2-1-2 迷いII
少し短いです。ごめんなさい。
仁美は良く食べる。
俺はそれを昨日の晩飯に知ったわけだが、みんなはそれを当然前から知っていたのに、朝食の量はごく普通の量だった。
それじゃあ絶対に仁美には足りないってみんな思っていたらしいけど、言っちゃいけないだろうと思って言わなかったらしい。
そんな中俺の発言だ。そりゃドン引きもされるな。
どうして急に食事の量を減らそうとしたのかと言うと。
「だって、驚いてたから」
無論俺がって意味だ。
確かに驚いたけど、仁美がたくさん食べるようになって嬉しいって、ぽじな事を言ったはずだ。
わざわざ変える必要なんてないだろ?
と言った時の返答はこちらだ。
「健太君優しいから。気遣ってくれたんだろうなーって」
どうやら仁美にしては珍しいような気もするネガティヴが発動したらしい。
俺の言葉が本音だってわかってくれた仁美は、結局追加で作った大皿二つのほとんどを一人で平らげていた。
良いって肯定されたものの、あの量を一人で食べた事に関して羞恥心が刺激されたのか、赤面しながら「ご、ご馳走様でした」と言っていた。
「あ、片付けくらい俺やるぞ」
現状ヒモ状態だからな。せめてこれくらいはやらせてほしいもんだ。
「いいよ健太君は手伝わないでも」
「え」
「そうですよ健太さん!」
「それは僕たちの仕事だからな!」
「仕事? どゆこと?」
みんなが食べた後のお皿を重ねた束を、それぞれ「うんしょっ」と両手で持ち上げるアイちゃんとアスカ。
「ふふっ。二人はいつも私のお手伝いしてくれるんだ」
「僕はまだまだ修行中の身だからな。こうやって手伝うのは当然なんだ!」
「私も仁美お母さんの役に立ちたいんです。こんな事しかできませんけど、でも、私の代わりにトオさんがいっぱい頑張ってくれてますからね」
「アイちゃんだって頑張ってくれてるよ」
少し悲しそうに言ったアイちゃんに、仁美は優しい笑みを浮かべて彼女の頭を撫でた。
「えへへぇー」
「ほらアイっ」
「はーい」
アスカに言われて一緒にキッチンへと消えていくアイちゃん。
「どっちが年上だかわかんねえな」
アイちゃんの方が年上だろうけど、それにしても随分とアスカはしっかりとしているというかなんというか。
好きな子がおっとりとしていてちょっとドジな面があったらそういう風に成長するものなのかもしれないな。
「あれ?」
仁美はアイちゃんやアスカたちと一緒に洗い物とか後片付けをやるらしいから、俺はせっかく出来た時間だしトオちゃんと親睦を深めてみようと思ったんだけど、さっきまで彼女が座っていたそこには誰もいなかった。
「あ」
ごく自然と当然のように部屋から出て行った姿がギリギリ見えた。
「なあトオちゃん。どこに行くんだ?」
「あなたに言う必要ある?」
走った俺と違って歩いているトオちゃんに追い付くのに時間はかからなかった。
隣を並歩しながらそう問い掛けると
、こちらをチラリと見る事もなくそう返された。
「あー、ないな」
「そう。それなら消えて」
まともに会話をするのはこれで二回目だ。それで消えてと言われるとはな。
あまりの衝撃に立ち止まってしまった。
「ちょっ、待った!」
日本での俺ならこれで怯んで立ち止まってしまっていたかもしれないけど、今の俺は文字通り生まれ変わったんだ。
狼に何度ガブガブされても立ち向かったんだぞ? ……一応。
「……はぁ。何か用?」
もう一度声をかける勇気が中々出てこず、ただただ後を追い掛ける時間が続き、町のすぐ近くにある広場のような所に到着した所で、立ち止まったトオちゃんが振り返りながら言った。
「えーと、悪い」
「謝罪はいらない。用件早く」
「トオちゃんは仁美のパートナーなんだよな?」
「……そう」
「だからって言うと失礼かもしれないけど、仁美のパートナーであるトオちゃんとも仲良くなりたいなーってさ」
「…………そう」
「えーと、ダメか?」
トオちゃんは少しの間考えるように止まった後、ため息を一つこぼしてから手を伸ばした。
「……わかった。よろしく」
「おうっ!」
無表情のまま突き出されたトオちゃんの手を、俺は握り返しながら笑った。
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