第8話 創世
頭痛が、乾いた一撃のように戻ってきた。目の奥でしつこく脈打ち、まるで何かが、内側から意識を圧迫しているかのようだった。脈打つたびに思考がかき乱され、何が現実で、何が引こうとしないその痛みの反響にすぎないのか、見分けるのが難しくなった。
苦しみのただ中に、それはあった。彼の名をささやく、女の声。しつこく、彼が向かう方向に気づかぬうちに、彼を前へと引きずっていった。
――それらを一つにして……アート……時が来たわ。
彼の足取りは本能的なものだった。数分のうちに《貴族区》を出て、《商業区》の通りや路地を抜けた。閉まった屋台や、夜の街灯が落とす影を、本能的に避けていく。
ダイアナは遠くから彼を追っていた。何かがおかしいとわかっていた。眉をひそめ、《アーチャー》は友人の姿勢を観察した。うつろに見える目、そして、ふらふらとした歩き方。それが彼女に嫌な寒気を走らせたが、それでも距離を保った。手を出す前に、まず見守ることにした。
道は、中心部の通りの間に忘れられた公園へと続いていた。オーロラにいくつもある《森林保護区》の一部をなす、小さな区域だった。許可なく立ち入ることも、植物や土に手を加えることも、固く禁じられている場所だ。
「あのバカ、本当にあそこに入る気?」
ダイアナは思わず声に出した。誰にも見られていないことを確かめるために、左右を見回した。
「何が起きてるの、アート?……」
木々の梢が二人の頭上で重なり合い、遠くの灯りの光を濾す葉の天井を作っていた。風が穏やかに吹き、湿った土の匂いと、草木のひそやかなざわめきを運んでいた。その先、地面をのたうつ太い根の間に、苔と蔦の層に覆われて、一つの構造物が隠れていた。
アートはその前で立ち止まった。古い石で造られ、時の流れにすり減った、アーチ形の入口だった。内部の闇は周囲の光を呑み込み、三歩先までしか見えなかった。
呼び声がやんだ。重い静けさが辺りに落ちた……そして若者は強くまばたきをし、今になってようやく自分がどこにいるのかに気づいた。
「ぐっ!」
彼はこめかみに手を押し当てた。
「ここはどこだ?」
ダイアナは木の幹の陰に身を隠し、じっと見守った。呼吸は重く、心臓が速く打っているのを感じた。
「トンネル?」
彼女はささやいた。
「このバカげた行動に、ちゃんとした理由があるといいんだけど……」
友人が入口を払い、トンネルの奥へと階段を下りていくのを、彼女は見ていた。
アートは片手を上げ、指先に小さな炎を灯すと、壁に取り付けられた古い松明の一つに移した。進みながら、他の松明にも火を灯していく。トンネルの内部が照らし出された。
石の壁に影が踊った。そこには古いルーンが弱々しく光り、色とりどりの蛍の群れのように、ゆっくりとしたリズムで脈打っていた。その光が若者の顔に映り、彼は注意深く構造物を見て回った。
「あの声……俺をここに連れてきたかったのか?」
彼は言った。何が起きているのかわからず不安だったが、その言葉とともに頭痛が消えたことに安堵してもいた。
彼は進んだ。わかりきった道をたどる。左へ、そして右へ。それ以外に選択肢はなかった。床はでこぼこで、埃と小さな石のかけらに覆われていた。湿気と苔の匂いが、その場に満ちていた。
そのとき、彼は見た……何もない! 突き当たりには、ただ岩の壁があるだけだった。左右にも、上にも下にも、出口はない。松明の列だけが、彼がやってきた場所を示していた。
「わからない……何か見落としたのかもしれな……」
若い魔法使いは、血管の中でエネルギーが高まっていくのを感じて、言葉を止めた。彼のマナが、制御を失って膨れ上がった。
赤みを帯びたエネルギーが、全身から立ちのぼった。衝動に導かれるまま、アートは目の前の壁に触れた。結局のところ、その向こうに何かがあるのだ。目を閉じ、新たな通路を――あるいは、少なくとも今起きていることへの答えを探すことに、意識を集中させた。
