第14話 カタルシス
戦いを待ちわびて、熱狂した兵士たちの群衆が集まり、闘技場の観客席に散らばっていた。目は一点に注がれ、ささやき声は抑えられていた。大きな名を持つ二人の後継者――王の息子と、《王宮魔法使い》の息子。
《アエテルヌム》は、堂々と、厳かにそびえ立っていた――淡い色の石でできた、広大な円形の空間――そこには《アンセストラル・ルーン》が刻まれ、今にも目覚めようとする眠った心臓のように、静かに脈打っていた。頭上では、ガラスと黒曜石でできた高いパネルが午後の空の光を形づくり、闘技場を金と紫の色合いに染め上げていた。その色は、なめらかな表面の上で踊っていた。
空気は動かず、重く、何かを待ち受けていた。闘技場は静かな畏敬の念とともに、刃の最初のぶつかり合いを待っていた。
周囲では、観客席がそれ自身の物語を語っていた。ひび割れ、砕けた石でできていたのだ。《刃の大災厄》が残した傷跡――十四年前に起こり、王国の心に痛ましい記憶として響き続けている災害だった。民衆自身が評議会――国王と、最も影響力のある三つの貴族の家から成る――に、闘技場を修復しないよう求めたのだった。同じ過ちを繰り返さないために。
アートが先に入った。暗い色のチュニックを整える。
反対側からは、オリバーが王者のような足取りで歩いてきた。その鎧は、《アエテルヌム》の壁のルーンが放つ青みがかった輝きを反射していた。剣はしっかりと手に握られ、その眼差しは――勝つこと以上に――辱めることを望む者のそれだった。
ダイアナは観客席に残り、不安げにしていた。そこにいるのはつらかった。この場所は、十四年前のあの運命の事故で、彼女の母が命を落とした場所と同じだったのだ。隣では、アリクとアスカも見守っていた。
「師匠……大丈夫ですか?」
ダイアナの表情を不審に思って、アスカが言った。
「私……ただ……」
「何かおかしいって分かるくらいには、師匠のこと知ってますから。アートさんが負けるのが怖いんですか?」
「どうやら、あいつは調子がよくないみたいだな」
アリクが割って入った。
《ランサー》は闘技場の中央を指さした。そこではアートが、硬くこわばった体の横で拳を握りしめ、真剣な顔で、しっかりと足を踏みしめていた。
「戦いに集中してるやつの顔なら、よく知ってる。あれは明らかに、それだけじゃない」
「師……ダイアナさん!」
アスカは《アーチャー》の肩に触れた。
「私を頼っていいんですからね。ここにいますから!」
肩に触れられて、彼女は体へと引き戻された。ダイアナは、自分が息を止めていたことに気づいた。闘技場の歓声は遠く、くぐもって聞こえた。まるで、すべてを外から眺めているかのように。
胸の中で支えていた壁が、少しだけ崩れた。
「最後にここに来たとき、私はまだ子どもだった。三歳くらいだったと思う。あまり覚えてないけど……今でも、お母さんの香りを感じられるの。甘くて、忘れられない香り。この場所に入るのはいつもつらい。こんな状況だと、なおさら……」
「もう何も言わなくていいです」
アスカは友人の前に立ち、その両手を握った。
「ごめんなさい! 私のせいで、ここに戻ってくることになってしまって。私が訓練するって言い張らなければ、王子が口を出すこともなかったし、アートさんも……自分のものじゃない戦いをすることなんてなかったのに」
「それだけじゃないんだろ?」
アリクが横目で言った。
