金が凡てじゃない
命の価値は心です。
血を吐いた。一年程前にも血を吐いた。其の時には致死量の吐血だった。けれども、今回は色を確かめる程度の量だった。まぁ、まず大丈夫だろうと思うが、然し、恐らく之が最期に成るだろうとも思う。そもそもが、“不良品”として産まれて来たのだから、普通に暮らせる筈も無い。近頃では、仕事以外の事に関しては健忘症の障りが顔を出す。其れでも悔しく思わない。自業自得だからである。畢竟、之までの命だったのだろう。
快楽を求めて、財産は凡て売り払ってしまった。決して売っては不可ない物まで。グルグルと回る“リール”に凡て持って行かれてしまった。最早、僕の手には何も残されていない。然し、生きて居なければならない。其の矛盾に日々苦しめられる。
朝、目を醒ます頃、酷い罪悪感に苛まれる。凄まじい恐怖感に襲われる。いっそ、死んでしまいたい。後の世界が在ろうとも無かろうとも、何方でも好い。生きて居るのはもう苦しい。戦場に放り出されたならば、何の悔いも無く何時しか死んでいるだろう。逆に、殺す事も有るのだろうが。……
昔の人はどんな風に暮らしていたのだろう。日々を淡々と過ごして居たのだろうか。或いは、其の日暮らしで辛うじて生きて居たのだろうか。士農工商と云っては見ても、農家が一番苦労したのには間違いが無い。何千石、何万石と云えば、食いぶちを残して売ってしまえば、かなりの金額に成る。いや、其れ以前に、百姓は粟なんぞを喰っていたのだから、栄養も金も無い。他には野草を喰うより仕方無い。更に、順番で云えば工と商がかなりの玳瑁を叩いていたにも拘らず、百姓より贅沢な暮らしをしていた。其処に僕を含めると、正しく、百姓である。然も、人としては下の下である。座頭ならまだしも好かった。然し、完全な“不良品”として産まれたからには、もう、“えた”、“ひにん”である。何が哀しくて、其の日暮らしをしなければならないのか。何の罪でそんな目に遭わされるのか。まるで、解らない。とても、理解出来ない。こうなったら、もう、此の国を潰す以外に他無いと思う。幾らか手順を踏まねば成らないが、もう、潰そう。皆もそう思ってる筈だ。フリーメイソンだとか、ロックフェラーだとか。潰そう。もう。人が人として生きて行ける世界を創ろう。僕は、たとえ一人でも遣るよ。
他の動物にも云えます。




