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第1話 ドームの音

朝の薄明かりの中、オーロラ王国の空が明るみ始めていた。そして今日は、いつもとは違う日だった。空気は湿って静まり返り、風の音も、人の声も、動物の気配もなかった。


 普段から穏やかなこの王国にしても、異様だった。かつては当たり前だった遠くの街のざわめきも、生き物たちの気配も消えている。残されていたのは、誰も口にしようとしない不吉な予感を孕んだ、重苦しい静寂だけだった。


 障壁の向こう側は、いつだってこうだ。音は決してこちら側へ届かない。あるのは、ただの虚無……そして、いつの日か、外に存在する何かが中へ入り込んでくるのではないかという、絶え間ない恐怖。


 《ドーム》は、王国全土を覆う半透明の障壁――力場だった。およそ八百平方キロメートルもの領域を包み込み、その表面には淡い金色の光が揺らめいている。


 外の鳥たちはその構造物の周囲を旋回し、ドームの表面には空と周囲に広がるさまざまな地形が映し出されていた。西に接する海から、北にそびえる巨大な山々まで。近づくことのできない、魅惑的な光景だった。


(……)


 短い黒髪の十七歳の少年、アート・ハマーは、耳を突き刺すような襲撃警報の音で目を覚ました。甲高い警報音が耳の奥まで響き、絶え間なく繰り返されるその音が彼を苛立たせた。


「うああっ! この忌々しい音!」

 アートはそう言いながら、大きく伸びをした。


 しばらくベッドに腰掛けたあと、天井を飾る《アンセストラル・ルーン》を見つめた。それは王国内で豊富に採れる石で、蛍光性を持つことから装飾品として広く使われている。ルーンの光が、アートの青い瞳と重なった。しばらく考えに耽っていた彼は、やがて強く瞬きをすると立ち上がった。


 重い足取りで窓へ向かう。


「そうだった。逃げられるわけないか……」

 アートは窓の鍵を外し、開けた。


 光と風が一気に部屋へ流れ込み、ようやく完全に目が覚めた。アートは窓枠に両腕を乗せ、王国の東側にあるドームの端を見つめた。自宅からわずか三百メートル。主要道路の両脇には巨大な木々が並んでいる。その道は、《ルミニス材》《白曜石》《黒アダマンタイト》――王国で最も希少な素材を運搬するために使われていた。


 ここは《貴族区》の中でも警備の厳しい地域で、王国で最も影響力を持つ一族たちが暮らしていた。さらにこの一帯には《軍事区》も広がっており、王国最大の軍事拠点――《オーロラ軍》の本部が置かれていた。


 道の先はドームの境界へと続き、そこには二十基ある《監視塔》の一つが立っていた。監視塔の役割は、障壁を攻撃する高グレードの脅威を検知し、警報を作動させること。二十基の塔はそれぞれ約五キロメートル間隔で配置され、およそ百キロメートルに及ぶ王国の外周を監視している。


 それらすべてを考えれば、この場所からの眺めは特権とみなされていた。だが貴族たちにとって、理解不能なその力場は、自分たちの無力さ――未知なるものと比べて、自分たちがどれほど弱い存在なのかを思い知らされるものでもあった。


 窓から目を凝らすと、ドームの近くに集まっている影が見えた。誰もが日々の問題に追われながら、できるだけ意識しないようにしている脅威だった。


 ――今日一日ここにいて、また無駄に終わる襲撃を眺めていたら、まずいかな。


 アートにとって、未知なるものが存在しているという事実を忘れないことこそが、前へ進む原動力だった。


 数秒後、アートは目を閉じ、俯いた。深く息を吸い、制服に着替える。


「ん……? このブーツ、こんなにきつかったっけ」

 どうにか足を押し込もうと苦戦する。

「よし! 今日はこれでいいか……帰りに新しいのを買おう」

 部屋を出て廊下へ足を踏み入れると、散らかったリビングが目に入った。

「これ、ダイアナに見られたら……! ああ、でも今はそんな時間ないし」

 キッチンからリンゴをいくつか掴み、そのまま家を出た。


 急いで扉を開けると、目の前に彼女がいた。片腕を上げ、今まさに扉をノックしようとしているところだった。


挿絵(By みてみん)


