第3話 包囲
彼を減速させる力場に包まれながら、アートは任務の地へそっと降り立った。開けた空は、背の高い木々が密集する深い森に取って代わられ、先ほどまで足を踏み入れていた機械だらけの場所とは対照的だった。植物に囲まれ、地平線の先は暗く、見知らぬものになっていた。
やがて、こちらへ近づいてくる仲間たちの姿が見えた。全員が慎重な足取りで周囲を見回している。
「アート!」
ダイアナがすぐそばまでやって来て、金色の瞳を彼に据えた。
「大丈夫?」
若い《アーチャー》は彼の手を握った。彼があれほど激しい痛みを感じているのを見たせいで、まだ心配しているのだ。
少年は頷き、辺りを見回した。任務に集中しなければならない。背の高い木々と閉じた樹冠が光を濾し、地面に不規則な影を落としていた。空気は湿った土と古びた木の匂いがした。ねじれた枝は自然のトンネルを作り、太い根は罠のように葉の下へ広がっている。
オーロラにいる唯一の鳥たちの鳴き声が聞こえた。希少な鳥で、濃い青の羽に、翼には赤い模様があった。高く飛び、その声は日暮れ前の憂いを帯びていた。
「どうして俺たちはここにいるんだ?」
アートは、体にぴったりした黒いチュニックを整えながら言った。
「ここは王国の西側。たぶん、この森なら私たちが到着するところを見られずに済むから、送られたんだと思う」
長い赤髪の《シールダー》、シルヴェインが答えた。
木に背中を預けて様子を見ていた《ソードマン》のオリバーは、眉をひそめ、距離を置いたままでいた。苛立ちを隠そうともしなかった。
「リーダーを待って、それから続けよう」
シルヴェインが締めくくった。
「空の上から見えたんだけど、真西ってわけじゃない。少し北寄りだ」
アートは顎に手を当てた。
「この方向に森の奥へ進めば、下水道の区域に着く」
「下水道? でも、任務は本当にそこなの? リーダーが何の指示も出さないなんて、おかしいわ」
「うん……あの人らしくないね」
ダイアナが言った。
◇
時間が過ぎた。
一行は指示がないために足止めされ、退屈な空気の中で待っていた。
「もう三十分近くここにいるけど……」
シルヴェインが言った。
「こういう予定だったの?」
「ふん!」
ケンノが嘲った。貴族の家柄の若い《サポート》の橙色の瞳が、ここにいることを嫌がるように、仲間たちを横目で見やった。
敵意を向けられても、彼女は小馬鹿にしたような視線で応じ、ただ続けた。
「ところで、さっきの言い方……前にもここへ来たことがあるの、アート?」
「いや……ここへ来るのは初めてだ」
「じゃあ……」
ダイアナは、友人に挑発的な笑みを向けて彼女を遮った。
「この人、王国の地図は全部暗記してるんだよ」
「じゃあ、あなたもそういうものにハマった変人の一人ってこと?」
《シールダー》はそう尋ね、《アーチャー》の笑みを映すように微笑んだ。
「『ハマった』は言いすぎだと思うけど……」
彼は答えた。
「でも『変人』は言いすぎじゃないよ」
ダイアナが大笑いしながら遮った。
アートは首を振り、かすかに笑った。からかいを冗談として受け流したのだ。そして立ち上がり、チュニックの埃を払いながら言葉を続けた。
「うちはいつも、いろんな本でいっぱいだったんだ。それで、まあ……王国の地図もその中に入ってる」
ダイアナは立ち上がりながら、ペンダントを揺らした。母が残した、家に伝わる品だった。おどけた調子で姿勢を正すと、友人の言葉に懐かしさを添えた。
「アートのお母さんが、外の世界の地図を私たちに無理やり暗記させたときのこと、思い出しちゃった」
「母さんが自分で考えてたやつか?」
友人が付け加えた。思い出が、彼の顔に幸せをもたらしていた。
シルヴェインは微笑みを浮かべた。二人の仲間が共有する思い出に心を動かされていた。
「もう十分だ!」
オリバーが彼女を遮った。その声が森に響いた。
「お前と、そこのラブラブな二人はどうか知らんが、俺とケンノは先に行く」
「そんなに急いで出発するべきじゃない。リーダー・カエラはいつ到着してもおかしくないんだ。待とう」
「どうしたんだ、オリバー?」
アートが言った。
「標的の拠点がどこかも分からないんだぞ。迷うか、捕まるか、もっと悪いことになる」
「心配するな。ドームの外までは行かん!」
すでに背を向けていた王子に、友人が付き従った。二人は遠ざかっていき、振り返ることもなかった。無分別だった。
オリバーの足元で、地面が震えた。
轟音が、不安を掻き立てる揺れとともに響き、二人の思い上がった態度を打ち砕いた。
一瞬のうちに、目の前の大地が裂けた。亀裂が地面を蛇のように走り、もう一度激しい破裂音が響くと、石の壁がそびえ立った。生まれたばかりの構造物から土塊や粉塵が剥がれ落ち、宙に漂ってから、灰のように落下した。
障壁――荒々しく不揃いなそれ――は、あらゆる通り道を塞いだ。ぎざぎざの頂が《ソードマン》に影を落とし、先へ進むことなどできないと、はっきりと告げていた。
オリバーは背を向けたまま深く息を吸い、長い金髪を手でかき上げた。その髪は、当然ながら乱れた。胸が膨らむにつれ、怒りが募っていった。彼は言い放った。
「アート! 後悔することになるぞ!」
腰に手をかけ、剣を抜こうとしていた。王家の遺物である剣だった。
