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召喚獣? いえっ召喚人です!  作者: 音野 一角
第一章 来界編
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3-10 選ばれし光X 〜動悸の理由〜

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 好きな子がお風呂に入っている。

 となればする事は一つだ。


「……なーんてね。そんな度胸俺にゃあない」


 じっくりと温まっていたのか赤い顔のままお風呂から出てきた仁美。


 水を纏いつつも黄金に光り輝く髪がとても神秘的に見えた。


 ……お風呂上がりの仁美……ごくり。


「……ふう」


 俺は現在一人でお風呂だ。

 仁美が背中を流しに来てくれるなんてこたぁない。


 まあしゃーなしだ。仁美と俺の関係はただの幼馴染ってだけ。

 俺の片想いだからな。


 女の子が背中を流しに来てくれるだなんてリア充イベント、俺には縁遠いもんだ。


「いい湯だっな」


 そういえば何も気にせず湯船に浸かってるけど……このお風呂についさっき仁美も入ってたんだよな。


「…………」


 ……良し、理性が変な方向に、変態な感じに暴走する前に出るか。


「……ちょっと水浴びるか」


 俺は無心で自分の体に冷た〜い水を掛け続けた。


   ☆ ★ ☆ ★


「あ、健太君。湯加減は大丈夫だった?」

「ああ、大丈夫だった。ありがとな」

「うんっ」


 部屋に戻るとそこには寝巻きなのか、服を着替えた仁美がソファーに腰掛けていた。


「何飲んでるんだ?」

「果実水だよ。こっちはジュースなんて手軽に手に入らないからね。果実の絞り汁をお水で割って飲むんだ」

「へえー」


 そういった仁美が俺に見せたのは小さな小瓶。

 中には黄色の液体が入っていた。


「あ、飲んでみる?」


 そうやって自分のコップを俺に差し出す仁美。


「……お、おうそうだな」


 ごく普通に差し出されたんだ。

 俺はコップを受け取ると、一口だけ飲んだ。


 何も気にしていませんよーっと装って。


 とは思いつつも。


 間接キスー!


 ちくしょう。なんだこのドキドキは!

 もう年齢的には大学生だぞ!? だってのにこの反応、まるで恋を自覚し始めた中学生か!?


 自分で言うのもアレだが、ピュア過ぎるだろ!


「……健太君? どうしたの?」


 動じてないつもりだったけど、あっさりとばれた。何故だし。


 我ながら無動上等、変化なんて些細なものだったはずなんだけどな。


 なんという観察力だ。仁美、恐ろしい子。


「いや、な、なんでもない。これありがとな」

「あ、うん」


 コップを返すと受け取りながら首を傾げた仁美。


 少しの間、俺の顔をジーっと見つけた後もう一度傾げ、疑念を残した表情でコップに口を付けた。


「あ」

「え? ……あ」


 思わず声が出てしまった俺を見て疑問の声を漏らした後、その理由に気が付いたらしく、固まる仁美。


「……あぅ」


 そう呻き、顔を真っ赤にして俯く仁美。


 なんだこれ気まず!


「あ、あのあたしもう寝るね!」

「お、おう」

「えと、あたしはトオちゃんの部屋で眠るから、健太君はあたしの部屋を使ってね」

「ちょ、仁美?」

「あたしの部屋は突き当たりを右だから! おやすみなさい!」

「仁美!?」


 まるで逃げ出すように、いや、もはや完全にこの場から逃げ出した仁美。


 虚しく伸ばされた自分の手を引き戻した後、ため息を一つ。


「……まあいっか。これからはずっと……いや、少なくても当分は一緒にいられるんだからな」


 だって俺も仁美も生きているんだから。


「まだ、俺と仁美の物語はここからだもんな」


 そのためには就職しないとな。

 このまま仁美のヒモになるなんて絶対にいやだ。

 とはいえそんなアテもないし……ぐぬぬ、これって結構鬼畜じゃね?


「……んな事ねえか」


 一人じゃない。仁美がいる。アイちゃんだっている。アスカや全然喋ってないけど仁美たちが信頼しているトオちゃんだっている。

 町長は……あーんまし頼りたくねえなー。


 まあけど、一人じゃないんだ。


「どうにかなる……かね」


 さてと、色々あってやっぱり疲れたな。

 仁美の部屋は突き当たりを、えーと左だっけ?


 ドアノブを握り、捻ろうとした瞬間。


 ……ん? 右じゃね?


 ノブからソッと手を離し、耳を扉に当ててみると。


「ーーーー」


 うーむ。よく聞き取れないけど、なんか物音がするな。


 つまり中に人がいるって事だ。


 うん。やっぱり右だな。


 クルリと方向転換し、ドアノブを捻った。


 俺の視界に部屋が広がり、そこには。


「良し、誰もいないな」


 これで仁美がいたらマジで焦る。

 二つの意味でな。


 それにしても……。


「すーはーすーはー」


 仁美の部屋か。なんか……いい匂いするな。

 って俺は変態か!


「け、健太君!?」


 俺が頭を思いっきり床に叩きつけた瞬間、その時になった音に反応したらしく慌てた表情の仁美がドアを開けた。


「……えーと、大丈夫……そう?」

「……おう」


 床に土下座しているような体制の俺を見て何かがあったわけじゃないって、とりあえずはわかってくれたっぽい。


「はぁ……はぁ……はぁ」


 ん? 気のせいか? 少し仁美の顔が赤くなっているような……。それに、凄く慌てて来てくれたんだろうか、息が結構あがってるな。


「大丈夫か?」

「え? あ、だ大丈夫だよ! えーと、それじゃおやすみなさい!」

「おやすみなさい」


 まるで嵐のようだったな。


 ビックリし過ぎて落ち着いたし、さて、寝るか。


「……無心無心」


 今まで仁美が寝てた布団とか考えるなよ俺。

 無心無心。


 うん。決めた。


 どうにかして自分の拠点を作ろう。じゃないと俺の精神値が消える。


   ☆ ★ ☆ ★

 最終回じゃないですよ?

 ごめんなさい! 次回更新は金曜日です!

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