第18話 収束
太陽はまだ昇りきっておらず、最初の灰色の色合いが《オーロラ軍》の基地の空を染めていた。静寂が辺りを支配していた――安らぎの静寂ではなく、不確かさの静寂が。それは、答えが……そして喪失が訪れる前の静けさだった。
アートは《星辰の中庭》の石段に座っていた。医務室の隣にある場所だ。中央には青い大理石でできた不死鳥の噴水があり、細く澄んだ水の筋を注ぎ、下の水鏡へと静かに落としていた。白と淡い青の花の庭が辺りを満たしていた。病院という場所がそれ自体で背負う重さを和らげるために、造られた空間だった。
若い魔法使いは膝に肘をつき、顔の前で両手を組んでいた。
ダイアナは黙ったまま彼の隣にいた。その視線は、花々の間のどこかをさまよっていた。
ハロルドは杖に両手を預けて、しゃがみ込んでいた。
マルコスは立ったまま、空を見上げていた。
ルシアンは廊下の入口で待っていた。好奇心に駆られた兵士が入ってこないように。
皆、エドガーを待っていた。
エララとレイモンド、そして《オーロラ軍》の医師たちが何人か、シルヴェインの体を調べていた。治癒を阻んだ傷の中の魔法の毒を、解き明かすために。
「もっと何かできたはずなんだ」
アートがつぶやき、沈黙を破った。
ダイアナは顔を向け、彼を見つめた。その金色の瞳は、数時間前に泣いたせいで赤くなっていた。二人は数秒のあいだ見つめ合った。彼女は彼を慰めようとしたが、その声も揺らいでいた。
「私たちにできることはやった。あの人も、それはわかってる」
「でも、それじゃ足りなかった」
ハロルドは――まだうなだれたまま――ただ首を横に振った。
彼らの背後で、医務室の扉がゆっくりと軋む音が、それを遮った。エドガーが廊下に姿を現し、一行が集まっている噴水のほうへ、慎重な足取りで歩いてきた。エララとレイモンドが付き添っていた。
彼は二人の若者の前で立ち止まった。隊長の存在に気づき、マルコスとハロルドも近づいてきた。
「演説はいらない。可能性はあるって、それだけ言ってくれ。奴らを追うって。報いを受けさせるって」
エドガーは数秒のあいだ黙っていた。それから、ゆっくりと頷いた。
「その前に、我々が持っている情報をすべて明らかにしておこう」
レイモンドは、話す前に眼鏡を直した。
「生きているのは奇跡だ。傷は深い……非常に深い。彼女は持ちこたえているが、毒は不安定だ。何も手を打たなければ……」
一同は、経験豊かな科学者の言葉に耳を傾けていた。
「幸いなことに、ここには強力な《サポート》がいる。エララ・リーダーに、傷の全体にわたって『マナの残滓』を留めておく処置を指示した。繊細な処置だが……彼女は正確にやり遂げてくれた」
「それで、どれくらい時間が稼げる?」
「三日だ。それ以上はない。そのあとは……解毒剤が見つかるかどうかにかかっている。そして、彼女に戦い続けるだけの力があるかどうかに」
ダイアナは目を逸らした。いつもより一秒長く間を置いてから、尋ねた。
「じゃあ、これからどうするの? 次は何をすればいい?」
「使われた毒の種類を突き止めることだ。それがわからなければ、治療のしようがない。三日……それが、我々に残された時間のすべてだ」
「あのフードの男が、解毒剤を持ってるのは間違いない」
ハロルドが言った。
「あいつが、それも持たずに出歩くような危ない真似をするはずがない」
「いずれにせよ、我々の任務は一つだ。あの外道を見つけ出す!」
エドガーが締めくくった。
一同は頷いた。そしてレイモンドが――眼鏡を直しながら――ふいに顔を上げた。その表情が変わった。彼はつぶやいた。
「魔法を無効化する短剣……あの男は、秘術と技術の両方に深い知識を持っている。隊長から聞いた話が正しければ、あれは過去の亡霊だ」
「あの男を知ってるのか?」
「赤い目、顔の傷、歪んだ耳……」
レイモンドは顎に手を当てた。
エドガーは眉をひそめた。
「《刃の大災厄》以来、姿を見ていない者だ」
ダイアナは身動きしなかった。あの事故の記憶が、今も彼女を苦しめていたからだ。
「この話がどれほどつらいか、わかっている。お前は……まだあんなに小さかった……」
「その人の名前は?」
彼女は尋ねた。その声の調子が、いっそう真剣になった。
レイモンドは一瞬ためらった。そして、忘れられた名を呼び覚ますかのように、低い声で言った。
「エゼキエル」
ルシアンとエララは顔を見合わせた。その名が明かされたあと、沈黙が続いた。
「何年も前、技術と魔法が急速に発展し始めていた頃、王国の指導者たちは、科学と戦闘を完全に融合させられると信じていた。そうして生まれたのが、《魔導技術》と呼ばれるものだ。熱狂の時代だった……あまりにも速すぎる進歩の。その中で生まれたのが、《イプシロンの剣》だった。究極の武器として考案されたものだ。安定していて、精密。《ドーム》に干渉し、それを通り抜けることも……破壊することさえできると信じられていた。覇権の象徴……そして、傲慢の象徴だった」
