、少し無防備な顔。
寝癖のついた髪。
服の襟元はまだ留められておらず、喉元と鎖骨が
無防備に覗いている。
オレは、つい口を開けたまま、凝視してしまった。
――うわーーっ!!!
キラキラしてる!!
何これ!!
いつもの五十倍くらい、煌めいてるんだけど!?
ダメだ、オレ!!
玄曜のこと、めちゃくちゃカッコいいって思っちゃってる!!
慌てて玄曜に背を向け、胸に手を当てる。
ドッドッドッドッ、と、
玄曜に聞こえそうなくらい、心臓が暴れている。
し……死んじゃいそう……。
人って、恋をすると、
こんなにも相手がカッコよく見えるものなんだ……。
「…………無理」
*
結構、今日は散々だった。
玄曜と一緒に龍霊雨器のトラブル対応に出かけた先でも、
昨日まで当たり前だった距離感が、やたらと緊張を
連れてくる。
結果――
滑ったり、転んだり、飛んだり、跳ねたり。
……我ながら、ひどい。
「疲れた……」
なんとか離れに戻ってきた頃には、もうクタクタだった。
「おい」
中に入った途端、玄曜がぶっきらぼうに声をかけてくる。
「っ! な、何!?」
「調子悪いのか?」
「だっ大丈夫!」
「熱でもあるのか?」
そう言うと、玄曜は何の躊躇もなく、手を伸ばしてきた。
オレの額に、ぴたりと触れる。
少しひんやりした手の感触が、肌に伝わって――
ぎょえ……。
一気に、顔に血が集まるのがわかる。
「熱あるんじゃねーのか?」
「……大丈夫。熱なんだけど、熱じゃないだけ」
「なんだそれ」
玄曜は呆れたように吐き捨てると、さっさと二階の部屋へ
行ってしまった。
「……助かった……」
世の中の、恋してる男女って、どうしてるんだろう。
こんなの、隠せるものなのか?
「……隠しておいた方が、いいよなぁ……」
自分の部屋に戻り、寝台に転がりながら呟く。
オレが玄曜を好きだなんて。
きっと、嫌がるに決まってる。
だって、アイツはモテるし。
――絶対、黙っておいた方がいい。
なんとか動揺しないようにしないと。
深呼吸。深呼吸。
「はあ……顔、洗ってこよ」
気持ちを切り替えるため、扉に手をかける。
ガチャ。
開けた瞬間――目の前に、玄曜がいた。
風呂上がりらしく、体はまだ熱を帯びていて、
上半身は裸。
普段より無防備な雰囲気を纏っている。
前髪も、いつもとは違う位置に流れていた。
こんなの!!無理だろ!!!
「お前!!!!もう本当!いい加減にしてくれ!!!」
オレは、ありったけの声で叫んだ。
オレ、こんなんで
これから、どうなっちゃうの!?
※作者より
お読みいただき、ありがとうございました。
龍霊雨器と流星、そして玄曜の物語は、まだ続きます。
龍霊雨器は【火・木・土 19時頃】更新です。
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