やがて、壁の側面の隙間から、かすかな緑色の光が漏れ出した。数秒のあいだ強まり……そして消えた。
「扉か?」
岩の壁が動き、右側へと滑った。亀裂が開き、その過程で埃が剥がれ落ちる音が、辺りに満ちた。
ゴゴゴゴ……バキッ! ザァァァ……
「ああ……本当に扉だ」
彼は皮肉と好奇心の入り混じった口調で、自分に答えた。
体を覆っていた赤みを帯びたエネルギーが消えた。高まっていく力の感覚が引いていき、アートは普段の状態に戻った。開いたばかりの新たな道を見つめる。松明のない、暗い廊下だった。壁にはまだルーンがあったが、それらは「死んで」いて、光を放つ性質を失っていた。
若者は右手に炎の魔法を宿した。周囲を少し照らし、足元が見える程度に。
一歩、また一歩と、彼は進んだ。手の中で炎がはぜる音が、重い呼吸と混じり合う。その呼吸には、膨らんでいく不安がにじんでいた。未知のものを前にして、感情を抑えようと、彼は空しく胸いっぱいに息を吸い込んだ。
廊下を数秒進むと、再び行き止まりに着いた。だが、今度はそれ以上のものがあった。
「空っぽの部屋か」
アートはつぶやいた。
新しい場所は、先ほどまでの狭い廊下とは違い、四方の壁を見渡すのが難しいほど広かった。部屋の中央に着くと、目の前の床に人影が見えた。壁に身を寄せて縮こまった、小さな姿。
意識はなかった。
彼が近づこうとすると、橙色の光がその生き物の体を走った。金属的な音が静寂に響いた。何かが、彼の足元まで転がってきた。
「腕輪?」
轟音が部屋を満たし、続いて、石が押し固められていくような音がした。砂のような岩の塊が、寄り集まっていくような。
ドォォン! ゴゴゴゴゴ……!
「え? 何だ……?」
アートは一歩後ずさった。
現れたときと同じくらい唐突に、轟音はやみ、静寂が戻った。
残されたのは、激しく打つ若者の鼓動だけだった。背筋を寒気が走った。部屋には奇妙な気配があった。そしてそれは、目の前の人影のものではなかった。
アートは息を止めた。その場の濃い薄闇が彼の周りを閉ざし、重苦しい静寂が緊張を高めていく。そして、石のきしむ音が辺りを満たし、低い唸り声が続いた。
「グルルァァッ!」
彼の背後で、腕輪の橙色の光が、近くの床にある角ばった、ざらついた輪郭を照らしていた。アートが振り向いたちょうどそのとき、石の構造の中で、灼熱の二つの目が開いた。
「冗談だろ?」
彼は問いかけた。
岩の怪物は巨大な腕を振り上げた。光る亀裂が、その表面に沿って脈打っていた。その拳が、雪崩のように振り下ろされた。
アートは横へ転がった。怪物の拳が地面を打ち、衝撃が床を伝わるのを感じた。埃と破片が飛び散り、彼は目を覆わずにはいられなかった。
「何なんだ、こいつは!?」
彼は両手を上げた。地面が応えた。大地が震え――岩の杭が地面から突き出し、怪物へと撃ち出された。
だが、届く前に、杭は塵となって崩れ落ちた。アートは目を細めた。こんなことは一度もなかった。
怪物は、その大きさからは思いもよらない身軽さで動いた。人間の腰では不可能な動きで体を一回転させ、横殴りの拳を繰り出した。若者は反応する間もほとんどなかった。土の障壁を作り出したが、その守りは、拳が当たった瞬間に崩れ去った。
その衝撃で、彼は後ろへ吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
鈍い衝撃に、肺から空気が押し出された。立て直す前に、怪物はすでに彼の上にいた。その目は生きた熾火のように燃え、もう一度拳を振り上げた。今度こそ、彼を叩き潰すために。
そのとき、ヒュッと風を切る音がした。
ガキィン!
