3-4 選ばれし光IV 〜クソジジイとまではいかないけれど〜
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これからしばらく過す事になるであろう町を案内してもらいながら、町長とは色々と話をした。
そして唐突に町長は言った。
「で、お主は仁美の事をどう思っておるんじゃ?」
……え。
「ど、どうってどういう事ですか?」
「好きなのじゃろう?」
「……えーと」
「ふぉっふぉっふぉっ。青春じゃのぉー」
青春……ねえ。まあそうなのかもしないな。
「それにしても始めてお主の名を聞いた時には驚いたものじゃ」
「……俺の事知っていたんですか?」
「仁美からもう会えない故郷の友人ときいておるよ」
「……そうですか」
やっぱり仁美か。まあそれは予測してたけどな。
にしても……友人……ねえ。
まあいいけどさ、確かに仲は良かったけど、俺は告白したわけじゃないし、当分するつもりもないけど。
「あ、そういえば仁美とアイちゃんってどういう関係なんですか? アイちゃんは仁美の事をお母さんって呼んでましたけど」
「ふむ、もちろん実の子ではない。そうじゃの、アイには親がいないんじゃよ」
「……親がいない?」
魔獣がいる世界。戦いが日常の世界。
そんな世界に生きているんだ。両親を失ってしまった子供はたくさんいるんだろうな。
それはわかってた。頭では理解してた。
アスカだってそうだった。
だから今の仁美を見て、二人が本当の親子じゃないってわかった時から薄々気が付いていた。
だけど、本当にそうだったのか。
「どうやらアイは本当の親の顔も知らぬようなのじゃ。それで仁美に出会い、あの子の事を実の母親として慕い、甘えるようになったのじゃ」
「そうでしたか……」
仁美は義理の母というよりも、母親代わりなんだな。
「それじゃあその、トオちゃんってどんな人なんですか? 随分と仁美と仲良さそうですけど」
「トオは一年ほど前にアイが連れて来たのじゃよ」
「アイちゃんがですか?」
「そうじゃ。アイが仁美を連れてくる少し前だったかの」
へえ。アイちゃんとの出会いは仁美よりとトオちゃんの方が先だったのか。
「て事はアイちゃん繋がりで仲良くなった感じですか?」
「そうじゃのお。三人は良く一緒に森の方に行っておったの。ワシとしては最初心配じゃったのだが、その頃から仁美の剣の腕はピカイチでの、それを知ってからは安心しておったよ。仁美の剣の才は故郷にいた頃からなのか?」
「ええそうですね。一緒に剣を習ってましたけど、仁美は俺なんかよりも遥かに強かったですね」
男なのに女に勝てないってのは最初は色々と思う事があったけど、仁美はあまりにも強過ぎた。
あまりにも次元が違い過ぎたせいで、途中から恥ずかしさ、悔しさを感じる事すらなくなったのを覚えてる。
「仁美は剣の腕だけでなく、あの特異な光魔術も凄まじいの。あんな術、長く生きておるが見た事も聞いた事もなかったからの」
「……仁美が光魔術を?」
「なんじゃ。お主は知らんかったのか? あれば実に美しい術じゃったの」
仁美が光魔術を使った?
そういえば仁美はまるで瞬間移動をしてるかのような速度を俺を助けてくれたんだっけ。
仁美と再会した事に頭が行っていて忘れてたな。
そうか。仁美も魔法が使えるのか。
それってつまりさ、日本人だから魔法が使えないってわけじゃないって事だよな。
町長のせいで仁美の家に泊まる事になっちゃったけど、逆に良かったかもしれないな。
仁美からどうやって魔法を覚えたのかとか、これからの事とか色々と話せるもんな。
「今日は仁美と積もる話もあるじゃろうし。トオはワシの家に呼んでおくからの」
「へ? それってどういう事ですか?」
「なんじゃ気付いておらんかったのか? 仁美とトオは一緒に住んでおるのじゃろ」
意外そうな顔をしている町長さん。
確かにちょっと考えればすぐにわかるような事だったな。
だって仁美が住んでる家って一人で使うには明らかに広過ぎるもんな。
あれだな。これからはもうちょっとトオちゃんに興味を持つというか、気にした方がいいかもしれないな。
こんな仁美の事しか頭にないなんて……はあ、恋は盲目ってか? うるへい。
「そういえばお主、トオの事を男じゃと思っていたらしいの」
「……うるさいです」
ニヤニヤと意義の悪い笑みを浮かべながらそう言う町長に、思わず本音が出た。
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