第20話 埋もれた真実
魔法の周波数を追跡して一時間近く経った頃、一行は王国の南部の近くにたどり着いた。
朝の陽光を浴びて、街は目を覚まそうとしていた。《南区》の外れでは、金属のきしむ音としゃがれた声とともに、食べ物の屋台が組み立てられていく。焼いたパンと温かい香辛料の匂いが、錆と油と煙の匂いに混ざっていた――この地域の際立った特徴だった――捨てられた部品の倉庫と場所を分け合う、小さな商店から漂ってくる匂いだ。
痩せた男たちがすり減った石畳の上で荷車を引き、地面を覆っていた薄い霧が少しずつ晴れていくと、打ち捨てられた路地で唐突に途切れる、道の筋があらわになった。ひび割れた壁に枯れた蔦が絡まる低い建物が、狭い通りに沿って並んでいた。そこでは子どもたちが裸足で走り回り、物売りたちが売り声を張り上げ、遠くの鍛冶場の音と競い合っていた。
「この信号を追うの、思ってたより簡単ね」
ダイアナが言った。ベルトに留めた通信機に取りつけた、魔法の表示板を調整する。
「痕跡がすごくはっきりしてる。まるで誰かが、わざと魔法の脈動を増幅したみたい」
「誰がそんなことを?」
マルコスが眉をひそめて尋ねた。
「一緒にいた魔法使いは、ルシアンだけだろ?」
「ああ」
アートは疑わしげに言った。
「でも、レイモンドさんとカエラ・リーダーは頭が切れすぎる。何か怪しいと思ったなら、読み取りを強める方法を考えついたかもしれない。たぶん、そういうことだ」
「それか……」
ダイアナがアートをちらりと見た。
「罠か」
ハロルドはため息をつき、髪に手をやった。
「これまで散々な目に遭ってきたんだ。罠じゃないほうが変だろ」
「大事なのは、痕跡がまだ続いてるってことよ」
前のほうを歩いていたエララが、狭い角を曲がりながら言った。
「それに、すぐそこで終わってる」
すぐ近くにいたダイアナが付け加えた。
「信号が強くなった」
揺れ動く装置を確かめた。
《サポート》のリーダーは、黄ばんだ石造りの二つの建物の間にある路地を指さした。布切れと、錆びた金属の間に合わせの構造物で、半ば覆われている。そこは硫黄の臭いがひどく、地面はぬかるんでいた。正気の者なら、自分から入ろうなどとは思わない場所だった。
一人の老人が、歪んだ木の椅子に座り、壁にもたれていた。肩にはすり切れた毛布をかけ、そばには銅の杖が置かれている。濁った目はまぶしさのせいで半ば閉じられていたが、一行が近づくのを見ると、瞳がわずかに動いた。
アートは用心深く、周りを見回した。
「この地域に、こんなに奥まで入ったのは初めてだ。ここなのか?……」
「この地域の本当の状況を知ったらね……」
メンナが答えた。
一行は、ためらいがちにさらに数歩進んだ。ダイアナは表示板をじっと見ていたが、不意に足を止めた。
「待って……消えた」
彼女はボタンを押し、ルーンと同調用の結晶を調整した。
「痕跡が……いきなり消えた」
「なんだって?」
ハロルドが前に出て、彼女の肩越しに覗き込んだ。
「どういうことだ?」
「本当に……ぱっ! て。何もないの。発信源を切られたか、魔法で守られた空間に入ったか」
「くそっ」
アートがつぶやいた。
「じゃあ、もう行くあてがないってこと? おーい、じいさん! ちょっと助けてくれない?」
メンナが言った。
一行は顔を見合わせた。それまで身じろぎもしなかった老人が、軽く咳をした。乾いた、ほとんどわざとらしい音だった。誰も何も言わなかった。老人の目は路地の左側へとさまよい、そこで長い数秒のあいだ止まってから、ゆっくりと一行へ戻ってきた。
最初に気づいたのは、ハロルドだった。
「あのじいさん……何か見たんだ。どこを見てるか、見てみろ」
全員が振り向いた。路地の突き当たりは石の壁で、木箱が立てかけられ、破れた布が樽の一部を覆っていた。そこの壁は、違う種類の岩でできていた。暗く、偶然そこにあるにしては、なめらかすぎた。
「普通の壁じゃない」
アートが言った。
マルコスが路地の奥に触れた。石が、触れた手の下でかすかに震えた。
「魔法の幻影だ」
エララが手を上げ、青みがかった小さなマナの球を放った。球は壁まで漂っていった。表面に触れると、幻影が一瞬ほどけ、地面に直接はめ込まれた、縦置きのハッチのような黒い鉄の扉が現れた。そしてすぐに、また幻影の状態に戻った。
老人がまた咳をした。今度は、低くかすれた声で口を開いた。
「お前さんたちは、忠告を聞くような連中には見えんがな。それでも、一つだけ言っておこう。そこへ入るなら……」
