第五話 「皇族復帰」
ご覧いただきありがとうございます。
本作は
「中華風後宮ファンタジー」
「年上攻め×主人公受け」
を詰め込んだBL作品です。
シリアスになりすぎず、基本はコメディ寄りで進みます。
どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。
「なぜここに来た!!?」
騒然とした空気を切り裂くように、老人の怒声が響いた。
「お前は……閉じ込めたはずだ!!」
声を上げたのは、反皇帝派を支える一族の長。
玄曜を拘束した張本人だった。
玄曜は鼻で笑う。
「貴殿の龍霊雨器は――私の配下にしました」
淡々と告げる。
「な……っ!」
老人は言葉を失った。
代々受け継いできた龍霊雨器。
それが、こうも簡単に奪われるとは。
自分が――捨てられる側になるとは。
想像すらしていなかったのだろう。
「何をしに来た!! この痴れ者が!!」
「また宮廷を乱す気か!!」
反皇帝派の席から次々と怒声が飛ぶ。
だが玄曜は涼しい顔で聞き流した。
やがて視線を皇帝・景昌へ向ける。
景昌はわずかに目を細めた。
幼い頃、玄曜が悪戯をした時に。
嗜める時に見せていた顔。
その懐かしい表情に、玄曜の口元が
わずかに緩む。
そして――。
玄曜はもう一人の人物へ目を向けた。
皇帝と対の座についている、反皇帝派の頂点。
この国を長く二分してきた、もう一つの家の長。
――瑞璟。
龍紋と「曜」を受け継ぐ宗家。
麒麟紋と「璟」を受け継ぐ支家。
決して交わることのない二つの家。
互いに視線をぶつけた瞬間、見えない火花が散った。
「神聖な儀式を妨害するとは」
瑞璟が静かに口を開く。
「下賤な血の人間は、これだから好かん」
玄曜は真っ直ぐ見返した。
「先に妨害したのは、そちらです」
冷たい声だった。
「十年以上経った今も、まだ血筋の話ですか。
縋るものがない家は、哀れで仕方がない」
ざわり――。反皇帝派が大きくどよめく。
「哀れなのはお前だ、玄曜!!」
瑞璟が声を荒げた。
「皇族という立場を捨て!天命を失ったお前に何ができる!!」
そして。
最も触れてはならない言葉を投げつける。
「父や母と同じ道を歩みたいのか」
その瞬間。玄曜の纏う空気が変わった。
天青色の瞳が揺らぐ。
広場の空気が凍りついた。
まるで見えない手が首を締め上げるような圧。
その場にいた全員が、本能的な恐怖を覚える。
玄曜は瑞璟を見据えた。
「お前こそ」
低く。
静かに。
だが誰よりも重く。
「天命すら持たない存在だろうが」
ざわめきが消える。
「50年前、お前達が何をしたのか、
分かってて言ってるんだろうな」
もう取り繕う必要はない。
何より――。
こいつは流星を利用した。
オレのものに手を出した。
ならば遠慮など必要ない。
玄曜はゆっくりと周囲を見渡した。
現皇帝派。
反皇帝派。
皇族。
官僚。
龍霊雨器。
その全てを。
「オレは自分の意思で皇族を離脱した」
声が広場に響く。
「戻るのも、自分の意思で決める」
そして。
堂々と。
高らかに。
「今より、オレは皇族復帰を宣言する」
誰もが息を呑む。
玄曜は一歩前へ出た。
天青色の瞳が真っ直ぐ未来を見据える。
「次期皇帝の座は――この玄曜のものだ」
※作者より
お読みいただき、ありがとうございました。
龍霊雨器と流星、そして玄曜の物語は、まだ続きます。
龍霊雨器は【火・木・土 20時半頃】更新です。
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