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懊悩の淵  作者: 粘土
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ずっと続く旅

何気にほんわかです。

「私達は今何処に居るんだろうね」

 何とは無しの質問だ。之まで幾度と無く繰り返されて来た問いだった。と、云っても、ウンザリしたりはしない。僕も其の疑問を持ち続けているからだ。

「何処と云わず、路の半ばだろうよ」と、そう簡単に返した。

 彼女は唇を尖らせた。

「何時もそう云うんだね」

 何の返答も出来なかった。いや、する気も無かった。

「解らないものは解らないのさ」

 何時も通りそう応える。

「ふん。つまんないの」と、更に尖らせた唇を見て、僕は、つい笑ってしまった。

 不服そうな彼女は

「何がオカシイのさ」と、不満げに云った。

 僕はますます可笑しくなった。

 御機嫌斜めの彼女は、右手にグーを作って僕を小突いた。

「イって―な。仕様が無いだろ? 判らないものは判らないんだ」と、答えながら、軽く、彼女の頭にチョップを喰らわした。

「いってー」彼女はそう云いながらも、嬉しそうだった。……

 何時から此の路を、二人で旅していたのか。もう、とうに忘れてしまった。記憶が無い訳ではない。思い出そうとすれば、きっと解るだろう。けれども、僕等は其れをしない。敢えてしない。哀しくなるからとか、そんな“センチ”な感情からでは無い。今、確かに二人で旅をしているのが楽しいからだ。詰まらないが、幸せなのだ。其れで好い。充分だ。其れで好いじゃないか。“次”と云う選択肢を考えるのも下らない。今、此の時が凡てなのだ。だから……

「当たり前だ。田分たわけ」男勝りな返事が頼もしい。そっと、彼女の手を握った。間髪入れず握り返して来る。其れが何れ程嬉しい事か。……

「キスしようぜ?」

「ヤァダヨ」

「ツレネーな」

「後ちょっと行ってからさ」

 そんなこんなで僕等の旅は続く。多分。永遠に。

旅はいいもんです。

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