顎の動きで、入口を示した。
「フードをかぶっていけ。中は、お前さんたちが思っているようなところじゃない」
一行はためらった。
「ここを誰か通らなかった?」
ダイアナが尋ねた。
老人は顔をしかめた。何か不快なことを思い出していた。
「鎧の男が一人……もう一人、年寄りが……それに女の弓使いが……連れていかれたよ。あっという間にな。戦う暇もなかった。黒いフードの男たちに囲まれてな。黒いフードが何を意味するか、知っているだろう?」
「《ヒドゥン・ギア》の上層部……」
エララがつぶやいた。
「あいつらを追うのか?」
老人は首を振った。
「自分たちが何をしているか、わかっているといいがな。このトンネルは、道なんかじゃない。深淵だ。許しを得た者しか、入ることはできん」
「入ります!」
アートがきっぱりと答えた。
老人は、毛布の内ポケットから何かを取り出した。くすんだ暗い色のフードがついた、簡素なマントが何枚かあった。頭から、ほとんど足の先までを覆えるほど長かった。
「そんなに行きたいなら、これを使え。それから、中では誰とも話すな……フードの色がわかるなら別だがな。緑、青、黒。色ごとに……違う生き方がある。そして色ごとに……新しい危険がな」
一行はフードを受け取り、黙ってまとった。それで、服も武器も隠すことができた。
「こんなにあっさり、助けてくれるのか?」
ハロルドがつぶやいた。
「それに、このじいさんがどこからともなくフードを取り出したことに、誰も突っ込まないのか?」
「誰が助けてるなんて言った? げほっ、げほっ……へへ……」
老人はしゃがれた声で答えた。
「幸運を祈るよ、子どもたち!」
また壁にもたれた。
「でも、これからどうするの? この幻影、どうやって破るの?」
ダイアナが尋ねた。
その間に、メンナが落ち着いた足取りで入口に近づき、ブローチを取り出して、幻影の壁に触れさせた。音がして、幻影は静かな湖に落ちる一滴のように砕けた。彼女は扉のハッチを回して、それを開けた。金属のきしむ音が、奥の暗闇に響いた。
「どうやって?」
アートは驚いた。
一行は呆然とした。メンナの目は、ずっと探していたものを見つけた喜びに輝いていた。一方のエララは、怒りに眉をひそめていた。
彼女はメンナに詰め寄った。半透明の輪が妹の手首の周りに現れ、光の蛇のように締めつけていった。
《ランサー》の首へ手を向けると、さらにマナの手を生み出し、少しずつ彼女の息を詰まらせていった。
「どうしたの、妹ちゃん? 何をそんなに怒ってんの?」
メンナは笑みを浮かべて言った。声を出すのにも、力が要った。
「その手にあるのは何? どうやって手に入れたの? 敵と通じてるの?」
「待って!」
ダイアナが前に飛び出した。
アート、ハロルド、マルコスも続いて駆け寄り、エララを止めようとしたが、無駄だった。彼女は自分の周りに盾を作っていた。
「放して! きっと理由があるはず」
ダイアナが叫んだ。
エララには、まるで聞こえていないかのようだった。怒りが、その行動を支配していた。彼女は叫んだ。
「セリスを私から奪っただけじゃ足りないの? 全部奪うまで、気が済まないってわけ……」
《サポート》のリーダーは、妹の目を見て言葉を止めた。その目から、涙がいくつかこぼれていた。
彼女はようやく、若い《ランサー》を放した。メンナは首に手を当てて、咳き込んだ。
「誰かを傷つけたいなんて、一度も思ったことない」
メンナが口を開いた。
「毎日飲んでるのは、あんたたちに持ち込んだ不運を忘れるため……あのかごの中にいた私を、見つけたあの日から」
初めて、エララの姿勢が崩れた。一行は黙って見ていた。
「ここで何が起きてるのかはわからない。でも、二人とも落ち着いて、任務に集中してくれ」
アートが言った。
彼は《ランサー》に近づき、しゃがみ込んだ。
「メンナ……そのブローチ、どこで手に入れたんだ?」
彼女は涙を拭い、また姿勢を正した。顔にかかった長い白髪の房を、払いのけた。
「子どもの頃に、大切な人がくれたの。今までで、私のことを気にかけてくれた、たった一人の人」
横目でエララを見て、若い《ストライカー》にその品を手渡した。
「いつも持ち歩いてるんだ……こんなことのためのものだなんて、知らなかった。熱くなり始めて、近づいたら、壁が反応したの」
「じゃあ……それだけか? その人がブローチを渡して、消えたってのか? うああっ! 全然わけがわからない!」
