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第69話 勇者のお仕事と女神の祝福

絵美里とルルは出産後、順調に回復してくれた。


子供たちもとても元気だ。


沢山おっぱい飲んで、大泣きし。

可愛らしい姿に俊則も私たちも顔をほころばせる。


今大公爵家は子育てにてんてこ舞いだ。



※※※※※



絵美里とルルの出産のとき。


俊則が嬉しさで顔面崩壊させ大泣き。

ルミナも私もつられて大泣きし、お母様に怒られてしまったけどね。


俊則正座してしばらくお母様に説教くらいっていたっけ。


――やっぱりお母様最強だわ。


しばらく入院していたけれど。

家族7人が大公爵邸に揃ったのだった。


今はそれぞれの部屋で休んでもらっているところだ。


実は一番泣いたのはお父様なのだけれど。

ルルも絵美里も一応お父様の義理の娘になっているのよね。


孫は可愛いらしい。



※※※※※



そんなある日――



「シュラド君おめでとう。君もいきなり3人の父親だな。まあ何かあれば私を頼ってほしい。一応これでも3人の子を持つ父親だからね」


「はい。ありがとうございますジェラルドさん。その時は頼りにさせていただきます」


「うむ。……それで実は国王より親書を預かったのだが……」

「えっ?親書ですか?……なんだろう。というかどうして直接私に渡さないのでしょうか」


「私も不思議なのだが……取り敢えず気を使ってくださったのだろう。急ぎではないらしいが」


お父様が俊則に親書を手渡す。

私はそれをのぞき込むように見た。


「コホン。あー、ロナリア。それははしたないと思うが…」

「えっ?……ソウデスネ…すみません。……ねえ、何が書いてあるの?」


「…まったく」


「えーっと……えっ!?」


のぞき込むようにして見た親書には、どうやらあまり良い話ではないことが記されていた。

隣のマルデルド王国との森をはさんだ国境付近で、今までに無いような魔物の集団が現れたらしい。


「ジェラルドさん。俺、一度国王様に会いに行って詳しく事情を聴いてきます」

「うむ。それが良いだろう。だがこの内容なのに直接ではないのはなにか違和感があるな。ロナリア、もし問題ないならシュラド君と一緒に行ってはどうだ?」


「そうですね、お父様。……ジグリード、先ぶれをお願いしていいかしら」


壁に控えていた執事のジグリードに声をかける。

恭しく礼を取り行動に移る。

大公爵家の使用人は皆優秀だ。


私たちは取り敢えずお茶を飲んでから、絵美里の部屋へと向かった。

病院でさんざん見たけどやっぱり赤ちゃんはとても可愛い。


「まーま、おとと?」


ルミナが目をキラキラさせて私に声をかける。

可愛い♡


「そうね。ルミナの弟だね。優しくしてあげてね」

「んっ、わあーた」


ふふっ、まだうまくしゃべれないけど、本当に可愛い。



※※※※※



「絵美里、お疲れ様。リカルド……ふふっ、可愛い、寝てる♡」

「舞奈さん、先輩も……うん、さっき寝たんです。リカルド凄く大きい声で泣くの。……男の子はルミナと違うのかな?」


絵美里がルミナの頭を撫でる。

ルミナは気持ちよさそうに目を細めた。


「はあ♡やばい、リカルド可愛すぎる……絵美里、本当にありがとう」

「うん……先輩…私…幸せです♡」


「絵美里…」

「先輩…」


「コホン。あー、その、ごめん。でもほら、ルミナもいるし…」

「「あっ…うん」」


もう、この二人。


ラブラブ過ぎでしょ!?


でも絵美里、スッゴク良い顔してる。


「おとと、いーこいーこ♡」


ルミナが小さな手で恐る恐るリカルドの頭を撫でる。

はあー♡


ううっ、尊い♡


皆が自然に笑顔になるよね。

うん、ここには本当の幸せがあるんだね。


「絵美里、ゆっくり休んでね。何かあったらいつでも呼んで」

「はい。ルルも見に行ってあげてください」


「うん。これでルルのところに行くよ」


私とルミナを抱っこした俊則は絵美里の部屋を退室した。



※※※※※



「あああ――んん、ヒック、ああああああ――――――んんん」

「よしよし、おっぱいあげようね……はあ♡可愛いメリア」


「んん…んんくっ……んくっ……んん…」


ルルの部屋についたタイミングでメリアが大泣きしていて。

ちょうどルルが母乳をあげるところだった。


私はドアをノックし、静かに扉を開く。


「ルル、入ってもいいかな」

「はい、ロナリアお姉さま。……シュラド様もどうぞ」


「う、うん。失礼するね……はあ、お母さんが授乳している姿って、本当に尊い。……ルル、君はとてもきれいだ」


「っ!?もう……照れちゃいます♡」


私は思わずジト目を俊則に向けてしまう。

この男は……


さらっとそういうこと言うんだもん。


たらしめっ!!


そんなことを思っていたらルミナがトコトコメリアの傍に歩いていく。

そして母乳を飲んでいるメリアを見て、私を見上げ手を伸ばす。


「まーま、まーま」

「ん?ふふっ、ルミナも欲しいの?」


「んっ」

「おいで」


ルミナは私に飛びついてくる。

私はルルの隣に腰かけ授乳を始めた。


俊則真っ赤な顔になるけど……やっぱりガン見してくる。


うう、やっぱり少し恥ずかしい。


「あああ、凄い……最高だ……可愛い二人が天使に母乳をあげている……ああ、なんて素敵な光景なんだろう」


そして涙を流しながら感動してるし。

もう。


私たちの旦那様はとても純粋だね……



もう……大好き♡



※※※※※



私と俊則は今。

王城の執務室で王様と面会をしている。


ルミナはお母様が見てくれているから安心だ。


(……お母様、妊娠しているわよね?)