彼は目を閉じた。
「その武器を披露する者に選ばれたのは、王の弟、ダリウスだった。名誉を重んじる、強く、尊敬された男だ。式典は盛大に執り行われることになった。貴族の家々、ギルドの長たち、評議会の面々……皆がその場にいた。フォン・ファルケン家も、イワガキ家も、ムーンシャドウ家も……そして、その夜、二度と家に帰らなかった多くの人々も」
「お母さん……」
ダイアナがささやいた。
レイモンドは悲しげに頷いた。
「そうだ。サラもそこにいた。他にも大勢が。私自身……あの計画の責任者の一人だった。だが、刃の安定化核に欠陥があることに気づいて、試験を延期しようとした。エゼキエルに、まだ早すぎると言ったんだ。もっと研究が必要だと」
しばしの間があった。誰もが、厳粛な面持ちで耳を傾けていた。
「だが、彼は聞き入れなかった。私たちは正反対だった。慎重な科学者と、向こう見ずな科学者。彼は、私が慎重すぎると思っていた。準備はできている、と。虚栄心が、かつての友の目をくらませたのだ。《オーロラ軍》の《ランサー》としての人生を捨てて、科学に身を捧げるよう私を説き伏せた、あの男の目を……だが、ダリウスが剣を握ったその瞬間……すべてが崩れた」
レイモンドは白髪まじりの髪に手をやった。明らかに動揺していた。
「刃に凝縮されたエネルギーが均衡を失い……崩壊した。ただの爆発ではなかった。まるで剣の周りの空間そのものが、粉々に砕かれたかのようだった。魔力の圧力が内側へ崩れ落ち、その反動の波が闘技場を壊滅させた。石一つ、元のまま残らなかった。ダリウスは即死だった。観客席は崩れ落ちた。子どもも、兵士も、市民も……荒々しい光に呑み込まれた。存在してはならない力に」
ダイアナはうつむいた。三つ編みからほつれた髪の房が、顔にかかった。
「熱を覚えてる……音も。そのあとは、何も」
「王国は喪に服した。評議会は、高度な軍事技術の使用をすべて禁じた。残ったのは灰と後悔だけだった。《魔導技術》の時代は、瞬く間に終わりを告げた。エゼキエルは、その日のうちに姿を消した。逮捕令が執行される前にいなくなったのだ。誰かが逃亡を手助けしたと言われているが……それが誰なのかは、誰にもわからなかった。それきり、二度と彼の姿を見ることはなかった」
アートは眉をひそめた。
「じゃあ、あの紫のフードの男が……そいつだと思ってるのか?」
「目の色、傷跡。あいつがいくつかの実験の最中に怪我をして、あの傷を負った日のことを、今でも覚えている。あいつに違いない。娘の名付けを手伝ったのも、あいつだ。知識、魔法と工学を組み合わせたやり方……あの手枷、あの短剣。すべて《魔導技術》だ。それで、《ヒドゥン・ギア》が使っている技術にも説明がつく。私はただ、明らかなことから目を背けていただけなのかもしれない。あいつは天才だった……だが、愚か者でもあった。もし本当にエゼキエルなら、我々が相手にしているのは、ただの犯罪者ではない……」
しばしの間があった。レイモンドは深くため息をついた。
「新たな大災厄を引き起こしかねない、設計者だ」
エドガーは目を見開き、歯を食いしばった。
「だから、あの頃から地下の犯罪者どもがこれほど勢力を伸ばしてきたのか。もしあいつが《ヒドゥン・ギア》の背後にいるのなら、すべてが変わる。レイモンド、あいつが《イプシロンの剣》を再現しようとしている可能性はあると思うか?」
「もう何年も経っています。その気があれば、とっくに作り上げているでしょう」
「なら、今度はただ剣を再現するのではなく、それを安定させて、制御しようとしているとしたら?」
エララが言った。
「あの剣にできると言われていたことを、ついに実行するために?」
ハロルドは、他の者には見えない何かを思い描いているかのように、じっと床を見つめていた。茶色の瞳の《サポート》は、持てる思考力のすべてを使って、ばらばらのピースをはめ込もうとしていた。そして、笑みを浮かべて問いかけた。
「じゃあ、アートとダイアナの誘拐は、そこにどう関わってくるんだ? この件全体で、アートがどれだけ重要そうに見えるかを忘れちゃいけない……奴らは、何かの理由でアートを必要としてる。ギデオンさんかレイモンドさんをおびき出すため? うーん……それはないな! それなら、もっといい方法があるはずだ」
マルコスは頭を掻いた。茶色の髪に緑の瞳の《ソードマン》は、友人の考えを理解しようとしていた。
「でも、それがあいつを捕まえるのに、どう役立つんだ?」
「考えるのは俺に任せて、お前は戦うことだけ心配してろ、デカブツ!」
