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召喚獣? いえっ召喚人です!  作者: 音野 一角
第一章 来界編
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2-10 再会X 〜魔法〜

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 恐怖で心が折れかかっている最年少のアスカ。

 そんなアスカよりも少しだけ歳上だから、一生懸命自分の中の恐怖と戦い、囲んでいる狼たちを睨みつけるアイちゃん。


 これはまさしく、絶対絶命って奴だった。


 くそっ。こんな風に囲まれてちゃアスカは詠唱に集中する事が出来ない。

 だからと言ってこの数、俺一人で行けるか?


 ……無理だ。


 今刀を構えて確信した。

 やっぱり。身体が重い。


 昨日の感覚ならこいつらに対してこんな状況だろうとここまでの恐怖を感じなかっただろう。


 二人を守り切れるかって心配はあっただろうけど、こんな恐怖はなかったはずだ。


 それぐらい身体の反応が良かった。世界が良く見えた。


 だけど今の感覚、まるで全身に大量の重りをつけているみたいだ。


 何故? どうして?


 敵のレベルが上がってるんじゃない。俺の、俺のレベルが下がっている?


 理由、きっかけは?


 まさか、まさか、まさかっ。


「け、健太さん……ど、どうするですか?」


 くそっ。今はこんな事を考えている場合じゃない。

 何か、何かないか?

 この絶望的状況を打破する作戦。


 今の俺にあるもの……物? アイテム?


「アスカ。アスカっ現実から目を背けるな!」

「健太……で、でも、この数じゃ……」

「数がいようと所詮は魔獣なんだろ?」

「何を……っそうか!」


 光の差した顔するアスカに俺はニヤリと笑い掛けた。


「えーと、ど、どういう事なのです?」

「つまりこういう事だよ!」


 腰に括り付けた袋の中に手を突っ込むと、目的の物を掴みそれを奴らに向かって投げた。


 投げたのは灰色の球体。そう、灰光石だ。


 確かに状況的に恐怖を感じるのは仕方がない。

 だけど、相手は所詮獣レベルの知能しかない魔獣なんだ。


 美味しそうな餌を差し出してやればそっちに惹かれるだろ?


「よしっ次っ」


 思惑通りに投げた灰光石に群れていく魔獣たちを見て、俺はガッツポーズを取るとすぐに次の物を取り出した。


「なあアスカ。これの威力ってどれくらいなんだ?」

「えっ?」

「まあ、平気だよな?」


 こんなに小さいんだ。威力なんてたかがしれてるだろ。


 撒き餌に集まっているのは一二三四(ひふみよ)……えーと七匹だな。

 なら、三つぐらいでいいだろ。


「ポイポーイ」


 今投げたのは銀光石だ。


 袋から出ている状態で衝撃を与えると炸裂するという、地球の道具で例えるなら手榴弾的なそれ。


 光石の大きさはビー玉くらいだ。それを四つ。


 灰光石で魔獣を集め、銀光石で吹っ飛ばすって戦法だ。


 そして、銀色の光石が炸裂した。


「うおっ!?」


 想像を遥かに超えたレベルの爆発だった。

 これは手榴弾レベルじゃないな。ロケランレベルだ。


 次からはあの量に二個、いや一個で十分そうだな。


 集まっていた七匹は当然のごとく煙が晴れた先に姿を残す事はなかった。


「やったな!」

「まだまだ次っ!」

「っそれならボクもっ!」


 杖を握り直し、球とは逆の先端部を地面に付けるアスカ。

 目を瞑り、何やら集中しているご様子。これが魔法の詠唱、いやチャージって奴か。


 よし、それなら俺の役目は魔獣どもにアスカの邪魔をさせないって事だな。


 さっきの一撃で一辺は消えている。一番遠い向こうを任せるとして、こっちとこっち、二辺を俺が吹っ飛ばす。


 片手じゃ両方同時は無理だ。この距離なら構えてる必要もない。

 刀を地面に突き立てると両手を袋の中に突っ込み、そして中をぶちまけた。


 二方向に灰光石と銀光石をぶん投げ、炸裂。

 これで敵が残るのはあの一方だけだ。


 こっちに向かって駆ける五匹の魔獣。まだ距離があるけど、アスカは間に合うか?


 光石のストックも大分減ってきたし、ここはアスカに任せたいんだけど……アスカ……。


 俺は念のために地面に突き立てていた刀を抜くと、無防備を晒しているアスカの前に立って構えた。


 少しだけ刀が軽くなっている気がした。


 って、もう目の前まで来てるんですけどアスカさん!?


 だけど声を掛けてその結果アスカの集中が乱れたとかで失敗しても困るしな。


 しゃーない、やるか。


 身体も大分軽くなったように感じる。

 やっぱり玄関で寝てて痛めてたって事なのかね。


 どうせならもうちょい早く治っておしかったもんだ。


「よっ!」

「ガウッ!」


 五匹の先頭にいた狼の跳び掛かりに合わせて刀を振るい、口裂けどころか真っ二つにしてやった。


 よし、この軽さならいける!


 だけど次は一匹だけ少し早く到達するだろうけど、残り三匹は同時だな。

 刀一本で三匹同時は流石に無理だ。


「健太しゃがめ!」


 アスカ!?

 後ろから聞こえてきた声に俺は驚きながらも、疑う事なく身を低くした。


 目の前にはもう狼が迫っている。アスカのそれが発動しないと、この体制じゃ回避も防御も無理、つまり死ぬんですけど!?


 そんな心配をちょこっとだけしていると、俺の頭上を球体が、いや、アスカが杖をフルスイングしていた。


 って、ええ!? 魔法はどうしたんだ!?


 そんな俺の驚愕をよそに、アスカのフルスイングは見事狼へのカウンターとなっていた。


 そして、狼に当たっている杖の先端部。球体部分が輝き、光の球体となって狼を吹き飛ばしていた。


「球技式魔法!」


 球体部分から輝きだけが弾として発射され、それに押し出された狼は他の三匹がいるところまで押し返されていた。


「ノヴァ!」


 そして、その光の球は巨大な火球となって狼四匹だけでは飽き足らず、近くと木々たちすら巻き込んで、球状に文字通り、消滅させていた。


「……え」

「よっしゃー!」

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