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懊悩の淵  作者: 粘土
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自分

自分です。

 美しかった景色がだんだんと灰色に変わって行く。真っ白にもならない。真っ黒にもならない。只々、濁って行く。どうしてだろう。何を思っても答えは出ない。……

 私はごく平凡な家庭に産まれた。兄が二人在り、特に何とも無い生活を送っていた。と、言うと嘘になる。気付けば私は兄に犯されていた。次兄は直ぐに止めて呉れた。然し、長男はのち十年以上も私を遊び物にした。何も知らなかった私は其れが当たり前だと思っていた。けれども、小学四年生の頃に習った生理学に因って、其れは禁忌きけんきである事を知った。其の間守って呉れたのは次兄だった。然し、其れはもう遅かった。空き時間や、放課後には、クラスメイトの男子達に弄ばれてしまった。然も、帰っても長男に因って繰り返される“悪戯いたずら”に慣れてしまったのだ。口を含め、“穴は棒を入れる処”と教え育った私には、最早抵抗する術が無かった。そうして、小学校を卒業した私は、結局、“玩具”として持て囃された。然も、勝手に与えられた“マゾ”と云う劣悪な称号と共に。……

 其の頃にはすっかり噂は拡がり、然し、決まったグループに因って庇護ひごされていた。裏切る事の無いようにと。そして、近所に有る空き家で毎日犯されていた。棒から放たれる液体をも、嬉しそうな顔で呑む様にと教えられた。そして、私は其れを守った。然し、守ったからと云って、其れが美味しい訳では無い。ともかく言う通りにするしか無かったのだ。

 そんな事が一年以上続いた。不思議と、拒む気も無くなった。更に、其の液体は私の脳を侵していた。うずくのである。谷間が。同年代に比べ、遅く映え出した草原の間 に拡がる谷間が、欲するのである。更に、其の後ろに控える穴までもが、二、三度貫かれただけで欲しがる様に脳に刺激を送った。脳も其れをうけがった。フェロモンに支配された身体は棒の匂いも、先走る液体の味も、更にほとばしる粘液さえも美しき物として欲しがった。私の思考は其れに因って支配されていた。毎日が夢だった。あの液体に身を浸す事の喜び。悦に入って、命令に従う己の醜さ。其れを感じる隷属姿勢。其の頃には、私の穴は既に四つになっていた。

 けれども、私にも受験の時は来た。時と云うと其のものを示す様だが、其の間も絶え間無く訪れる男の子達の要求は全て受け入れた。もう、我慢が出来なかったからである。然し、妊娠だけは避けた。一応に残っていた理性が働いたのだろう。又は、之からの喜びを護る為かもしれない。ともあれ、勉学には励んでいた。実際其の効果は思った以上に好く、私立の進学校に入る事が出来た。然し、忘れられない。かつての悦びを。そうして、私は一か月の期間を費やし、二人の候補者を見付けた。一人は、数学の信任、もう一人は古文の若い先生。どうやって誘おうかと考えるまでもなく、簡単に好く方法を思い付いた。どちらかを落としてしまえば好いのだ。其処で、先ず新任の数学教師に目を付けた。解らない処が有るという口実を持ちだし、個室へ呼んだ。個室という事に少し抵抗が有った様だったが、集中したい為と言って引き寄せた。彼は其れを信じて入って来た。其の時、私は扉の隅に身を潜めていた。彼が不思議な顔で当たりを見渡している隙に、私は扉の鍵を閉めた。その音に気付いた彼は私の方を見た。私は全裸だった。困惑している彼を抱き締め、利き手である右手を私の谷間に触れさせた。彼は驚いて手を払ったが、その手には私の谷間から引く糸が伸びていた。私はそっと語り掛けた。すると、流石に観念したのか、彼は私を受け入れた。後は簡単だった。私の言うように、彼が論理と、理論を用いて説き伏せたのである。そうして、古文の先生も私の手中に落ちた。流石に最初は二人でしたが、次からは三人でした。私は四つの穴の全てが使える事を二人に示した。最初は驚いた二人だったが、一度遣れば二度、三度。二人共私の全てを楽しんだ。私も二人の香りに酔いしれた。……

 彼等との別れは淋しかったが、幸い好い大学へ進む事が決まると、名残惜しそうに、二人共喜んで呉れた。流石は大人だ。其処等辺の事情には疎くない。そうして、果たして私は名門とも呼んで差し支えない大学へ進んだ。其処では妙な事はせずに(何とか我慢して)過ごし、社会へと出た。一年後、成るがままに過ごしていると、一人の男性と出逢った。直ぐに意気投合した私達は結婚した。其の暮らしの報告がてら家に帰ると、長男が未だにアルバイトの身で暮らしていた。彼は恐らく社会不適合者であったのだろう。私は正直、“ざまぁみろ”と思った。今なら解る。未だに犯される喜びを求める心を造ったのは彼だと。だからこそ、“ざまぁみろ”なのだ。生涯忘れずにいろ。私を苦しめた事を。……

 そんな事を思いながら、私は母と茶を呑み、主人の元へと帰って行った。


ガキじゃダメです。

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