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『龍霊雨器 ― 脅迫から始まる両片想いの後宮事件録 ―』 〜女装して後宮に潜入したら、正体を見抜いた俺様文官(次期皇帝候補)に囲われました〜  作者: 麻倉ロゼ
第二期【恋人編】第五章 「帰還」

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第四話 「龍の舞」

ご覧いただきありがとうございます。


本作は

「中華風後宮ファンタジー」

「年上攻め×主人公受け」

を詰め込んだBL作品です。


シリアスになりすぎず、基本はコメディ寄りで進みます。

どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。

――ドォン!!


突き破るように、太鼓の音が響いた。


「なっ、何!?」流星の肩も揺れた。


広場がざわめく。


空には雲ひとつない。

それなのに――。


静かな雨が降り始めた。

雨粒は陽光を受け、宝石のようにきらめく。

その神秘的な光景に、人々は一瞬で言葉を失った。


――ドォン!!


再び太鼓が鳴る。

まるで雷鳴のように。


舞台が稲光が走ったかのように眩しい光に包まれた。

その中央に、一人の舞師が現れた。

龍の面をつけた舞師だった。


――ドォン!!


力強い音が響く。


舞師はゆっくりと舞い始めた。


太鼓に合わせるように。

雨が地を打つように。


やがて音は速さを増していく。

降り始めた雨が雷雨となるように。

細い流れが集まり、大河となるように。


舞は優雅に。そして力強く。

その姿はまるで龍そのものだった。


誰もが目を奪われる。

舞が激しさを増す。

太鼓も応えるように鳴り響く。


さらに速く。さらに激しく。

見る者すべてを呑み込むような圧倒的な迫力で。

雷鳴のような音が次々と重なり――


――ドォン!!


一斉に鳴り止んだ、その瞬間。

舞師はゆっくりと龍の面へ手をかけた。


陽光を受けて輝く黒髪。

紫水晶のような艶を宿した髪が風に揺れた。

天青色の瞳が、まっすぐ前を見据える。

圧倒的な存在感に、誰もが息を呑んだ。


そこにいたのは―― 一人の青年。


青年はゆっくりと振り向く。

視線の先はただ一つ。


龍の神の櫓。薄紗で隠れた向こう。

その一点だけを見つめていた。


流星の全身が震える。


息をすることも忘れるほどに。


その瞳には。

ただ一人しか映っていなかった。


「――曜」


声にならない囁き。


けれど。その呼び声は確かに届いていた。


青年は口元を緩める。いつも通りに。

いや――いつも以上に自信に満ちた、不敵な笑みだった。


「玄曜!!」


誰かが叫んだ。


その瞬間――。

広場は一気に騒然となる。


狼狽える者。

恐怖や嫌悪の表情を浮かべる者。

歓喜に顔を輝かせる者。

人々の感情が一斉に溢れ出し、広場全体が大きく揺れた。


天印と執命は、わずかにその身を揺らした。


そして――。


「そうか……来たか、玄曜」


皇帝、景昌けいしょうはただ静かに玄曜を見つめていた。

 

※作者より


お読みいただき、ありがとうございました。

龍霊雨器と流星、そして玄曜の物語は、まだ続きます。


龍霊雨器は【火・木・土 20時半頃】更新です。

続きを読みたいと思っていただけましたら、ブックマークで追っていただけると嬉しいです。


もし物語を楽しんでいただけましたら、評価で応援いただけると励みになります。

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