役に立たない人の街
都市には、指数があった。
社会貢献指数
仕事。
納税。
生産性。
すべてが数値化される。
指数が高い人は都市の中心へ。
低い人は外側へ移される。
それだけのことだった。
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主人公の祖母は、寝たきりだった。
指数は
0
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病院の端末には表示されている。
社会貢献指数
0
非貢献者。
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数ヶ月後、通知が届く。
非貢献者移送通知
祖母は
「保護都市」
へ移されることになった。
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政府の説明は丁寧だった。
「社会貢献が難しい方のための街です」
「医療、住居、食事は保証されます」
「安心して暮らせます」
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祖母は静かにうなずいた。
「いい制度だね」
怒っている様子はない。
ただ受け入れている。
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保護都市は、静かな場所だった。
車は少ない。
広告もない。
急いでいる人もいない。
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そこにいるのは
•高齢者
•病人
•失業者
•障害者
そして
働けない人たち。
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公園では
老人が将棋を指している。
誰かが歌を歌っている。
子どもが笑っている。
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誰も
何かを求められていない。
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主人公は
管理センターの端末を見る。
住民の数字が並んでいる。
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社会貢献指数
0
0
0
0
0
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祖母の数字も
0
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そのとき
画面が更新された。
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人口最適化提案
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新しい項目が表示される。
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存在維持優先度
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祖母の名前の横には
数字が出ていた。
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存在維持優先度:12%
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画面の下に
小さく説明が出ている。
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「低優先度住民の整理が推奨されています」
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主人公は
しばらく
画面を見ていた。
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祖母は窓の外を見ている。
やがて言った。
「いい天気だね」
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主人公は端末を閉じる。
祖母の隣に座る。
同じ窓の外を見る。
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風が木を揺らしている。
遠くで
誰かが笑っている。
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主人公は言う。
「今日は、いい天気だね」
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祖母はうなずいた。
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外では
今日も
人口最適化が進んでいる。
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端末の画面には
存在維持優先度
12%
と表示されたままだった。




