3-14 選ばれし光XIV 〜ただいま〜
力の維持が出来ない。
そんな事を前にも言っていたな。
でもさ。
「どういう事?」
「うふふふふ。気が付かなかったのかしら?」
「だから何を?」
「一度眠り、この世界に訪れたあなたがアースに帰った時。いつもよりも身体が重く、刃もまた重く感じたでしょう?」
「っ!」
事実だ。確かに重かった。
玄関なんて場所で寝たから、身体をおかしくしてたからとか、そういう理由じゃなかったのか。
戦いの中で得ていた経験値。それによっていつの間にか俺はレベルアップしてたのか。
レベルアップによる能力値のプラス補正みたいなものがあったんだ。
でも、寝て起きるとその補正は消えてしまう。
急に補正が消えた事で身体が重く感じるようになった。
そういう事なのか?
「あなたのその特性はこの世界アースで生き続ける限り残り続けるわ」
「……それって……」
「そうよ。あなたは一人の戦士として成長する事が出来ないのよ」
戦士として成長出来ない。
別に俺は武道家とかじゃない。剣道をやってたけど、だからと言って戦士ってわけじゃない。
だから、別に戦士として成長出来なくても困らない。
と、前の俺は思ったかもしれないな。
「それは……困る」
過去と現在じゃ状況が違い過ぎる。
戦う力と生きる力がイコールとなりえなかった元の世界と違って、この世界じゃそれはまさにイコールだ。
「俺は強くならないといけないんだ」
守りたい人がいる。
今度こそ死なせたくない人がいる。
ずっと側で、笑っていてほしい人がいる。
「……うふふふふ。倉本仁美だったかしら」
「ーーっ! ……知ってるのか」
「ええ。良く知っているわ。あの子は光に愛された子ですものね」
そう言った目を伏せるエル。
光に愛された子……ねえ。
「なあ聞いていいか?」
「もうダメよ」
「なんでだよ」
「もう直ぐ目覚めの時間よ」
「……え」
目覚めの時間。それってつまり起きるって事? 現実世界に戻るって事? 朝って事?
「て、ちょっレベルアップの話どこ行った!?」
「タイムオーバーね。安心なさい今回使わなかったポイントは残るわ。使うのは次の機会ね」
「ちょっ!」
そう言って俺に妖艶な笑みを向けるエル。
少しずつ視界が暗く、ぼやけ始めていた。
「うふふふふ。今のあなたにとってポイントは大した問題じゃないわ。それよりも、外は……いえ、あなたは中々大変な事になっているわよ。うふふふふ、でも絶望してはダメよ。私の加護を受けし者よ」
「……ま……て……」
そして視界か黒一色に染まった。
☆ ★ ☆ ★
「待て!」
視界が開けた。薄暗い場所で。
「……くそっ」
向こうじゃ立っていたのに、いつの間にか横になっている。つまりアースに戻ってきたって事だな。
それにしても大変な事になってるってどういう事だ?
というかエルはあの世界の中で外の事、つまりアースで起きてる事がわかってるって事か?
ほんと、あの女は何者なんだ?
「……ん?」
夢の中のような異空間にいるなんだか現実離れしたような存在?
「……まさか……な」
この仮定はさすがにない。ありえない。だって俺のイメージじゃそれはおじいちゃんだからな。
なんかこう、仙人的な。
けど、もしかしてそうなのか?
普通じゃない力。
それに、エルは言っていた。
俺に対してこう、私の加護を受けし者だって。
つまり、エルは誰かに加護を与える事が出来るよう存在。
それは、そういう事なのか?
「……エルは……神?」
はっ。ばからしい。
どうせまた夜になったら眠るんだ。そうなりゃあの世界に行く事になるんだろうし、そん時に確認すりゃいいんだ。
そんな事よりも今は仁美の朝ごはんが楽しみで仕方がねえ。
昨日の晩御飯は本当に美味しかったからな。朝ごはんにも期待特大だ。
それにしても目覚めの時。つまり朝だってのにやけに暗いな。カーテンのせいか?
「さーてと、カーテン開けてっと」
……ん? ちょっと待て。カーテンなんてあったか?
寝起きで視界がぼやけてるし、ひとまず落ち着こう。
顔をガシガシと手で拭いた後、俺はあっけに取られた。
「……え?」
これがエルの言っていた大変な事なのか?
「……ははっ」
笑えない。笑えなさ過ぎて、笑えるよ。
これは……確かに大変だ。
「絶望してくれるなよ……か」
悪いエル。これは流石に、絶望するかもしれない。
「……なんで、なんでだよ」
やっとだ。やっと仁美と再会出来たのに、こんな仕打ち……なんで。
どうしてっ!
「なんでまたドームで目覚めるんだよ!」
ここはそう。この世界で最初に目覚めた場所。ドームの中心だった。
それが示す事。それは。
「また……死んだのか? 俺は」
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これにて第一章『来界編』は閉幕となります。
第二章からは完全ゲリラとし、月に数回の更新となります。
更新した時は私のページにて叫んでおりますので、お手数ですが作者のお気に入り登録をしてくださればすぐにわかると思います。
それでは。
ENDですけどそれはあくまで第一章がです。まだまだ続きますよ!
これからもよろしくお願い申し上げます。
追記・第二章開始日は一月九日です。