ハロルドが言い返した。
「あいつがそれほどアートを欲しがってるなら、望みどおりのものをくれてやろうぜ」
その顔には、ほとんど邪悪とも言える笑みが浮かんでいた。
エドガーが一歩前へ出た。
「見上げた作戦だ、若いの! だが、まずやるべきことがある。必要なのはリーダー全員、それだけだ。これは水面下で進める、極秘の任務になる。目立ちすぎれば、奴らを見つけるのはほとんど不可能になる。それに、このことが公になれば、それで終わりだ」
隊長はルシアンに目を向け、そばへ呼んだ。
「ルシアン! 監獄へ行くぞ。レイモンド殿、ご同行を願えますか。今頃カエラが、いくらか情報を引き出しているはずだ」
彼は、捕らえたフードの男のことを指して、そう付け加えた。
「三十分後にここに集合して、出発する。準備しておけ!」
最後に、彼はエララに近づき、その耳に何かをささやいた。
彼らは去っていき、若者たちを《サポート部隊》のリーダーの監督下に残して、中庭を後にした。
◇
一行から離れて監獄へ向かう道すがら、レイモンドとエドガーは話を続けた。
「ギデオンの姿は見えないか?」
隊長が尋ねた。
「いいえ。ここに来る前に城を探しましたが、どこにも。昨日から、《王の巡幸》で王の護衛についているそうです」
「ちっ! 忘れていた。月に一度の国内巡りか……ただの政治だ。最強の魔法使いを、そんなことに使っているのか? くだらん気まぐれだ」
「ええ……最近の《ヒドゥン・ギア》の動きを恐れているのでしょう」
エドガーは眉をひそめた。
「それで、あれほどの爆発があっても、あいつが戦いに姿を見せなかった理由はわかった……そういえば、安心してくれ。エララには子どもたちの面倒を見るよう命じておいた。これ以上、誰も傷つけるわけにはいかない」
「今は、それが最善でしょう」
◇
彼らが中庭を後にする頃、空はようやく金色に開け始めていた。基地はゆっくりと目覚めつつあった。彼らを駆り立てる切迫感など、知る由もなく。
残りの道のりを、彼らは黙って歩き、基地本部の監獄にたどり着いた。
入口では、カエラが彼らを待っていた。《白曜石》の柱の一本にもたれ、腕を組み、苛立った顔をしていた。
「あの娘は生きてるのか?」
《アーチャー部隊》のリーダーが尋ねた。
「ああ。だが、時間がない。傷の毒を中和するには、犯人を見つけ出さなければならない。何か情報は引き出せたか?」
カエラは腕をほどき、短い黒髪に手をやって、額にかかるひと房を整えた。
「最初は口を割らなかった。だが、指を何本か折ってやったら、気が変わったらしい」
レイモンドは、その手荒さに驚いて目を見開き、ルシアンは眉をひそめた。
「奴らの基地は地下にあって、入口は二つしかないそうだ。あいつが知っているのは、王国の南にある入口だけらしい。魔法のセンサーで開く仕組みで、私たちの通信機みたいなものだそうだ。その部分はよくわからないが、これを入口の近くで見せればいいんだと思う」
彼女はポケットから、黒く重いブローチを取り出した。くすんだ金属でできていて、中央には黒い不死鳥の紋章が刻まれていた。
「すごい! あいつがこれを渡したのか?」
レイモンドが近づきながら言った。
「つまり、この小さな品が入口のセンサーに魔法の周波数を送っているわけか……実に賢い。これは、我々の通信機の技術を改良するのに役立つかもしれない……通信距離を伸ばすのに……」
「そんな話をしている場合ではない!」
エドガーが遮った。
「では、今すぐ出発する」
「奴らの基地に、正面から乗り込むってことか? それが作戦か?……気に入った!」
カエラは背中から弓を抜き、決意に満ちた笑みを浮かべた。
「心配するな。作戦はもう考えてある。道中で説明する」
「ぐあああああああああああっ!」
その叫び声が、監獄の独房の一つから響いた。
「おっと! 電撃を切り忘れてたみたいだ」
《アーチャー》のリーダーが言った。
「兵士!」
ルシアンが、そこの担当をしている《ソードマン》の一人を呼んだ。
「捕虜の容体を確認しろ。重要な情報源を失うわけにはいかない。必要なら、医者を呼んでやれ」
「敵がそんなに心配なら、ここに残って面倒を見ていてもいいぞ」
隊長が、厳しい口調で言った。そして、《ストライカー部隊》のリーダーと鋭い視線を交わした。
「レイモンド将軍、これは危険な任務だ。それに、《王国衛兵》の管轄外でもある。行きたくないのなら……」
「自分の身くらいは守れますよ、隊長。それに、エゼキエルがすべての黒幕なら、私は行って、この目で確かめなければならない」
彼らが南へ向けて出発するあいだも、シルヴェインの命の見えない時計は、刻々と進み続けていた。一歩一歩が、切迫に縫いとめられた希望の糸だった。




