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『龍霊雨器 ― 脅迫から始まる両片想いの後宮事件録 ―』 〜女装して後宮に潜入したら、正体を見抜いた俺様文官(次期皇帝候補)に囲われました〜  作者: 麻倉ロゼ
第二期【恋人編】第五章 「帰還」

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第三話 「反旗」

ご覧いただきありがとうございます。


本作は

「中華風後宮ファンタジー」

「年上攻め×主人公受け」

を詰め込んだBL作品です。


シリアスになりすぎず、基本はコメディ寄りで進みます。

どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。

 皇族たちの祈りの後――。

まるでその祈りに応えるかのように、静かな風が吹いた。

衣の裾が揺れ、供物の花々が微かに震える。

それは、小さな奇跡のようだった。


再び編鐘が鳴る。


澄み渡る音色が空へと昇り、皇帝・景昌けいしょうによる祝詞が響いた。


「もう終わるのかな……」


流星は小さく呟く。


長かった奉納の儀も、いよいよ終わりを

迎えようとしていた。

景昌が最後の言葉を告げる。

奉納の儀の終わりを宣言しようとした――その時だった。


「龍の神の名の下、今こそ本来の正しい皇位、

正しい血統に戻す時が来た」


高らかな声が響いた。


ざわり――。

一瞬で場がどよめく。


「なんだ……?」


流星も身を屈め、薄紗越しに外を窺った。

皇帝が座す位置と対になる席。

そこにいた人物がゆっくりと立ち上がる。


空気が変わった。あたりは張り詰め、凍りつく。


「神聖なる天命を覆し、偽りの座についた偽りの皇帝――景昌」


煌びやかな式典衣を纏った人物が静かに口を開いた。


「己の私欲のために皇帝の座へしがみつく現皇帝こそ、

この国を破滅へ導く逆賊である」


その言葉に、現皇帝派の皇族たちが立ち上がろうとする。

だが景昌は手を上げ、それを制した。


人物は、なおも続ける。


「偽りの皇帝に未来はない。

現に龍の神は景昌を見放し、天命は消滅した」


「龍の神は我らにこそ、この国を治めよと告げておられる」


景昌は何も言わない。

ただ静かに、その言葉を聞いていた。


「おじいちゃん……!」


流星は思わず拳を握る。


反皇帝派が動く。

そう覚悟はしていた。

だが――。


「何を戯言を!!」


「何が偽りの座だ!!」


現皇帝派から怒声が飛ぶ。


それを押し返すように、反皇帝派は声を張り上げた。


「天の座は我らにあり!!」


広場に響く宣言。

大きく腕を振り上げる。


「我らの元には――龍の神の器がついておられる!!」


その手が向けられた先。

龍の神の櫓だった。


流星の全身から血の気が引き、思わず後ずさる。

その瞬間。櫓を覆っていた薄紗が、

ゆっくりと持ち上げられていく。


下から。


少しずつ。


少しずつ。


隠されていた姿を晒すように。


全員の視線が櫓へ向く。


皇族たちの目。


官僚たちの目。


龍霊雨器たちの目。


無数の視線が流星がいる場所に突き刺さった。


「……っ!」


ようやく理解した。

自分は最初から利用されていたのだと。


玄曜の名を騙り。

櫓へ誘い込み。

閉じ込めた理由。


全部――。


「オレを櫓に入れたのは……」


流星の喉が震える。


「――このためか!!」

※作者より


お読みいただき、ありがとうございました。

龍霊雨器と流星、そして玄曜の物語は、まだ続きます。


龍霊雨器は【火・木・土 20時半頃】更新です。

続きを読みたいと思っていただけましたら、ブックマークで追っていただけると嬉しいです。


もし物語を楽しんでいただけましたら、評価で応援いただけると励みになります。

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