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召喚獣? いえっ召喚人です!  作者: 音野 一角
第一章 来界編
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2-7 再会VII 〜便利な石じゃのぉ〜

 俺たちの話を聞いていたのか、やけに急いで食事をするアホの頭を一発叩いた後、反省して普通の速度で食事を終わらせたアスカと共に、この町唯一の道具屋に案内してもらっていた。


「へえ。思ってたより大きいですね」

「ふぉっふぉっふぉっ。町は小さくとも売るものは色々とあるからのぉ」


 武器屋やプルプル亭のサイズからして、もっとこう、こじんまりとした駄菓子屋サイズだと思っていたんだけど、実際はコンビニサイズだな。


 とりあえず並べられている品を順番に見ていくのだが……うん、意味がわからん。


 いや、文字は大丈夫だぞ? 不思議な事に使われてる文字はひらがなとカタカタ、それから漢字にクリソツだからな。


 異世界なのになんで文字が同じなんだ? ふっしぎー。


 でだ、品の名称はちゃーんとわかるんだけど、問題は中身だ。


 つまりだ。名前がわかったところでその効能がわからん!


 エントリーナンバーワーン[灰光石(はいこうせき)]。

 なんじゃそりゃぁ!


「ふぉっふぉっふぉっ。随分と物珍しそうに見るのお」

「うおっ町長!?」


 いつの間にか後ろからにょっそりと現れた町長のせいで心臓が口から零れるかと思った。


「ふぉっふぉっふぉっ。驚かせてしまったようじゃの」

「い、いえ、大丈夫です」


 イタズラを成功させた子供のように無邪気な笑みを浮かべる町長さん。

 楽しそうだなー。


「ふぉっふぉっふぉっ。本当にお主は昔の仁美と同じじゃの」

「……仁美、さんと?」

「そうじゃ。あの子も昔はこの国で、いや他の国でも常識とされてる事を知らんかったり、それにしては礼儀がちゃんとしておったりと、ちぐはぐな所があったかのお」

「……そう、ですか」


 そりゃ、俺が今苦労してる事は過去の仁美だって苦労してるよな。


 異世界の文化や常識、習慣なんて知るわけがないのだから。


「ふぉっふぉっふぉっ。そう不安そうな目をするでない。ワシは問い質すような事はせんよ」

「……町長」


 もしも町長に説明を求められたら俺はどうした? 困るに決まってる。


 だってそうだろ? 正直に話したとして、俺が異世界から召喚された存在として、そんな話を信じるか?


 俺一人の不信に繋がるまだいい。その時はどこか遠くに行けばいいだけだ。


 だけど、町長はこんな俺と仁美を関連付けていた。俺への不信は仁美への不信に繋がってしまうかもしれない。


 ……一度、一度だけ仁美の不幸を願った事が、彼女の死を願ってしまった事があるけど、だけど、あいつの今の幸せを奪うなんて事、したくないんだ。そう、ちゃんと心から思えるようになっている。

 ……なってるはずだ。


「……ありがとうございます」

「ふぉっふぉっふぉっ」


 町長は気にするなと言わんばかりに笑っていた。


 町長から品の説明を受けながら見て回る事になった。いやはや、何も聞かずにここまでしてくれるなんて、本当に良い人だな。


 俺にずっと付き添ってある町長。他のお客はアスカだけで助かったな。まあ、アスカは不思議そうにしてたけど。


 町長曰く、灰光石というのは魔獣たちが好んで食べる鉱石の一種らしい。


 元々は銅光石(どうこうせき)と呼ばれる銅に良くにた鉱石らしいけど、長い年月放置されると色が灰色に変わっていくらしい。


 魔獣たちが好んで食べるということで、戦闘能力の持たない一般人が持ち歩き、万が一魔獣に襲われた時はそれを囮にして逃げるらしい。


 大抵の魔獣は人間よりも灰光石を優先的に狙うらしく、ほとんど助かるらしい。


 ただ、魔獣の数が数百数千レベルであまりにも多かったりすると一部がそのまま人間を狙うと事もあるらしいけど、魔獣がそれほどの群れを成すことは滅多にないため、問題ないらしい。