アートは頭に手をやった。疲れきっていて考えられなかったが、《ランサー》が真実を隠していることはわかっていた。彼は自分の直感を信じて、先へ進むことにした。
立ち直ったエララが、いつもの調子で前に出た。
「気を散らしている場合じゃないわ。取り乱してごめんなさい。任務に集中しましょう!」
「気にしないで、みんな! これが初めてってわけじゃないし。最後でもないしね」
メンナが挑発した。
《サポート》のリーダーは歯を食いしばった。
「先へ進もう! でも、まだ答えは聞かせてもらうからな」
アートが言った。
彼らは進んだ。士気は、ますます崩れていった。誰を信じればいいのかもわからないまま、歩いていた。それでも、優先すべきことは変わらなかった。シルヴェインを救うこと。そのためには、隊長たちを見つけ、ついにフードのリーダーを倒して、解毒剤を手に入れなければならなかった。
「何か隠してるのはわかってる。お前のことは知ってるからな! この地下がずっとあるって知ってて、何も言わなかったのか?」
ハロルドがささやいた。その声には、失望がはっきりと表れていた。彼女以外の誰にも聞こえないようにしていた。
「証明できなかったの。でも今は……中に入って、何があるのか突き止めて、シルヴェインの命を救おう」
「えっと……みんな? あのじいさん、どこ行った?」
マルコスが割り込んだ。
全員が顔を見合わせた。老人は、もう椅子にいなかった。残されていたのは、暗闇へと開いた扉だけだった。
高鳴る鼓動と、一歩ごとに増していく緊張を抱えて、アートが先頭に立った。金属のきしむ音が、石の壁に響いた。螺旋階段が、暗闇へと下っていた。ダイアナは仲間たちを見た。
「あいつらを見つけて、終わりにしよう」
一人、また一人と、彼らは地下へ降りていった。
暗闇が彼らを包み、空気が変わった。ただ冷たくなっただけではない――息をするのが、もっと苦しくなった。一段降りるごとに、ありふれた日常から遠ざかり、何もかもが見知らぬ世界へと導かれていく。石の壁は湿気に脈打ち、錆の金属臭が、古いカビの匂いと混ざり合っていた。
螺旋階段の段は、足の下できしんだ。踏むたびに、地下そのものが縮こまるような感覚がした。最初に地面に降り立ったのは、アートだった。一歩ごとに、ほとんど気づかないほどわずかに、マナが吸い取られていった。その後ろで、メンナが背中の槍――二つに分かれる槍だ――を整え、前方の虚空を見つめた。
「じゃあ、これが私の探してたものってわけね……」
彼女はつぶやいた。
エララは黙って目を逸らした。さっきの衝突の名残が、まだ顔に重くのしかかっていた。
彼らは余計な物音を立てないようにトンネルを進んだ。足音は、湿気にくぐもっていた。
「今の、感じた?」
エララが、アートとハロルドを見据えて尋ねた。
二人とも頷いた。
「何を?」
ダイアナが聞き返した。
「俺たちのマナが、この場所に反応してる。吸い取られてるような不快感だ。妙なのは、それでも減ってる感じがしないことなんだ」
ハロルドが答えた。
「なんで誰も魔法を使ったり、松明を灯したりしないんだ?」
マルコスがささやいた。完全な暗闇の中で、必死に一行についていこうとしていた。
「静かにしろ、デカブツ! 何も灯ってないなら、そのままにしといたほうがいい。ただ、気は抜くなよ」
茶色の瞳の《サポート》が、ほとんど声を出さずにたしなめた。
ときおり、フードの人影が彼らのそばを通り過ぎた。誰も口をきかず、誰も目を向けなかった。地面に刻まれた古いルーンの名残だけが、かろうじて道を照らしていた。
絶えず聞こえるのは、湿った地面を打つブーツの音と、壁を伝う水の滴る音と、見えない機械の遠い反響だけだった。
そのとき、壁際に横たわっていた一人の男――眠ったふりをしていた――が、わずかに目を動かし、親指で何かを押した。乾いた音。天井で、青い光の点が点滅した。
「あいつ、俺たちのことを知らせたぞ」
ハロルドがささやいた。
エララは前を見たままだった。
「歩き続けて。気づいてないふりをするのが、一番いいわ」
彼らは進んだ。分かれ道を曲がり、また別の分かれ道を曲がった。どこへ向かっているのかさえ、わからなかった。この時点で一行を導いていたのは、アートの直感だった。ダイアナは彼の隣にいた。弓と矢筒が、背中のマントを膨らませていた。
「アート! 本当に、正しい場所に向かってるの?」
彼女が尋ねた。
「ああ! まっすぐ、奴らの罠に向かってる」
