第6話 共謀
《ヴェラロ》はゆっくりと、道の上を滑るように浮かびながら、《オーロラ軍》の基地の門へと進んでいった。
巨大な扉が、夕暮れの赤く染まった空を背にそびえていた。その高さと頑丈な造りは、近づく者に畏敬の念を抱かせた。《監視塔》は建物の金属的な輝きを映し、兵士たちは防壁の間を巡回していた。王国の紋章――炎の輪の中で燃え上がる白い不死鳥――が正面入口に刻まれていた。それは秩序であり、義務だった。
車両が地面に降りると、反発チューブは魔法の霧を最後にひと吐きし、静かになった。チームのリーダーであるカエラが、最初に降りた。こわばった姿勢が、疲労を物語っていた。残りの者たちも、それぞれ物思いに沈んだまま後に続いた。
シルヴェインは盾を背中のホルダーに収めると、長い赤髪――まだ湿っている――を後ろへかき上げ、ため息をついた。
「下水の臭いが私のアイデンティティになる前に、着替えてくる」
「私も……」
ダイアナが言った。《アーチャー》は、汚れた自分の制服に鼻をしかめた。
二人は宿舎のほうへ去っていき、アートは《ヴェラロ》のそばに残って、辺りを見回した。基地の中庭は比較的静かで、任務後の作業を取りまとめるために、数人の士官が行き交っているだけだった。オリバーは若い《ストライカー》の隣にいた。《ソードマン》のルビー色の瞳は、軽蔑に満ちていた。王子の肩に片腕を回された友人のケンノが、完全に目を覚ますのを待っていた。
「医務室へ連れていけ」
リーダーが、有無を言わせぬ口調でオリバーに言った。
彼は一瞬ためらったが、結局は顎を上げて顔を背け、ゆっくりとした足取りで医務室へ向かった。
少しずつ、他のチームも戻ってきた。兵士たちの表情は沈んでいて、彼らの間の沈黙は、どんな報告よりも多くを語っていた。何かがおかしかった。
アートは、格納庫の中庭の反対側から、見慣れた三つの人影が近づいてくるのを見つけた。ハロルドは杖を肩に預け、マルコスは大剣を背中のホルダーに収め終えるところで、アスカはまだ盾を腕に固定したままだった。三人は彼のほうへ歩いてきた。その顔には、疲労と苛立ちが刻まれていた。
「ずいぶん早く戻ったんだな?」
ハロルドが、無理に笑みを作って言った。
「楽な任務じゃなかった」
アートは腕を組んだ。
「少なくとも、生きて帰れた。そっちは?」
アスカはため息をついた。答える前に、左右を見回した。
「他の拠点は、ただのおとりでした」
その言葉は、冷たい刃のように宙に漂った。
「なんだって?」
アートは眉をひそめた。
「あの作戦は、こっちの目をくらますために仕組まれてたんだ。それだけさ」
マルコスが、緑の瞳を細めて説明した。
「無駄骨だったよ」
アートは、胃の奥に結び目ができるような感覚を覚えた。それが本当なら、任務そのものが策略だったことになる……だが、何のために?