「何なのかは言わなくていい。訓練してるとき、あいつが一撃ごとに、何か別のものをぶつけてるのに気づいた。怒りか、痛みか、罪悪感か……はっきりとは分からない。戦いの中で刃がぶつかり合うことほど、魂の状態を表すものはないからな」
ダイアナは黙り込み、胸の中で渦巻くものと戦っていた。アスカは彼女の手に指を絡めたまま、しっかりと握っていた。彼女を今この場所につなぎとめようとする、錨のように。
《ランサー》は鼻を鳴らし、二人の少女の肩に手を置いて、揺さぶった。短い灰色の髪の若者の表情が、真剣なものになった。
「悪いな、ダイアナ! でも、お前たちは分かってやらなきゃいけない。あいつがやったことは、あいつという人間の一部なんだ。何があいつをそうさせたのか言えるほど、俺はあいつのことを知らない。ただ一つ確かなのは、あいつは正しいことをしたってことだ。だから、心配は置いといて、あのいけ好かない貴族をぶっ飛ばせって応援しようぜ?」
ダイアナは、小さく頷いた。若い《アーチャー》は、まだ不安を抱えていた。アリクとのちょっとした訓練だけで、アートがあれほどの感情をにじませていたのなら、王子との真剣な戦い――過去の苦い因縁を背負った戦い――は、破滅的なものになると分かっていた。
◇
「準備はいいか?」
禿げ頭の《シールダー》が尋ね、その場にいる全員の注意を引いた。ベテランの《ウォリアー》が、この戦いの審判を買って出たのだ。
「条件はいつもと同じだ。ノックアウト、降参、または戦闘続行不能」
オリバーは笑った。そして、ささやいた。
「その前に、あいつが俺を止められればの話だがな」
アートは黙ったままだった。その目は相手に据えられていた。闘技場の中央で足を踏みしめ、両手の指がかすかに動いている。しつこい違和感があった。
「始め!」
審判の合図とともに、戦いが始まった。
「イグニス・インペトゥス!」
オリバーが唱えた。
刃が、炉のそばで熱せられた金属のような、くすんだ深紅に輝いた。火花が剣の刃を走り、《ソードマン》の腕へと細い線となって広がっていく。行き場を探す、電気のエネルギーの筋のように。その熱は、足元の地面をかすかに軋ませるほど濃密だった。だが、体から遠くへあふれ出すことはなく、ぴたりと抑えられていた。それは確かに力だった。だが、飼い慣らされた――抑え込まれた力だった。
オリバーが踏み込んだ。
その斬撃は傲慢の刃のように空を切り、突進のたびに炎の軌跡を残した。
アートが左腕を上げると、大地が螺旋を描いて応えた。岩が拳の周りで組み合わさり、無骨な籠手となる。右手では、短剣が青みがかった炎を上げて燃えていた。彼の内で燃え盛る嵐の、むき出しの反映だった。
「まだ分からないのか、アート?」
毒を含んだ笑みを唇に浮かべて、彼は嘲った。
「お前の魔法は役立たずだ」
若い魔法使いは、その視線を受け止めた。足は短く素早い歩幅で地面を刻み、一回転、また一回転と、常に攻撃の線から外れていた。岩の籠手は鈍い衝撃音とともに打撃を受け止め、短剣はすり抜けたものをいなした。
隙が生まれた。アートは不揃いな石の壁を立ち上げたが、それは相手の剣の衝撃で爆ぜた。破片が灰の雨のように飛び散った。だが、もう遅かった。アートは王子の前から姿を消していた。
オリバーは体を回した。前方はがらんとしていた。石と埃だけ。彼の目は動きを求めて闘技場を見渡し、一瞬を失うごとに脈が速くなっていった。
答えは上から来た。
アートは跳躍しており、まだ宙にいるうちに、同心円状の炎の輪を作り出した。炎の環が次々と放たれる。オリバーは二つを剣で防いだが、三つ目が肩に命中し、身を包む付与魔法をものともせず、炎の咆哮とともに鎧を焼いた。