「うわっ!」


 勢いよく外へ出ようとしていたアートは、慌てて出てきた自分のせいで、ひどく驚いて声を上げた。驚きと恥ずかしさの入り混じった友人の表情を前に、彼も平静を取り戻すまで少し時間がかかった。それでも二人は、互いの顔を見つめたままだった。


「わ、私は……今ちょうど……」

 沈黙を破ろうと、ダイアナが口を開いた。

「わかってる。ほら、リンゴ!」

 ダイアナは果物を見つめたまま、黙っていた。

「何?」

「アートが私に食べ物くれるなんて。珍しい」

「まあ……」

 アートはためらいながら視線を逸らし、さりげなく背後の扉を閉めた。

「なんでそんな変な態度なの? 何か隠してるでしょ? ははっ」

 ダイアナは家の中を覗き込もうとする。

「何も隠してないって! ほら、行くぞ!」

 アートは扉を閉めた。頭の中には、まだ散らかったリビングのことが残っていた。


 二人はそのまま仕事へ向かった。


 道の両側には、広大な花園に囲まれた邸宅が立ち並んでいた。希少な素材を惜しげもなく使って建てられた巨大な屋敷ばかりだ。太い梁には、強靭な木から採れる《ルミニス材》と、物理攻撃と魔法攻撃の双方を吸収できる金属、《黒アダマンタイト》が組み合わされていた。ルミニス材の採れる木には、高価で美味な果実も実る。仕上げの大部分には《白曜石》が使われ、さまざまな色に染めることで、それぞれ独自の意匠が生み出されていた。


 ここは《貴族区》の中心部であり、《オーロラ軍》本部へ続く道の一つだった。


「今日も意味のない仕事をする準備はできてる?」

 いつもの調子に戻ったダイアナが尋ねた。

「もちろん! 楽しみすぎて抑えきれないよ」

 アートは目をぐるりと回し、わざと皮肉っぽい表情を作った。

「はははっ!」

 太い三つ編みにまとめられたダイアナの薄紫色の髪が、陽光の下で揺れる。

「ほんと下手だよね」

「何が?」

 アートが横目で彼女を見る。

「あーっ! もういい!」

 ダイアナはそう言って流すと、ゆっくりと息を吐いた。

「でもさ……あんな化け物たちと戦うことを考えたら、私たちの意味のない仕事も、そんなに悪くないのかもね」

 地平線の向こうでは、ドームに映る空が彼女の金色の瞳の中で揺らめいていた。

「もし、そんなことになったら……」


 アートはためらった。大切な人たちが危険に晒されることへの恐怖を抱きながらも、彼はドームの向こうにある真実を知りたいと思っていた。


「とにかく……行こう! もうとっくに遅刻だ」

「了解、隊長殿!」

 ダイアナは冗談に合わせ、背中の弓を手に取った。

「ほんと、どうしようもないな」

「今、笑った? もっと笑ったほうがいいよ」


 数分後、二人は到着した。


 目の前には、ガラスのように輝き、銀色の光を反射する二基の巨大な監視塔がそびえていた。鉄と《白曜石》を組み合わせて造られた塔は、石と同等の強度を持ちながら、それよりも軽い。それぞれの塔の頂上からは、オーロラの紋章を描いた旗が垂れていた。炎に包まれ、翼を大きく広げた白い不死鳥。その周囲を、炎の輪が取り囲んでいる。


「隊長に遅刻がバレなきゃいいけど」

 アートが言った。

「紛れ込めば大丈夫!」

 ダイアナは自信満々だった。

「師匠ぉぉぉ!」

 遠くから声が響いた。

「ん?」

 二人は振り返った。


 声を上げた少女が、こちらへ走ってきていた。桜の花びらのように鮮やかな桃色の髪が目を引く。走りながら、盾を背中のホルダーになんとか固定しようとしていた。髪とほとんど同じ色の瞳からは、二人を見つけた喜びが伝わってくる。白い鎧には、輝く金色の装飾が施されていた。時間を気にしているのか、明らかに焦っている。


