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召喚獣? いえっ召喚人です!  作者: 音野 一角
第一章 来界編
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2-2 再会II 〜仲間〜

 仁美はいない。他に戦力になりそうな人もいない、か。


 一応狼二匹を倒したって実績はあるけど、俺も戦える人かって問われると結構怪しいんだよなー。


 けどまあ、剣道っていう武術を習ってたって事実もある事だし、それに……何よりアイちゃんが一人で寂しがってるってのに、それを助けてやらないなんて男としてアウトだよな。


「……仕方ないか」

「な、なあ!」


 狼相手ならちゃんと戦える事もわかってるし、俺が頑張ってアイちゃんの救出に行こうと覚悟を決めた所、幼女にしか見えない男の娘が真剣な顔で言った。


 その顔は正に、覚悟を決めた漢の顔だった。


「……なんだ」


 だから俺も真剣に返す事にした。


 覚悟を決めた漢に対して、いつもの、適当な感じで返答をするのは失礼だ。


 女にゃわからん世界があるんですよ。漢の世にはさ。


「ボクも連れて行ってくれないか?」

「……良いのか? 俺の言っている事が本当とは限らないぞ?」


 幼女……いや、幼男(?)から感じられるのは覚悟だ。


 だけどこいつは俺の事を明らかに警戒していたはずだ。だというのに突然この反応はなんなんだ?


 不可解、不思議、摩訶不思議? やべ、同じ事だな。


「ボクはとおさんから留守を頼まれたんだ! だけど……気が付いたらアイはいなかった。本当ならボクが一緒についていかないといけなかったのに……」


 ……なるほどな。

 アイちゃんの話を聞いて信憑性を感じたんだろうな。


 それとここまで必死な顔をしてるのは漢としての感情と、負い目か。


 俺としてはこの子を連れて行きたい。そうした方が色々とハッピーエンドになりそうだからな。

 年の差があるけどこいつ真面目そうだし、アイちゃんの事をちゃんと幸せにしてあげられそうだな。ってこれじゃあまるで親戚のおっさんだな、俺。


 ……だけど。


「悪いが君を連れて行く事は出来ない」

「なっ! どうしてだよ!」

「俺はさっきまでアイちゃんと一緒にドームにいたんだ。だけど今はこうして一人でここにいる。理由がわかるか?」


 この子くらいの年ならなんでもすぐに答えはあげないで、自分なりに考えさせた方が良いだろう。教育的に。


 日本の子供はもちろんだけど、こんな危険な世界で生きているんだ。思考力は必須だろうからな。日頃からの訓練が将来の賜物になるってね。


「えーと……あ、そういえば安全って……そうか、わかった。アイを守り切る自信がなかったから?」

「そうだ。俺は仁美さんと違って剣の才能があるわけじゃなくてな。一人でアイちゃんを安全に連れて来られる自信がなかったんだ。だから……わかるな?」

「……ボクは足手まといって事?」


 目の前でうつむいてしまった少年の前で俺はしゃがむと、彼の頭に手を乗せた。


「ごめんな。安心しろ。アイちゃんはちゃんと俺が連れてくるから」

「…………」


 うつむいたまま拳をぎゅーっとしている少年。肩までプルプルと震えていた。


 やがて少年は顔をバッとあげると、頭の上に乗せていた俺の手を振り払った。


「バカにするな! ちょっとそこで待ってろ!」

「ちょっ、おい!」


 突然背を向けて町の中に向かって走り出した少年。


 なーんか面倒事を持ってくるのは目に見えてるし、今のうちにさっさと出発した方が良いか?


 だけど、念のためにアイちゃんが道中で怪我をしてしまったとしても、すぐに手当て出来るように準備だけでもしておいてほしいんだよなー。


 いや、もちろん無傷で連れて帰るつもりっスよ? だけどほら、そんな物語みたいに普通はうまくいかないだろうし、どっちにせよ念には念をって奴だ。


 ……ぐぬぬ、仕方がない。待つか。


 森を抜ける時にすり減らした精神力を回復させるため、立ったまま柵にもたれて目をつぶっていると、やがてドタドタと騒がしい足音が聞こえてきた。


「来たか」


 時間にして五分くらいか? そんな短時間でもやっぱりこのリラックス方法って効くもんだな。


 結構精神が回復してるな。文字通り気持ち的に。


「少年、何をやって……おい、その格好……」

「へへんっ」


 鼻を掻きながら得意げな表情を浮かべている少年。


 黒のローブにとんがり帽子。


 その格好はあまりにも、あまりにもわかりやすい魔法使いの格好だった。


 ……そういえばこいつ旦那さんから留守を頼まれたって言ってたな。


 この町を強力な結界で守ってるのが仁美の旦那さんだったな。

 まさかこいつはその弟子みたいな存在なのか?


 普通こんなショタに留守を頼むとか、そんな事を言うわけがない。ただの戯言とか冗談とかそういう類だろうと思ってたけど、まさかそういう事なのか?


「君は一体……」

「ボクの名前はアスカ! 偉大な光魔師(こうまし)であるとおさんの一番弟子だ!」

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