第四話 「龍の舞」
ご覧いただきありがとうございます。
本作は
「中華風後宮ファンタジー」
「年上攻め×主人公受け」
を詰め込んだBL作品です。
シリアスになりすぎず、基本はコメディ寄りで進みます。
どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。
――ドォン!!
突き破るように、太鼓の音が響いた。
「なっ、何!?」流星の肩も揺れた。
広場がざわめく。
空には雲ひとつない。
それなのに――。
静かな雨が降り始めた。
雨粒は陽光を受け、宝石のようにきらめく。
その神秘的な光景に、人々は一瞬で言葉を失った。
――ドォン!!
再び太鼓が鳴る。
まるで雷鳴のように。
舞台が稲光が走ったかのように眩しい光に包まれた。
その中央に、一人の舞師が現れた。
龍の面をつけた舞師だった。
――ドォン!!
力強い音が響く。
舞師はゆっくりと舞い始めた。
太鼓に合わせるように。
雨が地を打つように。
やがて音は速さを増していく。
降り始めた雨が雷雨となるように。
細い流れが集まり、大河となるように。
舞は優雅に。そして力強く。
その姿はまるで龍そのものだった。
誰もが目を奪われる。
舞が激しさを増す。
太鼓も応えるように鳴り響く。
さらに速く。さらに激しく。
見る者すべてを呑み込むような圧倒的な迫力で。
雷鳴のような音が次々と重なり――
――ドォン!!
一斉に鳴り止んだ、その瞬間。
舞師はゆっくりと龍の面へ手をかけた。
陽光を受けて輝く黒髪。
紫水晶のような艶を宿した髪が風に揺れた。
天青色の瞳が、まっすぐ前を見据える。
圧倒的な存在感に、誰もが息を呑んだ。
そこにいたのは―― 一人の青年。
青年はゆっくりと振り向く。
視線の先はただ一つ。
龍の神の櫓。薄紗で隠れた向こう。
その一点だけを見つめていた。
流星の全身が震える。
息をすることも忘れるほどに。
その瞳には。
ただ一人しか映っていなかった。
「――曜」
声にならない囁き。
けれど。その呼び声は確かに届いていた。
青年は口元を緩める。いつも通りに。
いや――いつも以上に自信に満ちた、不敵な笑みだった。
「玄曜!!」
誰かが叫んだ。
その瞬間――。
広場は一気に騒然となる。
狼狽える者。
恐怖や嫌悪の表情を浮かべる者。
歓喜に顔を輝かせる者。
人々の感情が一斉に溢れ出し、広場全体が大きく揺れた。
天印と執命は、わずかにその身を揺らした。
そして――。
「そうか……来たか、玄曜」
皇帝、景昌はただ静かに玄曜を見つめていた。
※作者より
お読みいただき、ありがとうございました。
龍霊雨器と流星、そして玄曜の物語は、まだ続きます。
龍霊雨器は【火・木・土 20時半頃】更新です。
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