「アスカ! あなたも遅刻?」

 ダイアナが尋ねた。

「違います! ……いや、その……たぶん」

 アスカは地面へ視線を落とした。

「当ててあげようか。私を待ってたんでしょ? 今回はどれくらい?」

 ダイアナは腕を組んだ。もう友人のこの行動には慣れている。

「あっ、全然です! 私も今来たところで、はは……」

「はいはい! 行くよ! あと『師匠』って呼ぶのやめて」


 基地の入口へ到着した。そこは巨大な壁に囲まれた複合施設で、その壁には金色の《アンセストラル・ルーン》が施され、夜になると淡い光を放つ。そこで三人は、困り果てた様子の友人を見つけた。


 ハロルド・グリフィン。短い黒髪に、綺麗に整えられた髭。茶色の瞳は、周囲のあらゆるものを注意深く観察していた。彼は《サポート》特有の濃紺のチュニックを身につけ、銀色の装飾が施されている。手にした杖には、小さな青い《アンセストラル・ルーン》がはめ込まれていた。


「よかった、やっと来た! 五分後に隊長と各部隊のリーダーが会議を開くんだ」

 ハロルドは心配そうに言った。

「あっ! またそんな危ないことしたのか!」

 杖の先をアスカへ向ける。

「一応言っておくと、私はこの二人と一緒に来ましたから」

 アスカが身を乗り出して答えた。

「本気で言ってる? この子、一時間も監視塔の入口にいたんだぞ」


 若い《サポート》がそう言うと、小柄な《シールダー》はそっとダイアナの後ろへ隠れた。


「しかも、どういうわけか全員遅刻してるし……」

 ハロルドは目を細め、舌を出すアスカを見た。

「アスカ……」

 ダイアナがため息をつく。


 アートが一歩前へ出た。


「今はそんなことどうでもいい。大広間へ行こう」


 大広間へ近づくと、そこは兵士たちで埋め尽くされていた。全員が鎧を身につけ、武器を携え、整然と列を作って命令を待っている。荒削りの石柱が広間を支えており、全戦闘員を収容しても余裕があるほどの広さだった。中央には、すべて金色で描かれたオーロラの紋章があり、《ルーン》がその意匠を際立たせていた。炎に包まれた不死鳥と、その周囲を取り囲む炎の輪。


 広間の前方、一段高くなった壇上には、隊長と各部隊のリーダーたちが立っていた。隊長が声を張り上げる。


「……今日は特別な日だ。諸君に集まってもらったのは、我々が自由へ向けて次の一歩を踏み出すためだ。そして今話しているのは、外の脅威についてではない」


 《オーロラ軍》の隊長、エドガーは、威圧感のある中年の男だった。豊かな髭と短い灰色の髪は、常に綺麗に整えられている。深い青色の瞳は、周囲で起こるすべてを注意深く捉えていた。身につけている銀色の鎧は、光を反射するほど磨き上げられている。その上から長いコートを羽織り、胸元には王国の紋章が刻まれたブローチを留めていた。


「何だって? でも警報は王国中で鳴ってたぞ」

 兵士の一人が疑問を口にした。

「そうだ。それならグレード3の脅威ってことだろ」

 別の兵士が続けた。

「それか、それ以上かもしれない!」

「何言ってるんだ? グレード4なら、コマンダー級の脅威だぞ」

「静粛に! 隊長に敬意を払え!」

 《ストライカー部隊》のリーダー、ルシアンが怒鳴った。


 彼は厳格な男で、堂々とした立ち姿をしていた。黒い髪に、揺らめく炎を思わせる金色の瞳。金色の《ルーン》が施された黒いチュニックを身につけ、長い外套は彼の魔力に反応するように揺れていた。


