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召喚獣? いえっ召喚人です!  作者: 音野 一角
第一章 来界編
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3-8 選ばれし光VIII 〜進化のきっかけ〜

 二度目の午前投稿!

 選ばれし光……ねえ。


「人は光が凝縮されて存在してるとされてるんだ。それでね、その元になった光が強いと髪に色が出るって考えてる人もいるみたいなんだ」

「人は光で出来ている? それはまたなんとも、それじゃあ反対に魔物は闇で出来てるって事か?」

「うん。そう考えられてるよ」

「……へー」


 人は光で、魔物は闇で出来ているねえ。なんともまあ不思議な世界だな。ここは。


「あれ? だけど魔物って消滅する時に淡い光を放つよな? それって光が含まれてるって事じゃないのか?」


 それぞれ光と闇だけで形作られてるわけじゃなくて、その割合の問題なのかもしれないな。


「んー、なんて説明すればいいのかなぁー」


 そうつぶやくと手を顎に当ててあらぬ方向に視線を向ける仁美。


 やがて名案でも思い付いたのか、ポンっと手を叩いた。


「そうだ! えーとね、ゲームで例えるね!」

「……はい」


 ゲームですか。そうですか。


「光は魔物にとって経験値なんだ」

「……ん?」

「え、えーと、魔物が人を襲ってダメージを与えたとするよ?」

「おけ」


 いちいちオーバーリアクションで説明してくれようとする仁美。


 うん。可愛い。


 そういえばアイちゃんもそういうところあったよな。血は繋がってなくても、似てるんだな。この親子は。


「……健太君?」

「あ、悪い続けてくれ」


 ちょっと思考があらぬ方向に行ってたら、仁美のジト目に襲われた。


 軽く謝ると仁美は「もうっ」ともらし、微笑んだ。


「ふふっ。本当にこのやりとり懐かしいね」

「……そうだな」


 まさに平和って感じだな。……うん、幸せだ。


「えーと、どこまで話したっけ?」

「魔物が人にダメージを与えたと仮定したな」

「そか。えーとね。その場合だとその人を形作る光の一部が魔物に吸収されるんだ。自分の身体から光が減っちゃうと、それを痛みやダメージとして感じるんだって」

「……へえ」


 魔物の攻撃で光が減るか。まるでヒットポイントみたいだな。


 ……ん? ヒットポイント?


「あれ、てことはまさか光薬を飲むと怪我が治ったりする原理ってさ」

「そうそう。減っていた光が補充されるからだよ」

「……へえ」


 一応原理はあるみたいだけど、本当にゲームっぽいな。


「魔物が光を吸収するとどうなるんだ?」

「うん。一定量の光を吸収した魔物は段階を経て進化していくんだ」

「進化? レベルアップって事か?」

「んー、レベルアップというより……んー進化……かなぁー」


 目をつぶり、腕を組みながらそう答えを出す仁美。


「進化って事はただ強くなるとかじゃなくて、見た目が変わるって事か?」

「うん。どんな風に進化するのかは色々とパターンがあるみたいなんだけどね。えーと、そうそう森によくいる狼魔獣の進化系が健太君たちが戦ってたあの大きな狼だよ」

「通常種の進化系があのボス狼だったって事か」

「ボス狼? あ、そうだね。進化系は進化前を率いる事もあるからね」


 ボス狼がいる、つまり進化した狼がいるって事はあいつはそれだけの経験値を光を得ているって事になる。


 それはつまり、それだけ人が襲われたって事だ。


「……何人襲われたんだろうな」

「んーと、それがちょっとおかしいんだよね」


 首を傾げながらそういう仁美。


「何がだ?」

「うん。この近くに人が住んでる町ってここだけなんだ」

「……へえ」


 なんとなく気が付いてたけど、ここってめちゃくちゃ田舎って事だよな。つまり。


「てことは襲われたのはこの町の人って事か……」


 俺はそう呻くように言いながら、グッと拳を握り締めた。


「あたしがこの町に来てから、怪我をした人や光に帰っちゃった人っていないらしいんだ」

「え?」


 光に帰っちゃったって何って聞きたかったけど、深刻な顔をしてる仁美にはとても聞けなかった。


 それに十中八九死んじゃったって意味だろうし。


「あっ、えーとね! 光に帰っちゃったっていうのは、前の世界でいう天に召されたとかと同じでね!」


 ハッとしてように慌てて説明をする仁美の肩を俺は優しくポンポンと叩いた。


「本当だよ!? そういう言い方をする文化なの!」

「わかったわかった。大丈夫大丈夫。ほら、続き」

「ううー、それ絶対にわかってないやつだよぉー」


 やばい。仁美をからかうのが楽し過ぎて仕方がない。

 そんでもって拗ねたように頬を膨らませる仁美が天使過ぎる。ぐふっ。


「むうー」

「ほらほら、拗ねてないで続き」

「……ううー、わかったよぉ」


 涙目になりかけてる仁美可愛い。

 ……おっと、さっきから思考が妙な方向に暴走してるな。やばいやばい。


「それでね? あたしが来てから、つまりここ一年間で魔物に襲われた人っていないんだ」

「それじゃああのボス狼になったのはそれよりも前って事か?」

「うんん。それはないと思う。町を出る前にトオちゃんと二人でボス級は全部討滅しといたんだもん」

「……なるほどな」


 経験値を得る方法が使われていないというのに出現したボス狼か。

 ……確かに謎だな。


「んー、多分きっかけがなかっただけでボス級になりうる個体がいたって事なのかなぁ」

「きっかけ?」

「うん。進化にはきっかけが必要なんだって」

「どんな?」

「うん。たとえば瀕死になるとかかな」

「……ほう」


 瀕死か。


「あ、あのボス級はデュラハンみたいに進化してたから、多分首を落とされたんだと思うよ」

「ほう」


 首を落とされたか……ん、首を落とされた?


「首を落とされたのに死なずに進化したって事か?」

「多分そうだと思うよ。首を落とされる前にたっくさんの光を吸収してると、すぐには消えないんだ」

「……あ」


 思わず声が出た。


 確かに今まで斬り倒した狼はすぐに消滅していた。

 だけど、その事実を知る前に一体だけいたんだ。

 すぐに消滅しなかった個体を。


 そして、そいつは俺に首を落とされてる。


「……うぇ」


 その時に見たアール指定の光景を思い出し、気分が最悪だ。……吐きてえ。


「大丈夫?」

「ああ、悪い大丈夫」


 人ん家で吐くわけにはいかねえな。それに心配させちゃったな。


「あーでも、いろいろ納得した」

「……覚えがあるって事?」

「ああ。一匹首を落としてもすぐに消えなかった魔獣がいたな。多分そいつが進化してあのボス狼になったんだろうな」

「なるほど……でも、どこでそんなたくさんの光を吸収したんだろう」

「……確かに」


 少なくてもここ一年間に光を吸収したってのはありえないっぽいし、それよりも前に蓄えてたって事か?


「でも一年もきっかけがないなんて普通ないからなぁ」


 腕を組んでうーん、うーんと思考する仁美。


 そっか。別に首を落とされる事だけが進化のきっかけじゃないのか。


 多分くだらない、小さなきっかけで進化する事もあるんだろうし、やっぱり謎だな。

 次回更新は金曜日です!

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