着地すると、若い《ストライカー》は相手に考える暇を与えなかった。前方の地面から岩の槍が突き上がり、ジグザグに道を切り開いていく。獣のような本能で標的を求めていた。周囲の地面は割れ、衝撃音が闘技場全体に響き渡った。
オリバーは素早く一歩下がり、顔を歪めた。痛みではなく、憎しみに。手負いの獣のように後退した。
「ふん! そう来るか」
彼はさらに荒々しく、剣で空を切り裂いた。炎の軌跡が空間で分かれ、裂け目となって戦場に残り続けた。一撃一撃が地殻を揺るがすような力を伴い、アートを後退させた。
彼は石の盾を作り出したが、衝撃はそれをたやすく砕いた。刃を逸らそうと突風を生み出したが、風が刃に届く前に、炎がその空気を喰らい尽くした。
アートはよろめいた。致命的な一秒、体があまりにも無防備になる。刃が来た。最後の瞬間に身を翻し、胸すれすれを熱が通り過ぎるのを感じた。反撃は、ほとんど本能から出た。溶岩の欠片が手の中で固まり、立て続けに投げ放たれた。
オリバーは二つを剣でかわした。残りは足元で爆発し、火花と煙を吐き出して、闘技場を呑み込んだ。
王子は咆哮し、剣を頭上に掲げて、付与魔法の力をさらに注ぎ込んだ。刃の炎が大きくなり、形を成していく――生きた炎の大鎌――そして彼は、横薙ぎの一撃でそれをアートへ放った。衝撃は熱の波となって闘技場の一部をなぎ払い、地面から石板を剥ぎ取った。
アートは土のドームで身を守ったが、その構造物は衝撃でひび割れ、破片となって爆ぜた。彼は膝をつき、肩から血を流しながら喘いだ。オリバーはゆっくりとした足取りで、勝利を確信した者の落ち着きをもって近づいてきた。
観客は興奮して叫んだ。
「お前の母親のこと、聞いたぞ……」
さらなる一撃の前に、彼は邪悪なささやき声で言った。その一撃が、相手の腕に切り傷を開いた。
「気の毒にな。少なくとも今回は、お前のせいじゃなかった……それとも、そうなのか?」
「貴様ぁっ!」
アートは岩をまとった手で、オリバーの腹のあたりに拳を叩き込んだ。
王子は倒れた。アートは動きを止めた。その体が震えていた。
「母親か……そういうことだったのか」
アリクが言った。その場にいた全員が、口をあんぐりと開けて見ていた。
魔法使いの周りに風の渦が生まれ、埃を螺旋状に巻き上げた。地面が震えた。空気が濃くなった。息をするのも苦しいほどに。
オリバーはためらった。挑発的な笑みが消えた。
「この虫けらが! レスリーが死んだとき、その怒りはどこにあったんだ?」
「ギリッ……!」
アートがあまりに強く歯を食いしばったせいで、乾いた音が漏れた。
竜巻は大きくなった。火花が突風の間を踊る。若い魔法使いを包む《オーラ》が変わった――彼は自分の怒りに沈み込み、右目はかすかに、青と血のような赤の間で揺らいでいた。短剣を包む炎が、風と混ざり始めた。
次に、乾いた空気から水の粒が現れた。最後に、小さな岩が地面から浮かび上がった。すべての属性が共存し――調和して――ただ一つの名を中心に渦巻いていた。アート。
彼は咆哮し、身振り一つで、その属性の渦を王子へと放った。
オリバーは身を守ろうとした。足を地面に突き立て、腕を交差させたが、衝撃は彼を人形のように吹き飛ばした。遠くへ、剣からあまりにも遠くへ。体が地面に叩きつけられる音は、観客全員の衝撃にかき消された。観客たちは立ち上がり、目を見開いた。魔法使いがあんなふうにすべての属性を操るのを、誰も見たことがなかった。それは珍しいどころではない、不可能なことだった!