「師匠はどこですか?」
桃色の髪の若い《シールダー》が言った。
「着替えに行った」
「えっ!? 着替えに?……どうしてですか?」
アートはため息をついた。疲れ果てた一日が、ごちゃごちゃと頭の中を通り過ぎていった。
「話せば長い……」
それ以上話す前に、力強い声が中庭に響いた。大広間で、カエラのチームに任務の輸送手段について知らせた、あの兵士たち――銀の鎧と兜をまとった者たち――が、格納庫の中庭に入ってきた。そして告げた。
「全員、解散!」
入り乱れる足音が、そこにいた兵士たちがゆっくりと散っていくことを告げていた。ようやく休めることに、皆ほっとしていた。だが、アートたちがそれぞれの道へ向かう前に、二つ目の命令が響いた。
「リーダー・カエラとそのチームは、隊長室で会議だ。今すぐ!」
若い魔法使いの視線が、無表情を崩さないカエラの視線と交わった。彼女は何も言わずに背を向け、《本部棟》へと歩いていった。仲間たちは顔を見合わせてから、別れを告げた。
「その任務で何があったのか知らないけど、大事なことだったんだろうな……」
ハロルドは、何かがおかしいと察していた。
「明日、全部聞かせてもらうからな!」
遠ざかりながら、茶色の瞳で友人を見据えて、そう付け加えた。
数歩進んだところで、若い《サポート》は、アスカがまだ中庭に立ち止まっていることに気づいた。そして、苛立った声で叱った。
「行くぞ、アスカ! まだそこで何してるんだ?」
「私……待とうと思って……」
「待つ相手なんかいないぞ。ダイアナは隊長室の会議に行くんだ。大目玉を食らいに行きたいのか?」
小柄な《シールダー》は目を見開き、仲間たちのほうへ駆けていった。
短い沈黙のあと、友人の《ソードマン》の顔を見ようと、彼女は上を見上げた。そして言った。
「鳥を見に行くのはどうですか?」
さっきまでぼんやりしていたマルコスは、笑顔で彼女を見た。一番の趣味の話を聞いて、《ソードマン》は嬉しくなった。
「行こう! 日が暮れる前に、あいつらがどこにいるか知ってるんだ」
若い《シールダー》は心からの笑みを浮かべ、ついでにハロルドも誘った。
「一緒に行きますか?」
「誘ってくれてありがとな! でも……あとで用事があるんだ」
マルコスは大笑いをこらえようとしたが、すでに友人の《サポート》をばらす気満々だった。
「こいつ、デートなんだよ……メンと……」
「黙れ、このデカブツ!」
ハロルドが遮り、飛びついて友人の口を両手で塞いだ。
笑い声とじゃれ合いの中、三人は遠ざかっていった。
あとには、考え込むアートだけが残された。会議へ向かいながら、突然の呼び出しの重みを感じていた。ただの任務報告ではない。士官の声の深刻な響き、カエラの抑えた眼差し、そして戻ってからのすべての成り行きが、表面に見えている以上の大きな問題を指し示していた。
部屋に着くと、その場の重々しさに、一瞬たじろいだ。エドガー――隊長――の部屋は広々としていたが、無駄なものはなかった。すべてがきちんと整えられ、どの物にもそこにある理由があるように感じられた。暗い石の壁が部屋に厳しい雰囲気を与え、天井に埋め込まれたマナのランプの冷たい光が、それをさらに強めていた。
頑丈な木の大きな机が部屋の中央を占め、その天板には、長年の戦略と難しい決断の跡が刻まれていた。その後ろには、報告書や軍事書でいっぱいの書棚が、丁寧に整理されていた。それは《オーロラ軍》を率いる男の規律を映していた。
横のボードには地図が貼られ、手書きの書き込みや、部隊の配置と動きを示す印が記されていた。隅には、オーロラ王国の旗が堂々と掛けられていた。部屋に一つだけある窓からは兵舎の一部が見えたが、重いカーテンに覆われ、細い一筋の光だけが室内を横切っていた。
中へ入ると、カエラはすでに隊長の机の前に立っていた。こわばった彼女の姿が、アートが感じ取っていた彼女の重荷を、いっそう際立たせていた。エドガーの右腕であるルシアンが、《アーチャー》のリーダーの隣にいた。室内の空気は重く、権威と期待に満ちていた。若い《ストライカー》は、彼女の目に浮かぶためらいに気づいた。彼女は、自分に不利なことを口にしようとしていた。それより先に、アートが口を挟んだ。
「他の者を待たなくていいんですか?」