「ありがとう!」

 エドガーはそう言うと、荒々しく咳払いした。

「《ヒドゥン・ギア》に関する重要な情報を入手した。我々は複数の部隊に分かれ、候補となる拠点を同時に叩く。今日、あの盗賊どもには壊滅的な打撃を与える」

 エドガーはルシアンへ目を向け、頷いた。

「今回の任務には、我々の中でも優秀な兵士を選抜する。五つのチームに分け、それぞれ戦略上重要な地点を襲撃する。編成は役割ごとに統一した。《ウォリアー》三名――《シールダー》一名、《アーチャー》一名、《ソードマン》または《ランサー》一名。そして魔法使い二名――《ストライカー》一名と《サポート》一名だ」

「一チーム五人? だったら私たちが選ばれてないわけないですよね」

 アスカが小声で言った。

「ずいぶん自信あるじゃん!?」

 ダイアナが返した。

「しーっ! 最後まで聞けって」

 ハロルドが二人を制した。

「選抜された者の名前は、広間の外にある掲示板に張り出してある。十分以内に各自のリーダーのもとへ集合せよ。それ以外の者は、ドームの《監視塔》へ配置する。以上だ。解散!」


 話が終わると同時に、全員が自分の名前を確認しようと掲示板へ殺到し、その前には人だかりができた。


「よし! 選ばれた! しかも俺のリーダー、隊長だ!」

 一人の兵士が叫んだ。

「私のリーダーはエララだよ」

 別の兵士が答えた。

「いいな! 俺もエララのチームに入りたかった。王国一の美女だぞ」

「この変態!」

 アートは人混みの中を進んでいった。

「くそっ! ここからじゃ何も見えない!」

「おーい! こっちだ!」


 聞き覚えのある声がした。声の主は、茶色の髪と緑色の瞳を持つ筋肉質な男だった。重厚な鎧を身につけているにもかかわらず、まるで何も着ていないかのように軽々と動いていた。背中には、大剣が頑丈なハーネスで固定されている。


「マーク! チームに選ばれた?」

「ああ……たぶん隊長のチームだ」

 男は頭を掻きながら答えた。

「こんなところにいたのか、このデカブツ! 今までどこにいたんだよ?」

 苛立った様子でハロルドが近づいてきた。

「大広間だよ。メンナと一緒にお前たちを探してたんだけど、気づいたらあいつまで見失ってさ。てっきりお前たちを見つけたのかと思ってた……」

 マルコスはからかうような笑みを浮かべ、肘で友人を小突いた。

「うぐっ!」

 ハロルドは顔を手で覆った。


「で、お前たちは? どのチームだった?」

 アートとダイアナを見る。

「見つからない。もしかして……」

「見つけた!」

 ダイアナが遮った。

「私とアートはリーダー・カエラのチーム」


「私のも見てみます」

 不安そうにアスカが掲示板へ近づいた。

「いやぁぁぁ!」

「どうした? 選ばれなかった?」

「師匠と同じチームじゃない!」

 アスカは悲しそうに掲示板を見つめた。

「はぁ……まあ、そういうこともあるよ」


「俺だけ隊長のチームになったみたいだな……」

 マルコスが言った。

「何言ってるんだ? お前は俺と同じリーダー・ルシアンのチームだぞ」

 ハロルドが答えた。

「でも掲示板には……」

「お前、字も読めないのか、このデカブツ? そこに書いてあるのはマルコスじゃなくてマルトンだ。それにアスカもそこに載ってる――」

 ハロルドが苛立つ中、アート、ダイアナ、アスカは大笑いしていた。


「じゃあ決まりだな。俺とダイアナはリーダー・カエラ。マークとハロルドはリーダー・ルシアン。そしてアスカは隊長のチーム」

「選ばれてよかった。この任務は昇格のチャンスになるかもしれない」

 ハロルドが言った。

「急ごう。もう時間がない」


 再び広間へ入ると、兵士たちは列を作り、リーダーたちが現れるのを待った。ほどなくして、彼らが姿を現した。


「各リーダーの前に整列!」

 エドガーが命じた。

「チーム・ルシアン。マルコス・フィニアン、《ソードマン》。ヴィクトル・アイゼン、《シールダー》。シグムンド・ノワレル、《アーチャー》。イングリッド・ゾリック、《ストライカー》。ハロルド・グリフィン、《サポート》」