「え……? どうして? アートは、風との相性がずっとよくなかったのに……」
ダイアナは、ほとんど声にならない声でつぶやいた。
アートは歩いた。
拳は炎に包まれ、顔は影に覆われていた。
まだ倒れたままの若い《ソードマン》のもとにたどり着き、最初の拳を振り下ろした。
そして、もう一発。
さらに、もう一発。
一撃ごとに炎が爆ぜた。衝撃のたびに、王子の誇りが闘技場の土へとめり込んでいった。オリバーは身をよじった。相手の短剣が落ちているのを見つけ、必死の衝動に駆られて、それを掴んだ。
「危ない!」
ダイアナが叫んだ。
刃がアートの腹へと向かった。
だが、その一撃は止まった。濃い水が衝撃の箇所を覆い、刃が突き刺さる前に包み込んでいた。まるで若い魔法使いが、無意識のうちに魔法を発動させたかのようだった。王子は苛立ちの叫びを上げ、全力で彼を突き飛ばした。アートは地面に倒れ、衝撃の勢いで転がった。
二人はゆっくりと立ち上がった。体は痣だらけで、息は荒く、血が流れていた。互いを見据える。退くことを拒む、二匹の手負いの獣のように。
闘技場は静まり返った。群衆は、息を詰めて見守っていた。
アートは、体の中でエネルギーが膨れ上がり、《奔流》と融合していくのを感じた。リサと出会ったトンネルにいたときに感じたものと似ていた。だが、この力を理解している時間はなかった。使うしかなかった。
オリバーはよろめきながら剣のもとへ向かった。地面からそれを拾い上げる。そして、ささやいた。
「イグニス・サクロルム……」
炎が貪るように王子の刃を舐めた。剣が古の眠りから目覚めようとしていた。琥珀色の輝きが鋼から放たれ、炎のオーラとなって、風に吹かれた燠火のように彼の体へと広がっていった。それは前のオーラを侵食し、すでにそこにあったエネルギーを糧にしていた。熱が周囲の空気を揺らめかせ、生きた蜃気楼のように戦士の姿を歪ませた。
「あいつ、本当にあの付与魔法を使う気か?」
トマスとケンノが言った。観客席で、王子の切っても切れない友人である魔法使いの双子は、まばたき一つしなかった。
アートは両手のひらに炎を呼び出した。素早い身振りでそれを白熱する球に形づくり、一つ、また一つと相手へ投げつけた。火球は焼けつくような破裂音を立てて空を切ったが、王子に当たると、見えない壁にぶつかった無力な煙のように消え去った。
オリバーは憎しみに支配された表情で踏み込んだ。その目は怒りで暗く染まり、周囲のすべてを喰らい尽くそうとしていた。
間髪入れず、アートは両手で地面を殴りつけた。大地が震え、土の中から石と泥でできた蛇が這い出し、《ソードマン》の脚に激しく巻きついた。
一瞬、アートはうまくいったと思った。オリバーが力いっぱい叫び、その声が闘技場に響き渡った。
「彼女にしたことの報いを受けろ!」
獣のように踏み込むと、筋肉が張りつめ、おぞましい音とともに、土の蛇は枯れ枝のように砕け散った。アートは目を上げる暇さえほとんどなかった。若い《ソードマン》の刃が、彼に向かって振り下ろされていた。致命的な一撃が。
ズゥゥゥン!
埃が幕のように舞い上がった。観客は結末を知ろうと、固唾をのんでいた。ダイアナ、アスカ、アリクは口をあんぐりと開けていた。友人の命を案じていた。埃が晴れると、オリバーの手首をがっしりと掴むエドガーの姿が現れた。そのマントが、威厳をもってはためいていた。
「そこまでだ!」
その声は雷鳴のように響き渡った。
その場にいた者たちは凍りついた。
「全員、外へ出ろ。今すぐだ!」
彼は命じた。その声は、返事を許さなかった。
「アートとオリバーだけ残れ」
彼は軽蔑するように《ウォリアー》の腕を放した。
「自分のしたことが禁じられていると、よく分かっているはずだ、オリバー!」
怒りに目を光らせて、彼は言った。
「王の息子が……恥さらしめ!」
オリバーは目を逸らしたが、エドガーはその肩を掴んだ。
「私が止めなければ、お前は仲間を殺していたところだ。出ていけ!」
王子はうなだれて立ち去った。
エドガーはアートの方を向いた。一瞬、ただ彼を見つめていた。
「言わねばならんことはあるが、お前の母親の記憶に敬意を表して……黙っておくとしよう」
そして、急ぐこともなく去っていった。
「それと、医務室に寄っていけ! 私の兵士がそんな格好でうろつくのは見たくない」
アートは――一人きりで――次第に曇っていく空を見上げた。目が潤んでいた。深く息を吸う。ただ一つの言葉が、心の中で響いていた。
――母さん。