彼は無言のまま、意味ありげに、カエラに自分の存在を意識させた。厳格な顔立ちに、常に計算高い眼差しを持つ男――隊長は、腕を組んだ。
「その必要はない。カエラから、二人とも戦闘から外れていたと聞いている。解散させるよう、人をやった。だが、お前は役に立つ情報を持っているかもしれん」
若い《ストライカー》はゆっくりと頷き、知っていることを報告することにした。
「奴らが使っていた武器は強力でした。剣の一本には、奇妙な技術が使われていて……攻撃したら、魔法を吸収して、さらに強い一撃を返してきました。あんな手段を持っているなら、他にどんな技術を隠しているか、わかりません」
「ああ。確かに、持っている……奴らが隠し持つ軍事力については、すでに把握している。それだけか?」
「敵は……フードの色がそれぞれ違いました。少なくとも四色はありました」
「何色だ?」
「緑と青。一人は黒でした。でも……気になったのは、最後に現れた一人です。紫を着ていて、一歩ごとに足を引きずっていました。そいつを見て、全員が怯えていました」
隊長は、すぐには反応しなかった。一瞬、その澄んだ青い瞳が細められた。アートはかすかな寒気を覚え、落ち着かなくなった。
「了解した」
男はいつもの姿勢に戻り、その報告に礼を述べた。
「これで、パターンを割り出せるかもしれん。よく見ていたな、若いの」
一瞬生まれた緊張はすぐに解けた。だが、誰もがそうだったわけではない。長い黒髪の、威圧感のある《ストライカー》、ルシアンは、金色の瞳をカエラに据えたままだった。その強く揺るがない輝きは、言葉の向こうを見通し、隠された真実を求めて一つ一つの仕草を探っているかのようだった。その視線は冷たく、納得していなかった。彼は言った。
「リーダー・カエラ、任務地への到着が遅れたと聞いた。最後まで手順に従ったのか?」
アートは、カエラの指がわずかにこわばるのに気づいた。彼女は追い詰められていた。
「従いました」
緊張が高まる前に、アートが言った。声はしっかりしていたが、落ち着いていた。
「リーダーは遅れてなどいません……状況に応じた対応が必要でしたが、我々はそういう問題に備えています」
カエラは平静を保ち、頷いた。
「もちろんだ。務めは果たした。到着してから、チームを守ることができた……救出は規定どおりに行った……残念ながら、私の任務はお前のように楽ではなかったがな、リーダー・ルシアン。聞いたところでは、何も見つからなかったそうだな?」
その兵士――《ストライカー部隊》のリーダー――は一瞬動かなかったが、食い下がる隙はなかった。彼は視線を逸らした。納得したのか、それとも続ける論拠がなかっただけなのか。
「もういい! 今はそれが重要なのではない。敵の計画が何だったのか、どうやって我々を欺いたのかを突き止めねばならん。リーダー、お前の遅れについては、私が戻ってすぐ、キャノンの発射に問題があったという報告を受けている」
エドガーは机に肘をつき、指を組んで言った。
「それで、何が問題だったのか、わかったのですか?」
《アーチャー》のリーダーが尋ねた。
「銅のケーブルが外れかけていた。どうやら、試作品にはありがちな欠陥らしい」
カエラは眉をひそめた。発射を遅らせるためにケーブルを外したのは、ほかならぬ彼女自身だった。夫と娘たちを押さえていた敵に、命じられたとおりに。会議はさらに数分続いたが、新たな衝突はなかった。
「今日はここまでだ……それと、カエラ、お前のチームの者たちは《ヴァンガード》に昇格だ。問題はあったが、よくやった!」
「了解! 私から伝えます」
解散を告げられると、アートと彼女は一緒に部屋を出た。
部屋を出るとすぐ、リーダーは長いため息をついた。溜まっていた緊張から解き放たれたように。
「ありがとう!」
彼の顔をすぐには見ずに、小声で言った。
若い魔法使いはそっと微笑んだ。彼もまた、目を合わせなかった。
「あの人たちには、あなたの事情はわからない。たぶん任務から外されて、牢に閉じ込められてた」
「アート! 誰も信用できない。私の家族に何があったかを知っているのは、お前だけだ」
「家族を救出したチームは?」
「ミアとジョン。私の右腕だ。何年も《アーチャー部隊》で私と一緒にいる。命を預けられる二人だ」
