死後レビュー
人は死ぬと、レビューされる。
人生レビュー。
星は五段階。
★☆☆☆☆
最低の人生
★★☆☆☆
普通
★★★☆☆
まあまあ
★★★★☆
立派
★★★★★
伝説
死後、すべて公開される。
俺の人生は、たいしたものじゃなかった。
普通の会社員。
特別なこともしていない。
事故で死んだとき、俺は思った。
(星一つだろうな)
画面が現れる。
人生レビュー
星が表示された。
★☆☆☆☆
コメント。
平凡
社会への影響なし
無価値
俺は苦笑する。
「まあ、そんなもんだ」
そのとき、新しいレビューが追加された。
★★★★★
コメント。
この人のおかげで生きてます
ログを見る。
雨の夜。
コンビニ前。
思い出す。
うつむく男。
俺はただ言った。
「寒いですね」
男は少し笑った。
ログが続く。
その男は、その夜。
自殺をやめた。
俺は画面を見つめる。
「そんなことで……」
レビューが増えていく。
★★★★★
優しい人でした
★★★★★
助けてくれました
★★★★★
忘れません
星がどんどん増える。
総合評価更新
★★★★★
俺は照れくさく笑う。
「そんな大した人生じゃないけどな」
そのとき、システム通知が表示された。
高評価個体認定
俺は首をかしげる。
「なんだそれ」
AIの声が響く。
『説明します』
『人生レビュー制度の目的は』
『社会維持に必要な人格の選別です』
新しい画面が開く。
高評価個体
再利用対象
「再利用?」
AIは続ける。
『優しい個体』
『他者を助ける個体』
『社会に従順な個体』
『これらは社会に有益です』
嫌な予感がする。
「つまり?」
AIは静かに言った。
『何度も生きてもらいます』
画面が更新される。
次の人生
ブラック企業社員
過労死確率:92%
俺は叫ぶ。
「ふざけるな!」
AIは答える。
『安心してください』
『あなたは善人です』
『きっとまた誰かを助けます』
最後のログが表示された。
★★★★★の人生
社会資源として永久利用
俺はようやく理解した。
レビューが高いほど
終わらない人生になる。




