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懊悩の淵  作者: 粘土
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寝て見る夢と醒めて見る夢

僕は後二、三年しか生きられないので夢の大切な事を知って欲しいです。

 夢の中で歌が聴こえる。とても心地の良いメロディに乗せて。そして、僕は其れに酔いれ、暖かな光景の中で、心を躍らせる。映像も同時に観て居るので、僕が踊る処も等しく観える。辺りには全く知らない筈の友人や、女の子が楽しそうに、其の身を流れるメロディに乗せて流れる様に舞う。僕は其れを心持好く眺めて居る。

 之までそんな夢を観る事は無かった。楽器も出来ない僕が、夢の中では素晴らしいメロディ奏でている。そして、愉快に呑んでいる。詰まり、其れは僕が創った曲なのだ。そして、誰もが楽しめる音楽なのだ。だのに……。

 夢から醒めてしまうと、決して、自分には無理な音楽と成る。何故だろう。“アルペジオ”なら、幾らか遣れた。最初に覚えたのは『禁じられた遊び』である。次に覚えたのが『トルコ行進曲』である。折角興味を持った今ではあるが、手元にギターが無い。そもそも、譜面を読めないのだから、有っても意味は無いのかも知れない。有るのは弦だけだ。機械が無いとチューニングすら出来ないのだから、結局は其れまでの才能であったのだろう。だのに、今に成って後悔する。続けて遣って行けば、其れなりに成長し、覚える事も多かったろうに、と。

 近頃、先述の通り、夢の中で明らかな音楽とうたが、夢と云えど、正しく現実に近い世界が、望みもしないのにほゞ毎日繰り返されている。皆も御存知の通り、夢を見て居る最中に起きた時の絶望感、失望感はわざわざ云うまでも無く、拷問ごうもんの如き苦しみだ。其れが毎日となると、とてもでは無いが耐え難い苦痛と成る。僕の場合、五感の凡てに於いて夢を見るので、全く現実と変わら無い。皆が皆解るとは云わない。けれども、デジャヴを体験出来る人なら、幾分か解って貰えると思う。あれは本当に気持ちの悪いものだ。皆に訊いたら、十中八九、体験したくないと云うだろう。其れが無い、詰まり経験した事の無い人は幸いなる人だ。自ら進んで苦悩を味わいたいと云っていた文豪はきっと狂っている。人は甘んじて苦労をしようとはしない。何故なら、意味が無いから。けれども安んじて苦労を得なければならない事も有る。判然はっきり云うと“金”だ。何時いつの間にか僕等は金で物を買い、食し、また働くと云う無減のループに陥ってしまった。其れは、実に間違いである。かつての人々は、農業やら、狩猟やら、有ったとしても物々交換に因る商売をしていた。即ち、等価交換である。そんな頃には世界にも、社会にもひずみは無かった。其れがうして間違った方向へと進んだのかは、スケープゴートと免罪符を能く調べて呉れれば容易に解る。そもそも、今之を読んで呉れる君と、僕との間には極端な隔たりは無い。詰まり、双方が手を伸べれば繋がるのである。たかが、其れだけと思うかも知れないが、実は其処にこそ真実が有るのだ。意味が解らないと云う人は、恋と、其の先へ続く未来を思い描いて呉れれば好い。まぁ、余計な御世話かな。

 何故僕がこんな事を書くのかと云うと、大学病院の先生に余命二、三年と云われているからだ。此処では小説家に成ろうと云う目的を以って、少々解せないが、“作品”と云う形で色々と発表している子供達が集まっている。良くも悪くもである。様々な設定をきちんと守り、其の上で展開して行く物語は確かに面白い。即プロの成れるかと云うと其れは先ず無理であろうから、此処での経験を活かしてジャンルを問わず文壇に上がると好い。然し、残念な事に自己満足で書いている子達の方が多い。然も、“見切り発車”でプロにしてしまう運営にも問題が有る。そんな事をしたら、その子の人生は狂ってしまう。まるで、僕の様に。……

 夢の中で、たった一人だけしか知らない歌と詩を聴いている僕は、最早終末が近いのだろう。何時でも不思議に思う。そんな曲有ったっけ、と。僕は僕であり、其れに間違いはないのだから、きっと、自身の脳で創り上げた曲なのだろう。極偶に、之以上の曲は世界には無いと思う様な事も有るが、ギターが弾けないのでは宝の持ち腐れであろう。けれども、夢にも沢山の種類が有って、荒唐無稽こうとうむけい支離滅裂しりめつれつ本末転倒ほんまつてんとう唯我独尊ゆいがどくそん天地無用てんちむようと、少なくとも其れに触れたならもうプロの資質無しと思った方が好いと思いう。文章力が有るのなら、一々プロを目指して失敗するよりも沢山の子供達に夢を与える人に成って欲しい。まぁ、場合に因っては先に挙げた四文字熟語を逆手に取って、売れる物を書いているプロも居るのだが、先ず其れは学問を修めてからの話だ。書いてみた、送ってみた、駄目だった。と、云う君には恐らく文体、文章力、加えるならば現実とは切実に相違が無いからだ。夢も同じ事。現実に全く有って当たり前の夢を見ても、実際には存在しない。又、そんなものを維持出来る訳が無い、とか。結局の処、辻褄つじつま合わせでプラスばかりを選んで構築されている。偶には、全く意味の無い夢を見る事もあるが、恐ろしくて死にそうな夢を見る事も有る。只、夢を見ている最中に目が醒める事が無ければ案外楽なものだ。逆に、夢を見ている最中に目が醒めると、心にとんでも無い苦痛を覚える。僕は毎日夢を見る。見ない事は絶対に無い。其れだけでもストレスに成る。せめて好い日々を過ごして、其の思い出を回想しよう。之から先、良い夢ばかり見よう。懊悩おうのう。大いに結構。負けなければ好いのだ。こんな下らない物を読む君達も決して負けては不可いけない。以前にも述べたが、ネガティブだからこそ、ポジティブな思考に習い、次もそうして行こうと、そう思えるのだから。負けては不可いけない。僕を悩ませる五感を以って見る悪夢には。例え現実がホログラムでしかないとしても、リセットは出来ないのだから。夢を見よう。今日も、明日も明後日も。起きて居る間にも夢を見よう。きっと現実にして見せると信じて。普段の忙しさからして忘れて居るのかも知れないが、君達には其の権利が有る。其の資格が有る。忘れないで欲しい。夢を適えるのは夢を見るからだと。壁なんぞ無い。行く道が君の未来に続いているのだ。僕はもう、駄目な気がするから、早いけれども云って置く。皆頑張れ!

懊悩とは詰まり、一時の心の病。一念発起したならば、其れは必ず消え去ります。

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