「えっ!? どういうこと?」
一行は足を止めた。
「自分が何をしてるかわかってると思ってたわ、兵士。あなたを信用するんじゃなかった」
エララが前に立ちはだかった。
「何考えてんだよ、アート?」
ハロルドも加わった。
「しーっ! 自分が何をしてるかは、わかってる……」
アートは一行に近づいた。
「本気で、奴らが何の障害もなしに、隠れ家に入れてくれると思うか? 入口を見張る奴がいないとでも? 奴らは俺たちのことを知ってる。唯一のチャンスは、気づいてないふりをして、奴らが残した痕跡をたどることだ。それとも、この古いルーンが偶然だとでも思うのか?」
若い魔法使いの言葉を聞いて、皆は黙り込み、頷いた。
進むにつれて、トンネルは開けていった。床はむき出しの石から腐食した金属に変わり、空気がまた変わった。暖かくなった。かすかな振動が、地中で脈打つ心臓のように、足元を伝っていった。壁のひび割れや金属の筋の間から、橙色の光が漏れ始めた。ただの通路だと思っていたものが、一気に開けた。
彼らは立ち止まった。眼下で、一つの街がまるごと息づいていた。
色とりどりの光がさまざまな高さで揺らめき、蒸気の管が青みがかった煙を吐き出し、天井には電線が交差し、人の群れがあらゆる方向へ動いていた。子どもたちが鉄の橋の間を駆け回り、物売りたちが、技術と魔法を組み合わせた部品であふれる屋台から声を張り上げ、遠くの鍛冶場で誰かが槌を振るうたびに、金色の火花が宙に舞っていた。人の声と、機関と、打ち合う鉄の音が、混沌とした交響曲のように混ざり合っていた。
メンナがアートの隣で足を止めた。その視線は、地下の地平線に吸い込まれていた。
「これが……ずっと、存在しないって言われてきたもの」
ハロルドはフードを直し、立ちのぼる蒸気の柱を見つめた。
「気圧、柱の長さ、岩の密度、それに歩いてきた時間を考えると……地表から一キロ近く下にいる。ここは……別世界だ」
「どうして、こんなものがずっと、この下に存在してたの!?」
ダイアナが、感嘆しながら付け加えた。
「それを突き止めるのよ」
エララは、警戒しながら周りを見回していた。
彼らは、いた通路につながる歩道橋の一つを渡り、やがて人混みに紛れ込んだ。空気は暑く、油っぽい煙が染みついていた。腕に光る刺青を入れ、義眼をはめ、金属で継ぎをあてた服を着た男女が、誰にも目もくれずに急ぎ足で通り過ぎていく。フードの者たちが圧縮マナの包みを取引し、頭上では錆びたドローンが、きしむ音と点滅する光を放ちながら漂っていた。それに気づいたダイアナは、目を奪われた。
「あの飛んでるの、何? 金属の鳥みたい。どうして、あんなものがここに?」
メンナもまた、何もかもを夢中で見つめていた。
「この場所が本当にあるなら、墓場みたいなところだろうって、ずっと思ってた」
彼女は、橋のすり減った手すりに触れた。
「上よりも、ずっと生きてる」
狭い路地を抜けて、即席の市場にたどり着いた。色とりどりの帆布、ぐらつく露店、焦げた油と異国の香辛料の匂いが、空気を満たしていた。そこで彼らは、ぼさぼさの白髪をした老婆を見かけた。色の違う両目をしていた。片方はくすんだ緑、もう片方は鮮やかな紫だった。
老婆は、ひびの入った結晶や腐食した品々でいっぱいの箱をいじっていた。ダイアナが、興味を引かれて近づいた。
「これ……知ってる!」
カウンターの上の品の一つを指さした。
「触媒融合核よ。父さんが扱ってた……でも、設計図は全部破棄された」
老婆が顔を上げ、微笑んだ。
「設計図ってのは、いつだって生き延びるもんさ、お嬢ちゃん。持ち主が変わるだけでね」
しゃがれた声で、彼女は言った。
エララが前に出た。
「こんなことをしてる時間はないわ」
老婆は、ダイアナの手首をしっかりとつかんだ。
「この日が来るのはわかってたよ。ただ、こんなに早いとは思わなかった」
彼女は一人一人を見た。骨まで射抜くような眼差しだった。
「答えが欲しけりゃ、《砕けた道》を行きな。落ちた橋のところだ」
老婆はダイアナを放し、何事もなかったかのように、また品物をいじり始めた。
一行は黙り込んだ。マルコスが首の後ろを掻いた。
「気のせいか? あのばあさん、謎かけでしかしゃべれないのか?」
「何にせよ、唯一の手がかりだ」
アートが答えた。
彼らは歩き続け、揺らめく光と蒸気の人波の中へ、少しずつ消えていった。その頭上、通路の影から、鋭い目が彼らを見張っていた。




