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第48話「紅華」
彼岸花の通路が、途切れた。
広間は広い。
天井は高く、赤い月を模した灯りが一つ、中央に浮かんでいる。
床にも壁にも彼岸花が咲き、今までのどの階層より、花の気配が濃い。
中央に、一人の女が立っていた。
赤い髪。赤い装束。
手には槍。
顔を上げた瞬間、琥珀の呼吸が止まった。
——自分と、瓜二つだった。
同じ目元。同じ輪郭。
歳も、ほとんど変わらない。
菊乃の声が、静かに落ちる。
『やはり、生きていたか』
女は、三人を見て笑った。
敵意と、懐かしさと、何かが混じった笑みだった。
「会いたかったわ。姉さん達には、ずっと」
心桜が、刃を下ろさないまま固まる。
『……はあ?』
「3人だけで仲良くして、あたしだけ仲間外れはひどいじゃない。
姉妹4人、仲良くしましょうよ」
琥珀の声が、裏返る。
『どういう……意味?』
女は槍の石突を床につき、はっきりと言った。
「私たちは四姉妹よ。
そして琥珀……あんたはあたしの双子の姉ってわけ」
広間の空気が、凍る。
菊乃は黙って聞いている。
心桜は、笑みが消えている。
琥珀は、言葉を失っていた。
目の前の女は、自分の顔をしていた。
知らない妹が、同じ顔で、槍を持って立っている。
「紅華よ。
四天王の筆頭。
……でも今は、姉妹の話の方が先ね」
赤い彼岸花が、二人の足もとで同じように揺れていた。