「かなり強いチームだな」

 アートが呟いた。

「メンバーだけでも十分なのに」

 ダイアナが続けた。

「リーダーはルシアンだよ。父親を超える素質があるって噂してる人もいるみたい」

「その二人が戦うところ、見てみたいです。でも私はギデオンを応援しますけど」

 アスカはそう言って、アートへ笑顔を向けた。

「声が大きいって、アスカ!」

 ダイアナが小声で叱った。

「ごめんなさい! たぶん誰にも聞かれてないです」

「……チーム・エララ。アリク・マツノ、《ランサー》。ロナン・スカルヌルフ、《シールダー》。リサンドラ・モンクレール、《アーチャー》。トマス・フォン・ファルケン、《ストライカー》。エロウェン・マクレー、《サポート》。チーム・エドガー。マルトン・ヴァルトレン、《ソードマン》。アスカ・イワガキ、《シールダー》……」

「私の番です。頑張ってください、師匠!」

 アスカは自分の列へ向かって歩き出した。

「あいつ、自分が天才扱いされてるってわかってるのかな?」

 アートが尋ねた。

「もちろん知ってるよ。ただ、私を倒すことに、ほんのちょっと夢中になりすぎてるだけ」

 ダイアナが答えた。

「ほんのちょっと?」

「はははっ!」


「……ヴァレン・ハフト、《アーチャー》。ロン・コンラッド、《ストライカー》。テンシ・ハインリヒ、《サポート》。チーム・ピーター。メンナ・ムーンシャドウ、《ランサー》。ユキ・ハルオ、《シールダー》。アダム・ミラー、《アーチャー》。ダコタ・モリ、《ストライカー》。マーガレット・ジェンセン、《サポート》」

「次は私たちだ!」

 ダイアナは興奮した様子を見せた。

「……チーム・カエラ。オリバー・エヴァーハート、《ソードマン》……」


 オリバーは、ルビー色の瞳と傲慢な雰囲気を持つ若い《ウォリアー》だった。肩まで伸びた金髪が、その貴族らしい容姿をさらに際立たせている。黒と暗赤色を基調とした威圧感のある鎧には、純金の装飾によって彼の血統を示す王家の紋章が刻まれていた。黒革のベルトには、王家に伝わる遺物である剣が優雅に下げられており、彼の傲慢さと権力者としての立場、その両方を映し出していた。


「最高だな。今度はこの役立たずまで背負わなきゃならないのか……」

 オリバーは歪んだ笑みを浮かべてアートを挑発すると、自分の列へ向かった。

「えっ? あいつ、ずっとここにいたの?」

 ダイアナが言った。

「この任務、もう最悪になる予感しかしない」

 アートが付け加えた。

「……シルヴェイン・ダスクベイン、《シールダー》。ダイアナ・プラウス、《アーチャー》。アート・ハマー、《ストライカー》。ケンノ・フォン・ファルケン、《サポート》」


「全員の編成が決まったところで、任務について説明する」

「今回の選抜は、経験と将来性の両方を考慮して行った。任務に成功すれば、諸君は昇格する」

 広間に会話とざわめきが広がった。


「静粛に! 今回の任務は危険を伴う。そして諸君の半数が《リクルート》、残る半数が《センチネル》であることを考慮し、全員を《ヴァンガード》へ昇格させる。したがって、覚えておけ。任務中、各リーダーは諸君の行動を評価し、その働きに応じて点数をつける。それを踏まえたうえで、諸君には《ヒドゥン・ギア》の拠点である可能性がある五つの地点へ向かってもらう。奴らがそこにいるのなら、重武装しているはずだ。忘れるな。奴らは技術の扱いに長けており、最高峰の《発明家》と《戦闘技工士》を擁している。これより先は、各リーダーの命令に従え。オーロラのために!」

「オーロラのために!」

 全員が声を揃えて叫んだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

イラスト:Einzo 様


楽しんでいただけたら嬉しいです。

それでは、また次のエピソードでお会いしましょう!

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