一本の矢がゴーレムの頭の側面に命中し、その注意を逸らした。驚いたことに、ダイアナが彼の横に降り立ち、矢筒から二本目の矢を抜き取った。
「お困りのようね?」
片方の口角を上げて、彼女は尋ねた。
「こいつ、魔法を打ち消すんだ」
息を整えながら、若者は答えた。
ダイアナにそれ以上の説明は要らなかった。怪物はすでに再び動き出していた。間髪入れず、彼女は矢筒から小さな金属の筒を取り出し、ピンを抜いた。
「目を閉じて!」
彼女は叫んだ。
アートはためらわなかった。
光の爆発が、一瞬の太陽のように部屋を満たした。閃光は壁のルーンに反射し、一瞬だけそれらを目覚めさせた。蛍光の輝きは、爆発のエネルギーを吸い込むかのように広がり、辺りをくまなく照らし出した。
壁に寄りかかった人影が、はっきりと見えた。
それは、子どもだった。
衝撃は一秒しか続かなかった。理解している暇はない――まずは生き延びなければ。
怪物は、ふらついた動きで後退した。その体は揺らぎ、表面の亀裂が光を放って脈打っていた。アートはその隙を逃さなかった。ひらめくような理解とともに、敵の正体に気づいた。
「ダイアナ、こいつは純粋な魔力の流れだ!」
彼は叫んだ。
「本物の石じゃない!」
彼は集中した。その形を直接攻撃できないのなら、それをつなぎ止めている魔法そのものに干渉するしかない。目を閉じ、怪物を取り巻くエネルギーの層を感じ取った。「土」の粒子一つ一つが、実は固さの幻にすぎず、魔法か、あるいは複雑な付与魔法によって保たれていた。
彼は怪物に向かって突進し、両手で触れて、自らの魔力を流し込んだ。壁のルーンが応えるように震え、アートが力を注ぐにつれて、怪物は身を震わせた。いくつもの亀裂が広がり、怪物の輪郭が砕け散って、腹部の中心にある輝く球体があらわになった。
「今だ!」
彼は叫んだ。
ダイアナが、最後の一矢を放った。
矢は輝く球体を貫き――核は光の弾ける音とともに割れた。
ルーンの光が最後にもう一度きらめき、消えた。それとともに、ゴーレムは今度こそ塵となって崩れ落ちた。
「げほっ! げほっ……ダイアナ……光の手榴弾、まだあるか? マナがほとんど残ってない」
再び戻ってきた暗闇の中で、アートが言った。
ダイアナは湿った壁に背をもたせかけながら、ため息をついた。
「残念だけど、ない。ポーチのついたベルトを持ってくるのを忘れたの……矢筒にいつも非常用の手榴弾を一つ入れておいたのが、せめてもの幸運ね」
しばらくのあいだ、二人とも何も言わなかった。呼吸の音だけが静寂を破っていた。アートは子どもに近づき、その体を抱き上げた。
「この子をここから連れ出そう」
「こんな場所に子どもがいるなんて、おかしいよ」
ダイアナは友人のあとに続いた。
部屋を出て、暗い廊下を歩き、松明が照らす場所までたどり着いた。アートは前を見ていた。子どもの頭が、彼の肩にもたれていた。
「よし! ここなら……」
彼は言いかけたが、振り返ると、友人が目を見開いたまま、衝撃に立ち尽くしているのが見えて、口ごもった。
「ダイアナ?」
松明の光が、辺りをはっきりと照らしていた。若い《アーチャー》は、友人の腕の中の子どもを指さした。少女の髪が若者の視界を遮っていたので、彼はよく見ようと、その子をそっと床に下ろした。そのとき、アートは彼女が驚いた理由を理解した。
色白の肌をした子どもは、見慣れない仕立ての、水色がかった緑のドレスを着ていた。首には純金の首飾りがかけられ、そこに留められたエメラルドが、近くの壁のルーンと同じ周期で脈打っていた。そして、短い金髪の間から、尖った耳がのぞいていた。
「何が起きてるの?」
ダイアナが尋ねた。切迫したささやき声だった。
アートは黙って彼女を見つめた。
見つけた答えのどれもが、さらに大きな問いを開いていくだけだという、残酷な認識だった。そして、この子どもこそが、その生きた証だった。