 他にも光石と呼ばれる鉱石があるけど、そのすべてに共通するのはその特異な形だ。


 まあ言うほど特異ってわけじゃないんだけど、光石は人工物ではなく、自然の中で生成され、人はそれを拾ってそのまま使っているに過ぎないのだが、そのどれもが綺麗な球形らしい。


 けどまあ真珠も綺麗な球形だしな、そこまで驚く事じゃないか。


 もう一つ特徴があって、表面に網目状の細かい凹凸が規則正しくびっちりらしい。


 だから触った感じでそれが光石か否か簡単にわかるほどらしい。


 この表面を人の手では再現できないため偽造も不可能なんだって。


 いやほんと、わりとどうでもいい事まで教えてくれましたね町長は。事細かく。


 まあ、ありがたいといえばありがたいのだが……。


 それと俺が求めていた品を発見する事にも無事成功した。


「……光薬(こうやく)……ねえ」


 小さなビンに入った少量の液体の名称で、効能はずばり、回復薬だ。


 うむ、我ながら実にシンプルでわかりやすい解説だな。


「あの、なんでこれを飲むと傷が治るんですか?」


 良くゲームとかで回復薬を飲んだ瞬間に重傷状態から回復するけど、それはゲームだからそういうシステムなんだって納得出来る。


 だけどさ、これはゲームじゃない。現実だ。

 町長曰く、飲むと全身の擦り傷とか打撲とかの細かい傷なら治り、切り傷とかなら患部に直接掛けると治るらしい。


 ちなみに飲む時には鎮痛剤のような役割も果たしてくれるけど、掛けた場合はめちゃくちゃ痛いらしい。


 それにしても、それって一体どんな原理っすか?


「……さあ?」

「なる、え……」


 あっれー? 軽い気持ちで聞いたんだけど町長さんが首を傾げていますよ?


 この感じ、惚けてるって風じゃないな。……え、マジで知らないの?


「ふぉっふぉっふぉっ。そう心配そうな顔をするでない。長く使われている薬じゃ、安全性は間違いない」


 いやまあ、実際にそれで治ってるらしいから良いんだけど……原理ー。


 まあ、この国の人は光薬を日常的に使ってるらしい、効能は俺が求めてたものだから良しとするか。

 正体不明のお薬か……ちょい怖いけど、気にしなーい、気にしなーい。


 回復薬は勿論の事、個人的に必要だろうなって思っていたものも無事発見。


 ドームにあった剣は二匹の狼を斬っただけで刃こぼれしてしまっていた。


 俺の腕が問題だって事は勿論わかった上だし、あそこにあったのが新品だったとも限らないのだが、それでももし、もしも剣が途中でダメになったらどうするんだって話だ。


 ドームまで到達できればあそこに置かれてる剣を使えばいいけど、道中で使い物にならなくなったらヤバさ百パーセントだ。


 という事で俺が求めていたのはサブウェポンになりうるものだ。


 え? それなら予備の剣を持ち歩けば良いだろって?


 ちっちっちっ、甘いぜジュニア。


 真剣って結構重いんだよ!


 一本でも重いってのに、予備を腰に差しながらあの素早い狼と戦えって?

 無・理・だっ。


 だから手軽な、軽いサブウェポンが必要なんだ。


 という事で見つけたのがこれ[|銀光石]だ。


 はーい、私は光石万能説を世間に訴えたい!


 その名の通りこれも光石の一瞬で、囮として使われる灰光石とは違い、例えるなら手榴弾だ。


 使い方は簡単。強い衝撃を与えるだけ。

 な? シンプルだろ?


 ある意味、異世界版の火薬みたいなもんだな。


 ポケットとかに入れてて暴発しないように、専用の袋に入れておくものらしい。


 ちなみに灰光石もこの袋の中に入れておかないと、石の匂いというか気配で魔獣たちを寄せてしまうらしい。


 という事で、回復薬と緊急回避用の灰光石にサブウェポンの銀光石と念のためにナイフを一本買っておいた。


 情けない事に俺は文無し、お支払いは町長さんです。


「その、本当にすみません」

「ふぉっふぉっふぉっ。その気持ちがあればワシは十分じゃよ」


 本当にいい人だな。町長。


「それじゃあアスカ。準備も終わったし、行くぞ」

「おうっ!」


   ☆ ★ ☆ ★

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