「任務を台無しにさせるわけにはいかない」
若い《ストライカー》は理由を告げた。両手には炎を宿している。
二人はしばし見つめ合い、緊張が一気に高まった。
オリバーは振り向き、戦う構えを取った。剣は右手にぶら下がり、暗い場所にいても、その刃は上質さゆえに輝いていた。彼は脅すような笑みを浮かべた。
「そうしたいなら、殴られてから文句を言うなよ!」
「何をしているの? 気でも狂ったの?!」
シルヴェインが二人の間に割って入った。背から盾を外し、膝を軽く曲げて戦闘の構えを取る。必要とあれば、さらに介入するつもりだった。
「ダイアナ、手伝って!」
ダイアナは素早く近づき、《ルミニス材》と《黒アダマンタイト》でできた木製の弓を抜いた。《シールダー》と並んだ。
「こんなことしてる場合じゃないよ、アート! みんな、落ち着いて!」
全員が睨み合った。状況は和らがなかった。チームが壊れかねない事態だった。そして苛立った《ソードマン》――王子その人――が、さらに悪化させた。
「ケンノ! 俺に強化をかけて、『盾』を作れ!」
彼は命じた。
「ただちに!」
《サポート》は彼に力を注ぎ込んだ。光の糸が根のように広がり、エメラルド色に輝きながら、両手から煌めくオーラが放たれ、《ソードマン》に降りかかった。
「爆発する矢に気をつけろ!」
「そのことを忘れていたな」
ダイアナの矢筒に目を留めた。だが、それで自信が揺らぐほどではなかった。
「最後の機会だ。そこをどけ」
「どかない」
ダイアナが答えた。その眼差しは揺るがなかった。
もう後戻りはできないと悟ったオリバーは歯を食いしばり、攻撃へと身を投じた。脚が深く沈み、筋肉が張りつめ、視線は標的を捉えて離さない。そして、全力で駆け出した。
《ソードマン》は最初の一撃をダイアナへ放ち、守ろうと飛び出したシルヴェインを引きつけた。剣が盾に触れる前に、オリバーは素早く方向を変え、鎧が地面をなめらかに滑った。その動きは戦士としての熟達ぶりを示していた。二人の《ウォリアー》をかわし、アートへの道を開けたのだ。
「ハッタリだよ!」
《アーチャー》が叫び、爆発する矢を放ったが、ケンノの作った盾に阻まれた。
「ケンノがあいつをすごく速くしてる!」
シルヴェインが言った。
「アアアアアアアアアアアアアアアアート!」
《ソードマン》が叫び、若い《ストライカー》へ向かって突進した。
王子はぎょっとし、期待していた場所に彼の姿がないことに気づくと、必死に探した。上を見上げると、巨大な火球が猛スピードで迫ってくるのが見えた。彼は剣で受け止めた。
それでも、遠くへ吹き飛ばされた。オリバーは木の一本に背中を打ちつけ、衝撃の痛みを感じた。鼻から血が流れていた。
「いい気になってるな、え? この汚いクズ野郎が!」
彼は言った。剣を地面に突き立てて、立ち上がろうとした。
立ち上がると、《ソードマン》は嘲るような笑みを浮かべ、唱えた。
「これで終わりだ! イグニス・サクル……」
戦いの熱が高まり、感覚がますます研ぎ澄まされる中、彼は動きを止めた。
頭上の枝を横切った影が気にかかった。そこに意識を向けると、茂みに潜む、フードを被った人物が見えた。葉の裏にいる存在は、脅すように彼を見返してきた。
「気をつ……!」
言い終える前に、いくつもの手榴弾が周囲に落ち、爆ぜた拍子に大量の煙を撒き散らした。
視界も利かず、まともに息もできないまま、《ソードマン》は必死に他の仲間を探した。片手を伸ばし、もう片方の手で鼻を覆っていた。
「くそっ! 何も見えん! げほっ……ケンノ? シルヴェイン?」
数メートル先で、ダイアナとシルヴェインはアートと一緒にいた。アートは自分たちの周りに、小さな土のドームを築いていた。ざらざらで不揃いな構造物が地面から生え、表面には細いひびが走っている。小さな土の粒が、まだ側面から剥がれ落ちていた。
ドームが固まるあいだ、三人は収まるように身をかがめていた。
「何だったの?!」
シルヴェインが訊いた。
「待ち伏せされたんだ」
アートが答えた。
「どうするの?」
「戦うしかない」
アートは状況を分析した。
「この煙が有毒かどうかは分からない。でも、障壁を解いたら、俺たちは無防備になる」
薄い煙の層が亀裂を通り抜けてきた。
「作戦が必要だ。ダイアナ、こういうの得意だろ。何かいい案はあるか?」
「私……」
「落ち着いて!」
シルヴェインは、できる限り彼女を励ました。
「あなたが必要なの! 指示さえ出してくれれば、私たちがやるから!」
「うん、わかった! はぁぁ……」
彼女は深く息を吸った。
「こうしよう……アートが守りを解いたら、私が光の手榴弾を四方八方に放つ。シルヴェインは立ち上がって、盾を頭上に掲げる。そうすれば、上から当たらずに済む。アートは先頭で、魔法で道を切り開いて。ここから出よう」
「じゃあ、作戦は逃げることなんだ……ふうん?」
シルヴェインが言った。
「それが一番いいと思う」
アートが言った。
「何人に囲まれてるのか、わからないしな」
迫りくる戦いの緊張に包まれ、顔から汗が流れ落ちていた。一行は今、敵意に満ちた環境で、分断され、経験豊富なリーダーのいない状態で、命をかけて戦う運命にあった。全員が顔を見合わせ――計画に集中しようとしながら――先へ進むための力を集めた。




