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2話 ケルベロス部長

「いらっしゃいませー!ようこそ地獄へ!」


いや、ドリンクバーでも頼むテンションで来る場所かここ?


目の前には鉄格子の重そうな門─────ではなく古ぼけたオフィスビルがそびえ立っていた。



第2話 ケルベロス部長



「ああ、あなたが例の新人さんですか。」


「は、はあ、どうも。」


え?何?俺ここで働くの?聞いてないんだけど。


「ケルベロス部長、お疲れ様です。」


「うむ。」


あ、一応こいつ偉いんだ。まあ地獄の番犬ってぐらいだし。──────ん?聞き間違いか?


「何を呆けておる。喋る猫がそんなに珍しいか?」


「あ、お前喋るん。」


「なんじゃ、驚かんのか。面白くない。」


「死んでから色んな目にあってるから、今更驚かねえよ。」


ていうか口調がじいさんみたいなんだけど。これはこれで可愛い、のか?


「初日で申し訳ないんですけど、新人さん、今日から入れますか?」


「え、あ、はい。」


って言ってもこいつの世話だろ?社畜時代みたいにはならないはず。


「茶が熱い!煎れ直せ!」


「は、はい!」


「肩がこった!揉め!」


「はい!」


「これ100部コピー!」


「はい!……って何やらせんだ!」


渡された書類をびたーんと叩きつける。


「何偉そうに昭和のパワハラみたいに命令してんだ!」


「お主の仕事は我の世話だろう。ならば業務中のお前の仕事はわしの補佐だ。」


「お前がやらせてるのは雑用だろうが!茶ぐらい自分で煎れろ!肩揉みマシーン買え!俺にやらせるな!」


「ふん、いいのか?わしは地獄の番犬。このフロアごと地獄に沈めることもできるが?」


「そうなのか?」


オフィスに目をやると、みんな気まずそうにこっちを見ている。


「ほれほれ、分かったらコピー!」


「ぐぬぬ……。」


下手に逆らってここにいる人を巻き込むわけにはいかないし、ちくしょー!!覚えてろよ!!




「疲れた……。」


用意された会社の寮に着く。


「わしは寝る。」


「えっ、お前メシは?」


「地獄に来る魂、それがわしの養分よ。つまり死人が出れば飯などいらぬ。」


「そ、そうか……。」


ペルシャはそのままふかふかすべすべの俺よりいいベッドで寝付いた。


(こいつ、寝てれば可愛いのに。)


寝息に合わせて上下するお腹を眺めた。


(猫がいたらやってみたかったことがあるんだよな……。)


起こさないようにそろーっと脚を持つ。ドキドキしながら真ん中にある肉球を押した。


ぷにっ。


(や、柔けええええ!!!)


ぷに、ぷに、ぷに、ぷに。


昼間はさんざんこき使われたんだ!!これぐらいいいだろ!!


翌朝、しっかりバレて顔を引っかかれた。


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