えっと、もう41歳なのに。


……凄いわ。



「――すまないね。親書の件だろうか」

「はい。拝見しましたが……急ぎではないのでしょうか?」


「うむ。少し変なのだ。確かに魔物が多く国境沿いに集結しているのだが…何かを待っているように全く動かないらしい」


私は出された紅茶を飲む。

さすが王城だ。


とてもおいしい。


「王様?でも救援要請があったという事ですよね?」

「そうではないのだ。カイザーがな」


「ん?カイザーさん?」


「うむ。どうやら例の悪神のつながりらしいのだ。あれが気づいて先日確認に行ったのだ。あまりの数に驚いて帰還してきたが……100体以上いるらしい」


「「っ!?」」


王様はため息をつき、ちらりと宰相を見やる。

宰相は頷いてドアのところの近衛兵に声をかけた。


「本人から話を聞いた方が早かろう。今カイザーを呼んだ。しばし待ってほしい」


私たちはしばらく他愛のない話をしながらカイザーさんの到着を待った。



※※※※※



「うわー、凄いな……でも、うん。確かに敵意は感じられないね」

「うん。寝てる?」


あの後カイザーさんから話を聞いた私と俊則は、転移魔法で魔物がいる場所へとやってきていた。


「シュラド様、どういう事でしょうか。オーガにトロルまで居ます。普通なら国が亡ぶレベルですが……」


あっ、カイザーさんも連れて来たよ。

えっと、なぜかエリス嬢も来てるけど。


「ロナリアお姉さま、凄いですね。……カイザー様、わたし怖いです」

「エリス、大丈夫だよ。シュラド様にロナリア様もいる。それに何があっても君は俺が守ってみせる。――命に代えても」


「はうっ♡カイザー様♡」


抱擁する二人。

俊則は顔を赤くしてそっぽ向いてるけど……


うん。

改めて他人がイチャついているさまは、なんか“くすぐったい”ね。


(……私たちもこう見えるんだろうな……ハハハ…)


「うーん、無害っぽいけどこれじゃ隣に行く事もできないね。どうする?俊則、やっつけちゃう?」

「いくら魔物でも……無抵抗な相手をいきなり殲滅とか……うーん」


物理的に倒すのは簡単だ。

きっと俊則なら一撃だろうし、私の魔法でも簡単に倒せるけど。


カイザーさんが不思議そうに私たちに尋ねてきた。


「えっ、魔物ですよ?…殲滅しかないと思うのですが…」


まあ、正解よね。

だけどなんか違和感があるのよね……ん?


なんだろう?

“意志”みたいのを感じる。


私は鑑定をしようとさらに近づいてみた。


「舞奈?危ないよ」

「あー大丈夫。ちょっと鑑定してみるね」


私は一応安全のための強力な結界を自分に展開した。

魔力が強くて薄っすらカゲロウみたいに揺らめいている。


魔物と大体5m位まで近づいてみても、魔物は全く反応しない。

というか何か言いたそうにしている?


「鑑定!……えっ?うそっ」


吃驚した。

この魔物たち


……人を、小さな子供を守っている。



「舞奈!どうしたの」


私を心配して俊則がすぐ近くまで来てくれた。

私は思わず彼に抱き着いてしまう。


「ん、可愛い……じゃなくて、何か分かった?」

「うん。この魔物たちね、子供を守っているの」


「えっ?子供?魔物の?」


「ううん。人間の子供みたい……8人もいるけど」


「8人!?」


「ねえ俊則、共有感応使える?」

「う、うん。たぶん行けると思う」


俊則は恐る恐る一番端にいる大きなトロルに触れてみる。

恐ろしい魔物のはずなのに、なぜかじっとしているトロル。


「っ!?……本当だ。この魔物たち……いい奴らだ」


そしておもむろに俊則は魔力を広げた。

魔物たちが道を作るように移動を始める。


そして中央には……


ボロボロの服を着た子供たちが、大きな葉で作ったような絨毯みたいな所ですやすやと眠っていた。


俊則は大きくため息をつく。


「良かった……攻撃しなくて」


「うん。子供たち殺しちゃうところだったね」

「うん。……カイザーさん、大丈夫です。手伝ってくれますか」


遠くで様子をうかがっていたカイザーさんとエリス嬢がおそるおそる近づいて来た。

それと同時に魔物の群れが徐々に森へと帰っていく。


そして数分後。

たくさんいた魔物はすべて森へと帰り、8人の子供と私たちだけになっていた。


この子供たち、1年くらい前の暴走事件で誘拐された子供たちの一部だろう。

家の使用人の子供のマリアみたいに、あの時多くの子供が誘拐されていた。


売られてしまった子供や命を落としてしまった子もいたけど……

良かった。


例え8人でも、助けられたことに私は感謝し、この魔物が住む森に精いっぱいの祝福をした。


七色の光が森に降り注ぐ。


「わあ、きれいです。……さすがロナリアお姉さまです♡」

「おお、女神様……俺は感動しています。……さすが勇者様と運命の女神様。このカイザー、永遠の忠誠を誓います」


なんか異様に感動されちゃった?

うーむ、恥ずかしいね。


そっと俊則が私を包み込むように抱きしめてきた。


ええっ?

なんで泣いてるの!?


「ああっ、舞奈、凄いね、ああ、おれもうだめかも。感動しすぎちゃうよ。ああ、俺の奥さん最高だ」


「あうっ♡もう、俊則……うん♡嬉しい」


さっきエリス達見て、控えようとか思ったけど……


まあいっか。


だって俊則に抱きしめられるの……



最高に幸せなんだもん♡


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