3-7 選ばれし光VII 〜光と闇〜
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……はい。相変わらず話が進みません。ごめんなさいです。
「で、仁美がこっちに来たのは一年前でいいのか?」
お腹もいっぱいになったところで情報交換……というか確認?
「うん。そうだよ」
「やっぱりそうか」
一年前。つまり地球で息を引き取ったタイミングでアイちゃんに召喚されたって事か。
いや、こうして生きてるわけだし実際には息を引き取る寸前で転移したのか?
でも俺は冷たくなってしまった仁美と会っている。見ているんだ。
身体がそこにあるって事は転移じゃない。
それならなんだ? 転生? いや、たった今仁美は一年前にこっちに来たって言っていたじゃないか。
転生はない。転移とも違う。
それなら、憑依?
……こっちの世界で仁美と再会出来てからずっと気になっている事があった。
別にどう変わろうと仁美は仁美だ。そう思って口にはしなかった。
この違和感もその内消えると思っていた。だけど、もしも憑依だとしたら?
世の中自分にそっくりな他人が何人かはいるって言うし、それは異世界でも同じなんじゃないか?
それもーー
「なあ仁美。その髪はどうしたんだ?」
髪の色だけ違うそっくりさんとか。
☆ ★ ☆ ★
「ふんふふふーん」
「どうしたのじゃアイ。随分と楽しそうじゃのお」
町長の自宅でテーブルを囲んでいるのは町長、アイ、アスカ、トオの四人だった。
いつもはおとなしく、もくもくと食事をするアイが珍しい事に鼻歌交じりに食事をしていたため、町長は不思議そうにしていた。
「ふふふっ。今頃仁美お母さんと健太さんは何を話しているのかなーっと思ったのです」
「ふぉっふぉっふぉっ。そうじゃのお。もう会えないと思っておった旧友に出会えたのじゃ。会話も弾むじゃろうて」
無邪気に喜んでいるアイに頷き返しながら、町長はひっそりと、心の奥底でニヤリと笑っていた。
(あの二人は気付いておらんだけで確実に……「ふぉっふぉっふぉっ。青春じゃのお」
「町長? 突然怖いぞ?」
「ふぉっふぉっふぉっ。すまんのアスカ」
興奮のあまりついつい口に出てしまったと、内心舌を出した町長。
「そうだ師匠! 今回の旅ではどんな事があったんだ?」
「……うん。それなりに大変だった」
「そうなのか! 師匠が大変って言うなんて珍しいな! どんな奴と戦ったんだ!?」
興奮のあまりに立ち上がってぐいっと顔をトオに近付けるアスカ。
トオはアスカの顔が間近にあるというのに、カケラも気にした様子もなく、淡々とした口調で続けた。
「戦いが大変だったわけじゃない。今回の旅は調べ物」
「そういえば町を出る前にそんな事を言っておったの。何について調べておったのじゃ?」
「……うん。仁美について」
「……え?」
疑問符を浮かべる三人を放置し、トオは静かに仁美と一緒に住んでいる、自宅のある方向を見つめていた。
☆ ★ ☆ ★
俺の知る倉本仁美は純粋な日本人だ。
だから、ありえないんだ。黄金のように、第二の太陽の如くきらめく金髪だなんて。
「なあ仁美。お前、金髪じゃなかったよな?」
俺の知る。日本で生きていた仁美の髪色は日本人なら最も多いであろう、黒色だった。
聞いた話じゃ毎日の手入れを欠かしておらず、とても綺麗だったけど、それでも金髪じゃなかったはずだ。
最初は染めただけかと思った。
でも、染めているにしてはあまりにも綺麗過ぎる、統一されている。
根元まで完璧に黄金なんだ。
染めてるだけじゃこれは無理だ。
だったらこの黄金の髪はなんだ?
染めていないとしたら、元から?
その身体の本来の色?
「……あはは……やっぱり気になるよね」
「ああ」
「……そうだよね。あたしが金髪だなんて似合わないよね……」
そう言って悲しそうに俯く仁美。
「何言ってんだ?」
「え?」
「誰も似合わないなんて話はしてないだろ?」
俺は単純にどうして日本じゃ黒髪だったのに、こっちでは金髪になっているんだって質問してるだけだ。
似合う似合わないのにの字すら使ってないぞ。
「え、えーと」
「というか普通に似合ってると思うぞ? キラキラしてて太陽みたい仁美にはとびっきりで似合ってると思う」
「……そ、そっか。ふふ、良かった」
髪色が変わった事に関してはやっぱり気にしてたみたいだな。この様子だと。
ちなみに俺の髪色は変わったりしていない。ごくごくふつーの黒髪だ。
「で? いつからなんだ?」
「……うん。こっちで目覚めた時にはもうこうなってたよ」
そう言って自分の髪をつかみ、さらさらと流す仁美。
その時に見せた顔がなんだか大人びていて、ちょっと胸が跳ねた。
「理由とかはわかるのか?」
「うんん。わからない。ただね? その……」
「ん?」
急に頬を赤らめ始めた仁美。何故だい?
「この世界の金髪って地球での金髪とは意味合いが違うみたいなんだよね」
「意味が違う?」
仁美の言葉に首をかしげる俺。
何を言いたいのかまったくわからん。
「えーとね。つまり地球だと金髪って日本だと珍しいけど、外国だとありふれてるよね?」
「そうだな。ヨーロッパとかだとな」
「うん。それでね? この世界は光と闇によって出来ているってされてるんだ」
「……ん?」
光と闇とかなんか突然ゲームっぽい感じになってきたな。
……いや良く良く考えてみると、魔物だとか、剣だとか、魔法だとか、召喚獣だとか……その時点で十分過ぎるほどにゲームなんだよな。
だけどこれはゲームじゃない。リアルだ。
ゲームみたいな話だとしても、ちゃーんと真面目に聞かないとな。
「えーと、話して大丈夫かな?」
「……ああ。悪い」
さすがは仁美。俺の癖を良く理解してくれてるな。
「それでね。人間とか普通の動植物は光の生物。対して魔物や魔族は闇の生物とされてるんだ」
「ほーう。なんというか、人間側から考えた正義と悪って感じだな」
「……まあ、そうかもね。でね、髪の話に戻るんだけどね?」
「おう」
さてはて、光と闇の話が髪とどんな関係があるというのかね。
「黄金は光の祝福によって生まれたものとされてるんだ。つまりね。金髪の人間は光の神に祝福された存在って意味なんだ」
「祝福?」
「うん。だから金髪の人間は総じてこう呼ばれるの[選ばれし光]」
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