彼女は一瞬彼を見つめ、それから、重い空気を払おうとするかのように、話題を変えた。
「この埋め合わせに、あとで夕食でもどうだ? 夫が《中央区》でレストランをやっている。お前に家族を紹介したい」
アートは不意を突かれた――そんな誘いは予想していなかった――が、彼女の表情に何かを感じ取った。疲労と警戒が入り混じったもの。まるで感謝のほかにも、彼をそばに置いておきたい理由があるかのように。
「いい考えだ」
彼は頷いた。
「家族も連れてきていい。ダイアナもな。お前たちはいつも一緒だろう?」
カエラは微笑んだが、立ち去る前に、その視線はすぐに隊長室の扉へと逸れた。小さな兆し……アートはそれを見逃さなかった。
◇
少しして、基地の入口にある二基の大きな《監視塔》の間で、ダイアナが彼を待っていた。
小さな庭を囲む低い石垣の上に、彼女は腰掛けていた。冷たい石は、周囲の手入れの行き届いた植物と対照的で、控えめな花々が夜風に揺れていた。新しい制服――前のものと同じ作り――は、夕闇の訪れとともに灯り始めた明かりの下で、際立って見えた。
濃いライラック色の革のジャケットには、肩と袖口に金色の装飾が施され、その下には、引き締まった体に沿う、明るい色合いの伸縮性のあるブラウスを着ていた。軽いプレートが肩と前腕を守り、動きやすさを損なうことはなかった。紫の装飾が入った黒い革のぴったりとしたズボンは、幅広のベルトで留められ、そこには装備用の小さなポーチが提げられていた。ミドル丈のブーツは足首にしっかりと合い、金色のバックルが周囲の光を反射していた。
明るい薄紫の髪は再び一本の三つ編みにまとめられ、顔の繊細な輪郭をいっそう引き立てていた。アートが友人に近づくと、彼女は彼に気づくなり、すぐに口を開いた。
「疲れる一日だった……」
ここ数時間の重みを逃がそうとするかのように、彼女は頭を後ろへ傾けた。
「まったくだ」
アートは言い、その流れに乗った。
「あ、カエラが、あとで旦那さんのレストランで夕食をどうかって誘ってくれた」
ダイアナは片眉を上げ、怪訝な顔をした。
「え? あの人が、あなたを夕食に誘ったの?」
「今日のお礼がしたいんだって」
「お礼!?……一度くらい、あの人の口からそういう言葉を聞いてみたいものね」
昔の傷を隠すような笑みを浮かべて、ダイアナは言った。
「でも……お礼って、何の?」
彼女は戸惑いながら付け加えた。
「かばったんだ。遅れたことも、その理由も、隊長には言わなかった」
「キャノンに遅れが出たって聞いたよ。それはもうみんな知ってる」
「違う……《ヒドゥン・ギア》が、彼女の家族を人質に取ってたんだ」
若い《アーチャー》は目を見開き、ぽかんと口を開けた。新しい情報を飲み込もうとしていた。
「アート! どうしてあの人、移動中に私たちに言わなかったの? それに、隊長にまで隠したの?」
アートは深く息を吸い、友人の両肩に手を置いた。まっすぐに彼女を見つめて、言った。
「今は説明するのが難しい。証明する手段もない。でも……」
彼は一瞬ためらった。
「これまでのことを考えると、《ヒドゥン・ギア》は《オーロラ軍》に潜り込んでると思う。しかも、高い地位に」
「それって……隊長が……」
「隊長じゃないと思う。でも、誰も信用できない。今夜の夕食は、リーダーに近づいて、この状況をもっと知るチャンスかもしれない」
「もしあの人が嘘をついてたら?」
「確かめる方法は一つしかない。まずは誘いを受けることだ」
ダイアナは事の重大さを理解し、頷いた。考えを巡らせているうちに、頭の中で何かがひらめいた。
「待って……今日? 今日って、あなたのお母さんに会いに行く日じゃなかった?」
アートの目が見開かれた。いろいろなことがありすぎて、すっかり忘れていた。
「しまった……!」
ダイアナは腕を組み、首を横に振った。
「こうなると思った。私がいてよかったね。急いで支度すれば、両方行けるかも」
彼はばつが悪そうに笑い、うなじを掻いた。時間を無駄にする余裕はなく、二人はそれぞれの家へ駆けていった。
アートにとって、母を訪ねることを忘れたのは初めてだった。彼は物思いに沈んでいた。自分を責め、頭の中を苛む奇妙な声に、まだ苛立っていた。




